方言で芝居をやること|11回|いろんな土地の演劇祭 前編

あとひと月ほどで2018年が終わってしまいますね。

今年は津軽弁のお芝居で、色んな地方の演劇祭に参加しました。

 

1月には札幌、演劇シーズン2018-冬では津軽藩士殉難事件をあつかった『珈琲法要』という全編津軽弁の三人芝居で参加しました。

10月は仙台の卸町アートマルシェと11月始めのアオモリ演劇祭では津軽弁による一人芝居『或るめぐらの話』です。

11月末には大阪の一人芝居フェスティバル『INDEPENDENT』では、宮城の特産品をモチーフにした『ずんだクエスト』で参加しました。

 

一年のうちに複数の演劇フェスティバルに出られるのも珍しいことだと思うので、それぞれの演劇フェスティバルの特色を書いていけたらと思っています。

 

札幌の演劇シーズンは2012年から始まっています。夏と冬の年2回開催しております。

このフェスに参加できるのは五団体のみ。「期間中、毎日必ず市内のどこかの劇場で公演が行なわれている」という趣旨のもと、それぞれの団体が一週間から10日ほど公演を行ないます。

札幌が大きい街とはいえ、それだけの期間、それぞれの団体にそんなにお客さんが入るのかと不安になるのですが、それが入るのです。それも演劇関係者なだけではなく、本当に一般の観客が、演劇シーズンということで観に来るのです。小さい劇団でも1000人近くの動員があります。大きい劇団だと5000人の動員を記録する所もあります。規模が大きいともっと大きい記録を出している団体もあります。どうしてこのフェスはそんなに人が入るのかというと、PRに徹底して力を入れているのが大きいと思います。まずチラシデザインがちゃんとしている。演劇に馴染みのない人にとって、チラシやポスターなどのビジュアルから受ける印象はもの凄く大きいと思います。自分の団体が演劇シーズンに出た時は、写真撮影のために札幌まで日帰りしました。でも、出来上がった時のチラシのクォリティには驚きました。このチラシを手にとったら興味をそそられるし、安心して観にいくなと思いました。

 

このフェスは札幌市がPRに協力しており、フェスティバル開催直前には札幌の地下歩道に特設ブースを設け、各団体が道行く人々に向けてパフォーマンスをするのです。

 

それと、すすきのの大きなビジョンで各公演のPR動画を流したりもします。他の都市では考えられないことです。とにかく道行く人々への情報の届け方がすごい。

 

そして各団体の参加条件として大きい特長は、以前上演したもの。再演ものに限るのです。選考委員が過去の上演資料などを見て決めるようです。これによって作品のクォリティを担保し、演劇になじみのないお客さんにも安心して観に来られるように自信をもって宣伝することができるのです、たしかに理にかなってます。

 

自分の団体で参加したときは、道外から初の演劇シーズン参加ということもあり、それほどの予約ではなかったのですが、蓋をあけてみたら当日券で30人くらい入った日もあったりして、全日程ほぼほぼ満席でした。口コミなどもあったのかもしれませんが、それよりも札幌市民の演劇にたいする関心の高さを知ることができました。

 

そんな大がかりなフェスを一年に二回やってるんだから、運営側は本当に大変だと思います。ですが、それを継続してからこそ観劇人口が確実に増えているのでしょう。このノウハウは全国からもっと注目されても良いかと思っています。

 

 

10月に行なわれた仙台の卸町アートマルシェ。

昨年から始まったこの演劇祭は、10-BOXという劇場で行なわれています。この劇場こそがこのフェスティバルを形作る重要な要素になっています。ここは大小さまざまなフリースペースが三カ所、5分ほど歩いた所に能舞台が一カ所。計4カ所でパフォーマンスが行なわれます。もっとも小さい場所では一人芝居や30分の小規模な演劇、ダンス、舞踏などを入れ替わり立ち替わり上演します。大きい方では通常のものや大がかりな作品を上演します。また上演時間も、あまりかぶらないよう配慮がされており、一日でさまざまな演目を観られる、とても満足感のあるフェスティバルです。この劇場の真ん中にはウッドデッキの広場があり、公演が行なわれていない時間はそこでフリーなパフォーマンスが行なわれたりしています。また移動販売のお弁当屋さんや、雑貨屋さんなどの出店していて、食べ物やちょっとした買い物も楽しめます。本当に一日いても飽きないような作りになっています。

 

おまけにパフォーマーたちもそれぞれの公演をみたり、ウッドデッキでパフォーマンスをしたり、観客と一緒に食事をしたりと自然に交流がもつことができるので不思議とみんながフェスティバルを作っているような一体感があります。これはとても良いことです、このフェスティバルの最大の特徴といってもいいのではないでしょうか。

 

そして、フェスティバルの最後には大打ち上げの芋煮会が行なわれます。

ここでは、仙台の芋煮(味噌豚肉味)と山形の芋煮(しょう油牛肉味)の両方。それにバーベキューもやりました。ボクは山形のしょう油牛肉味が美味しかったな~。仙台のはやっぱり豚汁にしか思えませんでした(汗

こちらも参加費を払えば、お客さんも参加できるので交流ができます。ボクは最後の演し物に参加してて、その練習で芋煮会での交流会はできなかったけど、本当に暖かく楽しくて、純粋に演劇やパフォーマンスが好きな人たちのためのフェスティバルでした。こちらに参加できて本当に幸せな気持ちになりました。

 

さて、来月は最終回です。

アオモリ演劇祭と一人芝居フェス『INDEPENDENT』のお話と、方言のお芝居と地方の演劇について書きたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。

 

 

 

山田百次 出演

オフィスコットーネプロデュース

『夜が摑む』

2019年2月2日~12日@下北沢シアター711

作:大竹野正典 演出:詩森ろば

 

 

 

 

 

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