オノマトペハンター おのはん!|第13回 今回のオノマトペ:「デデッ↓ デデッ↑」|平田佐智子

寒暖の差が激しいこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?以前の暑さが気になる季節よりかは過ごしやすくなってきましたが、薄着でぼーっとしていると風邪をひきやすくなりました、秒で(新しい表現はどんどん取り込んでいくスタイルです)。

さて、今回は早速テーマを取り上げていきます。私はよく音楽を聴いているのですが、割と初期からVOCALOID曲をチェックしています。最近は全部を網羅というわけにはいきませんが、気に入ったクリエイターさんはゆるく追いかけています。というわけで今回は音楽、なかでもVOCALOIDによる楽曲です。これは発見した瞬間取り上げなくては(ガタッ)、となった作品になります。

「アカリがやってきたぞっ」https://youtu.be/tyneiz9FRMw

 

この楽曲(厳密に言うとVOCALOID曲はボーカル曲ではなくインストゥルメンタル扱いになるようです。初めて知ったときは結構衝撃でした)は、VOCALOIDシリーズ「紲星(きずな)あかり」を全面的に使用したGYARISTA氏の曲です。初出は昨年12月の冬コミだったのですが、最近こちらの曲がYoutubeに単独公開されました。

こちらの作品の特徴は、なんといってもこのオノマトペのオンパレードです。しばらくキャプチャイラストをご覧下さい。


 

 

 

 

 

 

これらのオノマトペたちは「ex-Voice集」と呼ばれる、VOCALOID本体のオプションとして付いている音源であり、効果音代わりに使用できるフレーズ音源が収録されているようです。Webサイト上では収録されている台詞は一部しか公開されておらず、どんな物が入っているのかは買った人にしかわからないのですが、その中にオノマトペがかなり含まれていることがわかります。

 

こちらの「ガタッ」は、物音などの様々な状況に付与されやすいオノマトペですが、オタク/サブカル界隈ではこのように座っている状態から立ち上がる(ほどに興味を示している)様子を表すオノマトペに意味が限定される傾向があります。それを端的に示しているイラストではないかと思います。

 

サビ(?)も見事にほぼ全てがオノマトペです。

 

 

全てキャプチャするのが大変だったので、一部を抜粋しています。他のオノマトペもまだありますので、気になる方は動画の方をしっかり見て、見つけてみて下さい。一つ一つが一瞬しか表示されませんので、確認するのが大変です。

さて、このGYARISTA氏は以前にも同じようなex-Voice集を使用した楽曲を作成されています。こちらの動画では、同じくex-Voice集を持つVOCALOID「結月ゆかり」を使用して、オノマトペ満載の時間が構成されています。

「ボーカロイドたちがただ叫ぶだけ」https://youtu.be/czizBiAhHiI

 

こちらの動画の5:40あたりから以下のようなオノマトペ祭りの瞬間があります。

 

これらは全てドラム音を示すオノマトペが並べられています。休符の「ウン」のみ本来音が発生しないので擬音語ではありませんが、他は全て、音を言語音で表す擬音語ですね(最後の「ピンポーン」は、擬音語ですが、ドラム音ではありません)。このようにドラムの音をオノマトペで表現することを「口(くち)ドラム」と呼びます。言語化することで拍を数えやすくして、リズムを学習する補助手段とするそうです。この口ドラムがうまい方は、実際にドラムを叩くときもうまく演奏できるそうです。

このように、オノマトペで細かいリズムや拍を再現することができる、ということがこちらの作品からわかります。ゲーム「太鼓の達人」でも画面上に「ドン・ドドン」と表示することで拍を表示していますね。リズムが苦手な人は、まずオノマトペに置き換えてみることで、感覚を掴みやすくなるのかもしれません。

 

VOCALOID「結月ゆかり」には、ベーシックな「純」と、派生型の「凜」と「穏」があります(います?)この小さいのは派生型の二人です。何か矢印付きのオノマトペを喋っています。ちょっと見切れているのですが、この直後に「USBの接続音です」という台詞が入るので、この二つはUSB機器をWindowsマシンに接続したときになる音を表しているようです。確かにそんな音がしているように思えます。この後「デデッ↓」という音も出てきますが、これは接続を切った(USB機器を抜いた)時の音ですね。この二つの音は人によっては「うどん・そば」に聞こえるらしいのですが、音程の異なる効果音の順序が違うだけなので、記述としては「デデッ↑・デデッ↓」の方が正確なのでしょうか。

先ほどのドラム音と異なり、このデデッ音はかならず音程を示す矢印がないとどちらかが判断ができません。オノマトペは拍を表現することには長けているのですが、イントネーションや音程の変化を表現するのはやや不得意であることがわかります。以前のおのはん!で母音の周波数の差を利用して相対的な音の高さを表現する、というお話をしましたが、それ以外にオノマトペに使えそうな音程情報の付与は、残念ながら思いつきません。

 

今回は画像と動画をふんだんに入れてみました。Youtubeの動画にも、あるいはVOCALOIDの楽曲にもオノマトペは使われており、そこからオノマトペの特性が垣間見えることがわかりました。

話はそれますが、最近めっきりVOCALOID楽曲クリエイターさんが減ってしまい、寂しい限りです。ある程度人気が出たクリエイターさんは、自身がボーカルとして歌うケースが増えてきているように思います。こういう場合、VOCALOIDを使用しなくても、ご自身の歌唱力が十分に高いケースが非常に多いのですが、この謎についてはまだ検討していません。なぜなのでしょうね…

 

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