国際母語デーというものをご存じでしょうか
2022年2月9日(水)

国際母語デーというものをご存じでしょうか

(2月9日にメール通信で配信した内容がもとになっています。日付けもその日付けにしています。)

国際母語デーというものをご存じでしょうか

国際女性デーとか、世界点字デーという国際デーというものがあります。その中に国際母語デーというものがあります。

wikipediaによると「国際母語デー(こくさいぼごデー)とは、言語と文化の多様性、多言語の使用、そしてあらゆる母語の尊重の推進を目的として、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が1999年11月17日に制定した、国際デーのひとつである。2月21日。」ということです。

母語というものを尊重するということですが、母語に限らずに多言語の使用とさらには言語自体を尊重しようということを推進する日ということです。ことばを尊重するということは当たり前のようですが、空気のような当たり前の存在であり、あまり意識されないことともいえるかもしれないと思います。この日のことは、ここ数年、2月になるといろいろと言及するようにしていますが、あまり知られていない状況は変わっていないと思います。

wikipediaによるとさらに「この国際デーは、1952年2月21日、当時はパキスタンの一部だったバングラデシュの首都ダッカで、ベンガル語を公用語として認めるように求めるデモ隊に警官隊が発砲し、死者が出たことに因むものである。バングラデシュでは、独立運動の中の重要なできごとの一つとしてこの日を「言語運動記念日」としていた。 」ということですので、当時はパキスタンという一つの国の中で、母語とは違う言語を押しつけられて抗議し、バングラデシュで死者まで出てしまった言語摩擦に発端があることがわかります。

バングラデシュの言語運動については知っていたのですが、今回、国際母語デーについて調べて、バングラデシュでは「言語運動記念日」を記念するショヒド・ミナールと呼ばれる碑が建設され、そのレプリカが池袋の西口公園の東京芸術劇場のそばに建っているとのこと。東京芸術劇場には何度も行っていますが、これまで気が付きませんでした。

現在、危機に瀕する言語のことが叫ばれています。母語というのは自分が生まれ育つ時に最初に習得する言語ですから、その言語が失われてしまうと母語も失われてしまうことになります。失われていく言語も何とか残っていってほしいと思います。言語摩擦があって、政治的に言語を奪われるということもありますが、社会や生活が変わって受け継ぎにくくなるということもあります。その言語を話す人々がどう思うかということは、簡単に他人がどうこういうことができるわけでもないですが、言語と文化は失われないことを願います。

現在、島ことばの絵本を刊行中です。生まれ育っていく場所のことばが継承されていくことを願っています。

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子どもたちが大人になったときにも島のことばが聞こえる世界を残すために

言語復興の港は、琉球諸島の島の人たちと一緒に、「消滅危機言語」と言われている琉球のことばの復興を行っています。それぞれの島のことばの研究者が辞書をつくったり文法書を書くための調査をしながら、島の若い人たちが再び島のことばを話すためのしくみをつくっています。

(クラウドファンディング! 4つの琉球諸語の絵本を出版! 言語復興の港 より)

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シリーズ「みる・よむ・きく 南の島ことば絵本」【全4冊】

子どもたちが大人になったときにもしまのことばが聞こえる世界を残すために…

島に伝わる昔話を再録した島ことば絵本です。

この絵本は、消滅危機言語の継承保存をしながら、そのしくみをつくっていくプロジェクト「言語復興の港」がクラウドファンディングで支援を募り、ひつじ書房より刊行したものです。ご支援いただいた皆さま、どうもありがとうございました。

『ディラブディ』(与那国島)
『星砂の話 (ふしぬ いんのぬ はなし)』(竹富島)
『カンナマルクールクの神(カンナマルクールクぬ かむ)』(多良間島)
『塩一升の運(ましゅ いっしゅーぬ くれー)』(沖永良部島)

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https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1053-6.htm

クラウドファンディングで、多くの方の支援をいただいて刊行しています。今現在、4冊のうち3冊まで刊行しました。最後の巻の『ディラブディ』は、3月に刊行する予定です。

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執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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