ふらりと編集部にお寄り下さい
2021年2月2日(火)

ふらりと編集部にお寄り下さい

(1月27日にメール通信で配信した内容がもとになっています。)

もともとは、Web上のカンファレンスを、リモートで行うためのRemoというソフトがあります。web上のRemoのサイトに会場があって、そこにいくつものテーブルがあって、そのテーブルには、4人とか6人とかの椅子があり、一人が発言をして、他の人が聞いたり、質問をしたりすることができます。Remoは、ウェブサイトを見るとRemoConferenceと書いてあります。その機能を使って、リアルな学会の時のポスター発表のように、リモート開催の学会のポスター発表を行うということが、言語学フェスという催しで行われました。矢野雅貴先生(東京都立大学)が、運営されたものです。テーブルに出版社の人間が座るようにすると、お客さんに来ていただいて、学会の時の展示ブースのように使うことができます。

テーブルと椅子がある部屋に入るというやり方で、空いている椅子をダブルクリックするとその席に移動することができます。移動するときに、ノックする音がして、中に入ることができます。(中の人にノックが聞こえます。)このことは便利ともいえますが、その部屋に入らないと中でやり取りしている声が聞こえないので、その部屋に入らないと何が行われているのか、分かりません。通常のリアルな学会でのポスター発表では、やり取りが聞こえますから、議論に参加しないでも、聞いていたり、テーマによっては発言したりと曖昧な参加ができますが、部屋に入らないとできないのです。曖昧な参加はしにくいです。

また、Remoはその場所(階とかホール)に移動した際に、ランダムに席が決まりますので、意図なく部屋に入ることになったり、入った時に自分がどこにいるのか、分からないということがおきます。たまたま、入ったところが、知り合いがいたり、もともと参加したいと思っていた部屋であればいいのですが、そうではない場合、挨拶するのが、いいのか、もう挨拶も無しに、別の部屋に移るべきなのかということが悩ましいです。

ひつじ書房のブースにも、入室した時に、飛ばされてくる人もいるので、ノックの音がしたところで、挨拶しても、応答なく、別の部屋に移ってしまうことが多いです。ノックされると挨拶しますので、挨拶が空しく響きます。これは、ホールを移る時には、どの部屋かを選べるといいのですが、Remoの設定が、ランダムに飛ばすものなのでしょう。

今回、思うことがありました。ひつじ書房は、学会で出張する時には、数日前に訪れて、大学の研究室を回るということをしていました。新刊を紹介するというような営業的なこともしますが、やっている研究についてお伺いしたり、大学の授業でどんなことをやっているかを聞いたり、世間話というほどではありませんが、お聞きするということを行っていました。そういう中で新しい企画が生まれたり、企画のアイディアが生まれたこともありました。何かが決まっていて、それを作るというよりは、話している中で発見があって、相談するということがあったということです。

研究室を訪問させてもらいますと部屋には授業で使う資料などもありますし、扉には関係されている研究会のポスターも貼ってありますし、研究に使う蔵書もありますので、すいません、さまざまなヒントがあって、触発されてお話しすることができたのです。オンラインでのポスター発表ではなかなか難しいですね。研究室がオンラインで存在してくれるといいのかもしれません。

逆に、日常でも研究者の方が、ふらりと出版社の事務所を訪問するということは、ほとんどないでしょう。コロナ禍の時代だからないというのではなく、以前もなかったことです。とすると出版社のブースがあって、その部屋を訪問するということ自体が、これまでなかったことだと思います。セミナーのようなものを催せばいいのでしょうか。出版社の独自のコンテンツは、編集のノウハウであり、それなら、ひょっとしたら、人を引きつけることができるのではないかと思い、シェアスクリーンで、自分のパソコンのDTPソフトで、「執筆要項」の改訂をしているところを実況中継しようかと思ったのですが、Remoのパワーに負荷を掛けすぎるのか、シェアスクリーンが1回できたと思ったら、その後はできなくなってしまいました。ホワイトボードですと貼って見てもらうことはできますが、作業の中継はできません。

ふらりと出版社の事務所をのぞくという習慣というのはありえるのでしょうか。博士論文を執筆した後に書籍化するためのセミナーのようなものも行うことができますが、博士論文は、ネットで公開して、書籍化を推奨しない時代ですので、書籍化をセミナーで進めるということもテーマとしては難しいでしょう。ただ、著書を書籍化したい、グループで行っている研究を書籍化したいというモチベーションはあると思います。問題は、研究者1人1人に研究の動機が違っているでしょうし、優先順位が違っているでしょうから、人をまとめての一括形式の セミナーは、やはり難しいように思います。

そういう個別の内容であれば、メールとか、もっと違うやり方の方がいいかもしれないです。

出版社がブースにいて、扉を開けて、ちょっと立ち寄ってみようと思わせるものは何なのか?どんな魅力が必要なのでしょうか。出版社の魅力は、あくまで刊行物の魅力であるように思います。リアルタイムぽく「魅せる」ことができるのか?出版社の事務所も、訪問しやすくすることを考える必要があるでしょう。Zoomで訪問できるようにしたいと思います。毎年、5月から行っているオープンオフィスという催しがありますが、もっと早い時期から、開始しようかと考えています。

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執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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