1998年2月2日 日本語形態論ができた

製本屋さんから、本が届いた。2年ぶりの念願の日本語研究叢書である。予約して下さった方も、お待ちいただいたと思うが、作る方も本当に待ちわびていた。これで、年度末が乗り切れるという感じである。今年は、もう2冊は刊行したいところである。著者の方々の奮起をお願いしたい。

さて、長い間、補修をさぼってきたリンク集を改訂した。もちろん、漏れは多いが、フレームにし、見やすくなっていると思う。また、2月からは、絵日記の目次として、絵日記の部屋というのを作った。絵日記は、遊びのページだが、9月からはじめて、すでに6ヶ月目に入ったので、インターフェースを改善した。

 1998年2月2日B 執筆要綱案

原稿を書いていただくときに、かつては、原稿用紙に何枚だとか、デスマス体で書いてほしいとか、様々な項目をあげたガイドラインのようなものを、執筆者に送った。ワープロで書いたデータを、送ってもらうようになっても、基本的には原稿の文字数と行数の指定の仕方が変わったくらいで、結局、テキストファイルだけをもらうのがたいていの場合である。

だが、スタイルシートをパソコンのワープロは作れるのであり、それにしたがって書いていただければ、出版社も助かる。出版社は、執筆者がいろいろなレイアウトをしてくると、それによってかえって、余分なものが入ってしまうことがあるので、困ることがある。だから、執筆者にレイアウトしないでくださいとお願いすることもある。しかし、それでは、執筆者は、レイアウトの仕上がりのイメージがつかめないし、ワープロは小さな印刷所であるのに、原稿用紙に逆戻りを強要されるようなものだ。

そこで、後で編集のしやすいようにあらかじめ作っておいたもので、執筆者にも書いてもらえれば、双方に都合がいいはずなのだ。執筆要項の案とスタイルシート(クラリスバージョンMS-WORDバージョン いずれもマック版)を作ったので、見ていただきたい。わかりにくい点、おかしい点があれば、ご指摘いただけたら幸いである。

 1998年2月5日 目録のデータ

目録のデータを、コンマ区切りとファイルメーカー(マック版)の両方でダウンロードできるようにした。これによって、手元のデータベースソフトや表計算ソフトで、目録を見ることが出来る。手元で、タイトル順に並び替えたりが可能になる。

これは、先日の『日本語形態論』の読書カードにある方が、ひつじ書房のホームページの情報が、まあまあだと書かれていたので、情報をもっとしっかり使いやすいようにしなければ、いけないと思ったということと、今読んでいる『書店人のしごと』(福島聡さん、ジュンク堂の人文書担当者)の中で、目録を出版社がテキストデータにして、手に入るようにしてほしいと書かれていたのを読んだからだ。この本は1991年に出ている。遅きになった感じもあるが、最低限の情報提として、情報をだすことにしたのである。

加えて編集長の但野が書評の特集の投稿が簡単にできるようにしてほしいと言ってきたので、フォームで、情報をこちらに遅れるようにする方法も探ってみた。そしたら、何とかできることがわかったのである。近い内に、ひつじのホームページでも、この機能を付けることにする。みなさんの意見、感想も容易に送ることができるようになる。期待して下さい。(しかし、まあ、真理ちゃんに言われないと試してみなかった私の怠惰さよ!)

 1998年2月10日 絵日記の感想が来た

書評の投稿が簡単にできるようにするという目的で、投稿しやすいフォームの付け方を調べたことは、前回の日誌に書いたが、絵日記のページにも感想をよろしければ、下さいというフォームを付けてしまった。編集長から、どうせ来るはずがないし、悪のりであるとお叱りをいただいたが、よもや来るまいと思っていた絵日記の感想がきてしまった。それも、なかなか丁寧な感想をいただいた。私は、どうせ来るはずがないと思っていた自分を反省するとともに、どうにかうまい具合に、読者の方々をコミュニケーションが取れないかと真剣に考えはじめているのである。

 1998年2月15日 ネットワークとコミュニケーションの講演

何ともありがたくも恐れ多いことに足利市の「織姫」公民館さんから、上記の題での話しを依頼され、どうにかこうにかその大任を果たすことができた。北千住から急行「りょうもう」号で、約1時間。初めて降りた足利市駅は、駅前に大河、渡良瀬川が流れる壮大な町であった。聞きに来て下さった方々は、50名弱。元々が編集者で、あまり人前で話すことは得意な方ではないのだが、最後には質問をいだいたのであった。中に、『本とコンピュータ』第3号をお持ちになっていた方もあり、これは話者の紹介に雑誌のことを書いておいたからなのだが、大変ありがたいことであった。

 1998年2月19日 図書館の予算

図書館の予算を調べてみました。といっても、下記のページに行けば、簡単に見ることができます。

http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jla/tokei.htm

私が住んでいるのは、埼玉県ですが、県のホームページで、土木費との割合を見ようとしたら、資料がないので県知事へのメールという部分から質問をした結果、

 埼玉県の平成9年度一般会計当初予算は、1兆7,785億1,000万円です。歳出のうち、1位は教育費で5,506億5,800万円(構成比31.0%)
2位はお尋ねの土木費で3,327億2,500万円(18.7%)になっています。3位は民生費で1,435億4,300万円(8.1%)です。

との情報を送ってもらいました。埼玉県の県立図書館の(96年)予算は

149896000円(ほぼ1億5千万円)です、。96年度予算での一般会計で、割ると

なんと0.000086となります。

平成8年の土木費が、3227億で、年度が違うのを比較するのは本当はナンセンスですが、土木費と比較して

0.00045です。

日本の図書館統計によれば、

1.96年度の都道府県立図書館の資料費は、合わせて45億4,940万円、1県平均9,680万 円で、県民一人当り37円である。県の一般会計予算額の0.009%を占める。
2.資料費が1億円を越す県は、12都府県である。
3.県民一人当りの資料費が100円を越す県は、6県である。
4.一般会計予算額に資料費の割合が0.02%以上の県は、6県である。

ということです。

この予算で、市民に対して本をきちんと提供しているとは言えないでしょう。

驚くべきことは、埼玉県の場合ですが、土木費よりも教育費が多いということです。図書費に回していいのではないでしょうか? 再販制維持を批判して、出版業界に憎まれている中条さんは、公立の小学校中学校の一人当たりの予算は100万円だと言っています。(教育学者の佐藤学さんによれば、80万円だとのこと)

埼玉の場合、今の100倍の図書館を作っても0.009であり、約1パーセントということになりますが、この程度の規模はあってもいいのではないでしょうか? 人手をかける教育は、必要だと思いますが、情報を収集して、分析したりする教育は、図書館と本とインターネットに委ねてもいいと思います。学校に集まって、学ぶべきことは一部のような気がします。

別に再販制とからめる必要はないわけですが、文部省の白書によれば、再販制の維持は出版産業への補助であると述べています。だったら、実質的な経済的な援助、図書館の資料費を100倍にするといったことの方が優れていると思うのです。どのように思われますでしょうか。

 1998年2月24日 JavaAppletを始めよう!

最近、ひつじのホームページにふわふわしたものや、横に流れるものが、多くなったことに気付かれていると思う。今まで動く部分はほんのわずかだったのに、急に騒がしくなったと感じられている方もいらっしゃるかもしれない。すみません。けれども、動く絵を入れたいということばかりではない。JavaAppletというソフトみたいなものを入れているのだが、簡単に説明するとみなさんが、ひつじのページにアクセスするとサーバーからこのAppletが、みなさんのブラウザーに送られ、みなさんの机の上にあるパソコンで、そのソフトは実行されているのである。そういうソフトがあり、これは、パソコンがマックであろうが、windowsであろうが、機種に依存しないで実行されるのである。ただし、このJavaに対応していない古いブラウザーではダメである。エクスプローラーのマック版の4.0の古いバージョンもなぜかダメだった。

ここで、一つ重要なのは、パソコンやワークステーションの機種に依存しないことと、サーバーから送られると言うことである。Javaで作られ、ブラウザーで表計算ソフトなどを見て、動かす様なことができるようになれば、経済学の論文や報告書などに読んでいる人が自分で数値を入れることのできる「本」を作ることができる。そこでは、本は完結したものではなくて、読者が著者とともに実験することもできるようになる。表が単なる形ではなくて機能になる。新しい本はそういうものであるべきなのではないだろうか?

また、良く分かっていないのでとんちんかんなことかもしれないが、テキストは公開し、普通の表も公開するが、一定の投げ銭をしてくれた人には、動く表を付けたりすることも可能になるのではないだろうか。また、本自体をJavaAppletにしてしまえば、キーワードを入れた人だけが読むことができるということも可能だろう。たとえば、県立中央図書館のサーバーに電子の本を入れて置いて、県民だけが読む本というのも可能だろう。ライセンスを細かく設定できるわけだ。ある県の住民が、県立図書館の登録パスワードを持ち、その図書館が出版社からライセンスされたものを、その地域の住人だけに閲覧できるようにするということも可能だろう。だとしたら、今までの著作権の問題が解決に向かう。また、表を書くトレース屋さんなど、今は廃業の趣きだが、電子的な作表業というのも新しくあらわれるのかも知れない。あるいは、エクセルで作った表を、AppletMakerにドロップすると、自動的に表のAppletができるというソフトを誰か作ってくれないだろうか? いろいろ述べたが、そんな可能性を感じさせてくれるProgramなのである。


日誌 98年1月

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