刊行のことば

三田村雅子

（上智大学教授）

日本文学研究は研究として深化・進化しているもののケータイ小説やライトノベル、現代的な文芸の勃興の中で、日本文学の研究は現在、困難の中にあるようだ。一方、古典文学を含めて、日本文学を楽しみたい、より深く知りたいという要望は、けっして失われているということはないだろう。

新書の出版は盛んに行われている一方で、新書の次の段階の「入門」がほとんど存在しておらず、空隙があるといえるだろう。新書よりも一段階、詳しく、大学生が、レポートを書こうと思ったときに読むべきガイドブックとなるような内容。このレベルは、日本文学研究への橋渡しとしても大切な段階である。

大学生が、あるいは大学生以外でも中学・高校の生徒や教師が、最新の議論のテーマの概略を知ることができて、作家・作品の概略を踏まえながらも、最新の新しい知見を踏まえて「21世紀らしい同時代感覚」の中で新しい情報や楽しみを示唆できる内容を目指す。広く、古典文学から現代までの日本文学の面白さを再発見できるもの。若い読者にとって日本文学研究への道しるべとなるとともに文学作品をより豊かに読むことができる読むためのガイドブックとなるシリーズを刊行する。

シリーズ刊行にあたって

第1期

シリーズ刊行予定（全10巻）

2011年夏より刊行開始

「枕草子」

三田村雅子著

「源氏物語」

安藤徹著

「平家物語」

高木信著

「井原西鶴」

中嶋隆編

「松尾芭蕉」

佐藤勝明編

「徳田秋声」

紅野謙介著

「田村俊子」

小平麻衣子

内藤千珠子

「小林多喜二」

島村輝編

「文芸映画」

中山昭彦著

「村上春樹」

金子明雄著

金子明雄

（日本大学教授）

中嶋隆

（早稲田大学教授）