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2026.7.6(月)

まもなく刊行『事実と意見を区別する言語技術』


オックスフォード英語辞書が、2016年に「今年の言葉」を「post-truth(ポスト真実)」と発表してから、気づけばもう10年経とうとしています。ドナルド・トランプのアメリカ大統領選勝利などを受けて決定されたこの言葉を初めてニュースで聞いた時、「とんでもない時代になったものだ」と思ったのと同時に、こうした時代状況を的確に表す言葉の登場に衝撃を受けたことを今でも覚えています。
残念ながら10年後の現在もフェイク・ニュースや陰謀論などは社会問題として残り続けています。こうした時代には、言説の内容の真偽を吟味する力(メディア・リテラシー)ももちろん重要ですが、その言説の形式がどのようなものか、事実として述べられているのか、意見として述べられているのかといったことを意識して読み解くことも大事なことかと思います。また、SNSなどで気軽に発信できる現代では、自分が書いた文が事実なのか、意見なのか意識して書くこともますます重要なことになっていると思います。
そんな〈事実と意見の区別〉をつける言語技術についての本を来月刊行します。『事実と意見を区別する言語技術:その学び方、教え方を考える』(渡辺哲司編)です。

本書は編者の渡辺先生が、「現代では〈事実と意見の区別〉をつける言語技術が重要である」、「にもかかわらず日本ではこの言語技術が根付いていない」という問題意識のもと、どうすればこの言語技術が根付くのかを考えていく1冊です。
本書の最大の特色はその構成にあります。各章ではさまざまな分野の専門家を「ゲスト」としてお招きして渡辺先生と対談/鼎談を行い、「〈事実と意見の区別〉はどうして大事なのか」「どうすれば根付くのか」を多角的な視点から考察しています。言語技術を教えるエキスパートである国語教育の研究者だけでなく、理科や歴史教育の研究者、さらには元裁判官や新聞記者まで、その顔ぶれは多彩で、各分野で〈事実と意見の区別〉をどう捉えているかが語られ、この言語技術が持つ想像もしなかったポテンシャルが明らかになります。また、各対談/鼎談に続く形でゲストによる論考も配置し、〈事実と意見の区別〉と各分野の関わりについて、さらに理解を深めることができるようになっています。
単に「〈事実と意見の区別〉」は大事だ」、「こう教えれば言語技術は身につく」と主張するだけの本ではありません。対話を通して、時に〈事実と意見〉を区別することの難しさなどにもぶつかりながら、それでもこの言語技術が日本で根付くためにどうすればいいかを思考し続けたからこそ、この言語技術の真価を見出すことができたと言えるかもしれません。

ただいま編集作業は佳境を迎えています。8月上旬刊行予定ですので、お盆休みのお供にぜひお手に取っていただけると幸いです。
また、〈事実と意見の区別〉については、同じく渡辺先生が編者の『教科を越えた「書くこと」の指導:事実を伝え、意見を述べる力を育む』(島田康行先生との共編、2024年刊行)でも議論していますので、よかったら併せてお読みください。

『教科を越えた「書くこと」の指導:事実を伝え、意見を述べる力を育む』詳細ページ
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1238-7.htm




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