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2026.2.10(火)

2月刊行の書籍、4点紹介いたします



他の方のスタッフ日誌にも書かれていましたが、年度末までに刊行する書籍がたくさんあるので、1月から3月にかけてはひつじ書房が一番忙しい時期、繁忙期です。
私も2月中に刊行する担当書籍が4点もありまして、先月はそれらの編集作業がまさに佳境で目が回るような忙しさでした。
というわけで、今回は2月に刊行する新刊書籍4点を一挙にご紹介したく思います。


(1)川上尚恵著『戦後日本語教育はどう実践されてきたか 政策および体制の構築と関連して』
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シリーズ言語学と言語教育 52
『戦後日本語教育はどう実践されてきたか 政策および体制の構築と関連して』
川上尚恵著 上製カバー装 定価6800円+税 978-4-8234-1324-7
   
戦中、日本語教育が軍事・政治的目的から推進されてきたことはよく知られている。では、終戦以降、日本語教育はどうあったのだろうか。本書では、戦中から1970年代頃までの社会の変化を背景に、留学生・技術研修生への日本語教育、日本語教師の育成・海外派遣などのテーマを検討し、日本語教育の実践や課題が社会的課題や政策とどのような関わりにあったか迫る。日本語教育政策が推進されている「今」を考えることにもつながる一冊。

詳細ページURL
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1324-7.htm
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川上尚恵先生の『戦後日本語教育はどう実践されてきたか』は、戦中の帝国主義に加担した反省からはじまった戦後の日本語教育(界)が、国の政策とどのように関係をもち、どのような教育実践がされたか明らかにします。日本語教育政策が注目される今こそ、日本語教育の歴史を知る必要があるかと思いますが、そうした関心に応えるような1冊になっています。


(2)段書暁著『清末科学小説の想像力 伝統と近代の狭間にある文学』
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『清末科学小説の想像力 伝統と近代の狭間にある文学』
段書暁著 上製カバー装 定価9000円+税 978-4-8234-1323-0
   
太陽系を駆けめぐる霊魂、八卦をかたどった翼を持つ宇宙船……西洋近代の知に接し「三千年未曾有の大変局」に直面した清朝末期の中国人の想像力は、新しい世界を多層的なパノラマとして文学に描き出した。本書は「天」「夢」「鏡」などのキーワードを軸に、清末科学小説における文学と科学、伝統と近代の交錯を分析し、荒唐無稽にも見える物語に潜む思想的課題を掘り起こす。「中国はいかにして近代へと踏み出したか」という重大な問いに迫る。

詳細ページURL
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1323-0.htm
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段書暁先生の『清末科学小説の想像力』は、中国の伝統と西洋の科学的知識が奇妙に同居した大衆娯楽的な作品群である清末科学小説から、「中国はいかにして近代へと踏み出したか」を紐解いていく刺激的な研究です。中国文学研究者だけでなく、近代化に関心のある歴史学者や文化研究者にも広く読んでいただきたいです。


(3)澁谷秋著『『續三綱行實圖』研究』
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『『續三綱行實圖』研究』
澁谷秋著 上製カバー装 定価13000円+税 978-4-8234-1325-4
   
本書は、朝鮮時代の長きにわたり刊行された教化書のひとつである『續三綱行實圖』を多角的に解き明かす研究書である。朝鮮書誌学の観点から刻手名や版木の特徴を詳細に分析し、今まで不明確だった現存資料の系統関係を解明し系統図として描いてみせた。また、朝鮮語学の視点から、諺解文のテキスト比較を行い、版ごとのテキストの特徴を記述した。朝鮮書誌学や朝鮮語学だけでなく、歴史言語学、文献学にも有益な一冊。

詳細ページURL
>https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1325-4.htm
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澁谷秋先生の『『續三綱行實圖』研究』は、16 世紀から朝鮮で刊行された教化書で、当時の出版事情・ハングルの歴史的変化を知れる貴重な資料にもかかわらず、不明点も多い『續三綱行實圖』を書誌学的に分析し、朝鮮の印刷・出版史・歴史言語学などにも貢献する研究です。


(4)中村佑衣著『三島由紀夫の作家像形成のストラテジー』
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ひつじ研究叢書(文学編) 22
『三島由紀夫の作家像形成のストラテジー』
中村佑衣著 上製カバー装 定価7000円+税 978-4-8234-1337-7
   
三島由紀夫の作家としての立場を確固たるものにしたのは『金閣寺』であるが、その三島のイメージを固定化してよいのか。本書では、従来は看過されてきたそれ以前の短編小説にも光を当て、ニーチェなどの哲学思想から三島の文学理論を解釈し、三島の作家像の生成と脱構築の過程を辿り、従来の確固とした三島像を問い直す。三島が求めた固定化されない作家像は、メタバースが普及しつつある現代の主体の在り方にも通じるものがある。

詳細ページURL
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1337-7.htm
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中村佑衣先生の『三島由紀夫の作家像形成のストラテジー』は従来あまり論じられてこなかった初期短編や戯曲などの読解から、三島が作品・言説を通して読者がイメージする「作家像」に意識的であることを指摘し、隠れていた三島像を明らかにした1冊です。「作家像」をテーマに三島作品を分析することで、その作品の奥深さが伝わってきます。


日本語教育、中国文学、朝鮮書誌学、日本文学と、見事にジャンルがバラバラの4冊です。
関心のある分野の書籍をぜひお手にとっていただけると幸いです。





2026.2.6(金)

パスタが教えてくれたこと



突然ですが、私は麺類が大好きです。麺類のなかでも特にパスタが好きで、朝食として食べる日もあるくらいです。中学生だった私はある日、レストランのメニューで「トマトソースのスパゲティ」という表記を見かけ、「パスタとスパゲティは何が違うのだろう?」と疑問に思いました。

調べてみると、「スパゲティはパスタの一種」という包含関係にあることがわかりました。しかし、一度は納得したもののしばらくすると、どちらが上位概念だったかを忘れてしまい、そのたびに調べ直すことを繰り返していました。そんななかで知ったのが、パスタという言葉が「ペースト」と同じ語源を持ち、「粉を練ったもの」を意味するという事実です。この背景を知ったことで、単なる知識としてではなく、意味のまとまりとして理解できるようになり、以後この関係を忘れることはなくなりました。当時愛用していた「ロゼット洗顔パスタ」という洗顔料の商品名の由来まで腑に落ちたこともあり、知識同士が結びつく感覚を強く覚えています。
この経験から、単語を覚える際には、語源や成り立ちといった「核となる意味」を押さえることが非常に有効だと実感しました。語源がはっきりしない単語もありますが、可能な範囲で背景を理解し、関連付けて記憶することで、知識が点ではなく線や面として定着していくように感じます。それまで自分は記憶力があまり良くないと思い込んでいて、学校では英単語の小テストのたびに憂鬱な気持ちになっていました。しかし、実際には丸暗記が苦手なだけで、意味を理解したうえで整理すればむしろ安定して覚えられるタイプなのだと気づきました。この気づきは、学ぶことそのものに対して前向きになれる大きな転機でした。

現在の業務においても、この姿勢は非常に重要だと感じています。ひつじ書房での業務には、手順やルールを覚える場面が多くありますが、「なぜこの工程が必要なのか」「どの業務とどうつながっているのか」を理解することで、作業の正確さや判断の速さが大きく変わると感じることが増えてきました。意味を理解していれば、イレギュラーな対応が必要になった際にも、状況に応じて考え、応用することができます。

年度末が近づき、日々の業務が慌ただしくなる中ではありますが、だからこそひとつひとつの作業を単なるルーティンとして処理するのではなく、その背景や目的を意識しながら取り組むことを大切にしたいです。業務の意味を理解し、関連付けて覚える姿勢を持ち続けることで、忙しい時期であっても安定した質で業務を行えるよう努めたいと決意を新たにしています。






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