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2025.11.12(水)

学会デビュー目前



朝晩の気温はすっかり冬になってまいりました。昼間の陽気とほの色づいた木々の葉がまだ秋を感じさせてくれます。今週末15日(土)は七五三だそうです。私も7歳のとき、フォトスタジオで撮影をしたのを思い出します。スタジオのスタッフの方に名前をたずねられたのですが、私の滑舌が悪かったのか「ゆりちゃん」と呼ばれてしまい(本当は「えり」です)、訂正できないまま、ゆりちゃんとして複雑な笑顔を浮かべながらカメラを見つめていました。

さて、今週末の私は七五三、ではなく学会デビューです。初めてのことに不安もありますが、楽しみな気持ちも大きいです。残り数日、しっかりとソフト面・ハード面の準備をして望みたいと思います。

ひつじ書房が学会に出展する目的はいくつかありますが、そのうちの大きな1つはもちろん、本を手に取ってご覧いただくことです。お近くに書店がないケース、書店があってもひつじ書房の本を置いていないケースなども多いかと思いますので、学会での出展は当社の本を実際に手に取ってご覧いただける大チャンスです。叶うのなら、すべての本を取りそろえて出展したいところですが、スペースの関係などさまざまな理由からそうはいきません。そこで、持って行く書籍の選定を行うことになります。新刊、その学会での発表やシンポジウムに関連する書籍を中心に選びますが、この作業が私にはなかなか難しいです。自分ひとりで選定するのはもう少し先になりますが、独力でできるようになることを見据えなければなりません。何よりも、まだどの本がどのような内容なのかを把握しきれていないので、このテーマならこの本!とすぐに思い当たることが難しいのです。自信を持ってみなさまに書籍の魅力をお伝えするためにも、当社の刊行物のことをもっと勉強しなくてはと痛感する日々です。

改めて、朝晩の冷え込みは非常に厳しいものがありますので、みなさまお風邪など召されぬよう、元気に学会でお会いいたしましょう!!






2025.11.11(火)

まもなく刊行



今月末にできあがる本2冊をご紹介します。

1冊目は、『語用論的方言学の始動』。
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『語用論的方言学の始動』
小林隆・中西太郎・津田智史 編
A5判上製カバー装 定価10,500円+税 648頁 ISBN 978-4-8234-1319-3

近年、語用論の発展はめざましいものの、語用論と方言学とが交差するところに生まれる「語用論的方言学」はまだ産声を上げたばかりである。本書は、方言学の新たなパラダイムを描き出すとともに、社会語用論や歴史語用論とのリンクをも視野に入れ、この分野の研究を大きな潮流へと向かわせるひとつの契機となることを企図して編んだ論文集である。執筆者:新井小枝子、太田有紀、沖裕子、尾崎喜光、加順咲帆、川﨑めぐみ、岸江信介、櫛引祐希子、甲田直美、後藤典子、小西いずみ、小林隆、斎藤敬太、齋藤すみれ、峪口有香子、佐藤亜実、椎名渉子、塩田雄大、田附敏尚、ダニエル・ロング、津田智史、友定賢治、中西太郎、半沢幹一、舩木礼子、松田美香、三宅和子、森勇太、矢島正浩、安井寿枝
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方言の語用論的特徴を明らかにする「語用論的方言学」。本書は語用論と方言学とを接続することを目指したこの分野の豊かな可能性が示されています。
ゆる言語学ラジオの水野太貴氏による著書『会話の0.2秒を言語学する』(新潮社刊)で、小林隆先生の論文から、入店のあいさつ表現の地域差を示した図が引用され、コミュニケーションの地域差について言及がされていました。さまざまなところで注目されていると感じています。本書でもあいさつ表現や、感謝、謝罪、罵倒の表現などの多様な言語行動の地域差を明らかにした論文も多く掲載されています。本書で扱われた対象は言語行動だけではありません。29本の論文から「語用論的方言学」の大きな広がりをみていただけますと幸いです。

2冊目は、『日本語文法・文論 複文研究』。
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『日本語文法・文論 複文研究』
奥田靖雄・言語学研究会 編 工藤真由美 解説
A5判上製カバー装 定価6,000円+税 474頁 ISBN 978-4-8234-1309-4

奥田靖雄は、連語論とアスペクト研究で広く知られているが、複文論についてはあまり知られていない。関連する諸論文がさまざまな媒体で発表されており、全体像の把握が難しいこともその一因だろう。本書は、奥田の複文論を体系的に集約し、工藤真由美による全体像の解説も付すことで、この分野における奥田の論の先見性と文法研究史への貢献の可視化を試みる。複文論を専門とする研究者だけでなく、広く日本語文法に興味を持つ人々にとって示唆に富む内容となっている。
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本書は、言語学研究会のリーダー的存在であった奥田靖雄(1919–2002)の文論構想のもとに、1980年代後半の約5年間に分析が進められた、複文に関する論考15本を所収したものです。1980年代に本格的に進められた奥田靖雄の文論研究。過去に公刊された論文にアクセスしにくいという事情があり、弊社より一冊の形で出版することになりました。本書におさめられている論文は公刊されてから数十年がたっているものですが、いま出版される意義のある論文がおさめられています。今日的な意義については、工藤真由美先生による解説をご覧ください。論文で使用されている一般になじみのない用語についても説明されていますので、解説を読んでから本文の方を読んでいただくというのもおすすめです。「奥田言語学」をぜひご覧ください。

2冊とも装丁にも注目していただきたいのですが、本ができましたら、ぜひお手にとってみていただけますと幸いです。
11月29日、30日開催の語用論学会にておひろめ予定です。

よろしくお願いします。





2025.11.6(木)

デジタル全盛時代にあっても



10月が終わりました。11月に入りまして、もう数日が経ちます。毎月のように、「○月もあっという間だった」と言っている気がします。11月も12月もあっという間に過ぎ去って、2025年が終わってゆくのでしょう。このあいだおせちを食べたような気がするのですが……。

先週のスタッフ日誌では、10月27日から11月9日が読書週間であると書きました。せっかくまだ読書週間が続いておりますので、今週も本に関連する話題にしたいと思います。数日前、Xで「ほとんど本を読む時間はなさそうでも、外出時の荷物には必ず本を入れてしまう方はいらっしゃいますか」という投稿があり、話題になっていました。私も、「はいはいは〜〜〜い!!」と挙手をする代わりに、すかさず「いいね」を押したうちのひとりです。近所の買い物は小さなポシェットに最低限の荷物だけを入れて済ませることもありますが、地下鉄でほんの2駅だとしても、電車移動があれば必ず鞄に文庫本をしのばせるのが習慣です。帰宅してから鞄の中を見て、外出中一度も開かなかった本と目が合っても、「持って行かなければよかったなあ」とは思わないのが不思議です。

デジタル全盛の時代に、わざわざ紙の本を持ち歩くことを好む人々が思いのほか多くいることを、(紙の本をメインに刊行する)出版社に勤める人間としてはとても嬉しく思います。紙の手触りを愛する気持ちは何にも代えがたく、私も紙の本を愛好しています。ただ、最近は雑誌ですと、付録欲しさでない限りはデジタルで読むことも増えてきました。私見ですが、絶対的にデジタルがよい、紙がよい、という話ではなく、今後はそれぞれの特徴を生かしてハイブリットに利用する動きが加速していくのだろうと感じます。

来る冬将軍に怯えておりますが、秋の気配の残るうちに、みなさまも引き続き読書の秋をお楽しみください。






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