ひつじ書房 台湾における国語としての日本語習得 甲斐ますみ著 台湾における国語としての日本語習得―台湾人の言語習得と言語保持、そしてその他の植民地との比較から 甲斐ますみ著 ひつじ書房
2012年5月

台湾における国語としての日本語習得―台湾人の言語習得と言語保持、そしてその他の植民地との比較から

甲斐ますみ著

A5判上製 定価9000円+税

ISBN 978-4-89476-647-1

ひつじ書房


*内容紹介*

本書は約70年間の日本語保持の記録と分析である。戦前日本以外の幾つかの地域で、日本語が国語として教育された。台湾はその一つである。本書の特徴は、単に誤用分析に留まらず、歴史的、社会文化的背景を考慮に入れつつ、日本語による教育を受けた台湾人高齢層が話す日本語を、言語習得と保持という観点から包括的に考察する。また台湾と旧南洋群島他の日本語を比較することによって、日本語習得の共通点と違い、地域差も明らかにする。音声データを収録したCD-R付。


*目次*

まえがき

第1 章 台湾の歴史的背景
 1. 台湾の歴史、民族、言語
 2. 日本の統治と抗日行動
 3. インフラ整備と医療
 4. 日本時代の就学率と日本語理解率
 5. 国語教育の歴史
 6. 教授法と教科書
 7. 同化教育と皇民化
 8. 戦後の台湾社会―二二八事件と白色テロの時代
 9. 戦後のメディア
 10. 言語習得と社会的距離
 11. 台湾人と日本語

第2 章 台湾人の話し言葉の分析
 1. バイリンガルと母語
 2. 先行研究
 3. データ収集方法と記述方法
 4. インフォーマントの属性と言語生活
 5. 発音
 6. 母語の干渉と誤り
 7. データ検証
  7-1. 語彙の誤り
  7-2. 語彙の習得
  7-3. 意味不明又は不自然なIU
  7-4. 文法的形態素に関わる誤り
   7-4-1. 受身・使役・可能表現
   7-4-2. 形態素や語の欠如
   7-4-3. アスペクト
   7-4-4. テンス
  7-5. 助詞
  7-6. 指示詞(コ・ソ・ア)の使用
  7-7. 授受表現
  7-8. 述語の形式
   7-8-1. 普通体と丁寧体
   7-8-2. 文末要素(Sentence Final Element: SFE)
   7-8-3. 不自然に聞こえる発話
   7-8-4. モダリティ
  7-9. 複文と重文
  7-10. 方言の影響
  7-11. 台湾式日本語
   7-11-1. 「でしょ(う)」の使用
   7-11-2. 「らしい」の使用
   7-11-3. その他
  7-12. 転移と相づち
 8. ピジンとクレオール
 9. 臨界期仮説
 10. 言語の維持と衰退
 11. 日本語の発達段階とまとめ

第3 章 社会言語学的調査結果
 1. はじめに
 2. 先行研究
 3. 調査方法
 4. 被調査者の属性
  4-1. 性別
  4-2. 年齢
  4-3. 学歴
  4-4. 日本語による教育年数
  4-5. 居住地
  4-6. 職業
 5. 結果と分析
 6. まとめ
 7. 資料―質問事項

第4 章 その他の植民地における日本語との比較
 1. 歴史的背景
  1-1. 朝鮮における国語教育
  1-2. 朝鮮の就学率
  1-3. 南洋群島の統轄
  1-4. 南洋群島の国語教育
  1-5. ヤップとパラオ
 2. 先行研究
 3. インフォーマント
 4. 結果
  4-1. 誤りと変異
  4-2. 語彙の誤りと特殊な用法
  4-3. 意味不明又は不自然なIU
  4-4. テンスとアスペクト
  4-5. 可能、使役、受身
   4-5-1. 可能表現
   4-5-2. 使役と受身
  4-6. 指示詞
  4-7. 助詞
  4-8. 複文と重文
  4-9. 述語形式
  4-10. 転移と相づち
 5. 歌と文字
 6. まとめ―日本語の維持と衰退

第5 章 台湾人高齢層からの意見・コメント・手紙
 1. はじめに
 2. 資料分類
 3. 資料
  3-1. 自己の日本語学習及び日本語能力の保持について
  3-2. 日本時代の教育について
  3-3. 日本時代の思い出
  3-4. 日本語について
  3-5. 日本に対する評価
  3-6. 日本に対する要望
   3-6-1. 人的交流方面
   3-6-2. 政治方面
   3-6-3. 経済方面
   3-6-4. その他
  3-7. 日本に対する批判
  3-8. 戦後補償等についての要望
  3-9. 台湾独立、台湾の国連加盟等についての支持要請
  3-10. 中国大陸、国民党政権、外省人に対する反感
  3-11. 現在の台湾に対して
  3-12. その他
  3-13. 送られてきた手紙の一部
 4. まとめ

第6 章 巻末資料
 1. 初等教育就学率―台湾籍児童と日本籍児童の比較
 2. 小学校と公学校数および児童数の比較
 3. 全児童数に対する台湾人児童の割合
 4. 1934 年〜 1937 年の学校数、全学生数、教員数
 5. 公学校本科卒業者及び中途退学者
 6. 公学校における日本人教員と台湾人教員の比率
 7. 書房数/生徒数と公学校数/生徒数の比較
 8. 先住民在学者数と就学率
 9. 1929 年(昭和4)時点の先住民、民族別就学率
 10. 内地留学
 11. 1921 年(大正10)の公学校教授程度及び毎週教授時間表
 12. 社会教育
 13. 台湾島の住民
 14. 1939 年(昭和14)末時点の主要都市人口内訳
 15. 1920 年(大正9)時点の日本人出身県別人口
 16. 本島人で中国語を理解する者
 17. 南洋群島における公学校本科の就学率
 18. 1933 年(昭和8)時点のチャモロ人、カナカ人を合わせた島民人口に対する公学校本科生及び卒業生数の割合
 19. 朝鮮における国語理解者
 20. 朝鮮における普通学校生徒数及び就学率
 21. 1936 年(昭和11)時点の日本人及び朝鮮人各学校数と生徒数
 22. 記述記号

おわりに
参考文献
索引



ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。
書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。

 

 



お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
送料420円でお送りします。
新刊案内へ
ひつじ書房ホームページトップへ