日本語の対人関係把握と配慮言語行動 三宅和子著 ひつじ書房 日本語の対人関係把握と配慮言語行動 三宅和子著 ひつじ書房
2011年2月

日本語の対人関係把握と配慮言語行動

三宅和子 著

A5判上製 定価3,800円+税

ISBN 978-4-89476-472-9

ひつじ書房



要約

談話の分析を通して、日本語の対人関係の把握の仕方とその背景にある価値観や世界観との関連を考察する。言語コミュニティーにおける人々の「配慮」のとらえ方は言語表現の現れ方に影響を与える。近年メディアの言語生活への浸透が著しいが、日本語社会の言語行動規範にも変化が現れているだろうか。ポライトネスとも関連づけながら、対面のコミュニケーションとケータイメール・コミュニケーションの研究を通して究明する。


目次

 第I部 配慮言語行動ー日本語のコミュニケーション・スタイルー
序論 配慮言語行動ー日本語のコミュニケーション・スタイルー
1 ことばの対人関係機能
2 配慮言語行動とは
3 対人把握と文化

 第II部 言語行動にみる対人関係把握と役割意識
第1章 感謝と謝罪における「すみません」の選択メカニズム
1 はじめに
2 「感謝と謝罪」研究の流れ
3 「すみません」が使えない場面
4 利益と負担をめぐる心理的接点
5 謝罪表現選択のメカニズム
6 おわりに

第2章 ウチ・ソト・ヨソ意識にみる対人把握ー自己と他者の境界ー
1 はじめに
2 「うち・そと」概念
3 日本人の人格構造
4 ウチ・ソト・ヨソの意識
5 ヨソに関する研究の方向性
6 おわりに

第3章 対照言語行動研究の可能性 ーThe Bulge「膨らみ理論」をめぐってー
1 はじめに
2 異なる言語の比較
3 The Bulge 「膨らみ理論」
4 「感謝と謝罪」 研究との類似点
5 社会的要因の分類:距離と地位
6 人物カテゴリーの分類
7 キーワード “elaboration”の意味
8 おわりに

第4章 形容詞の行為要求機能ーその社会文化的指標性ー
1 はじめに
2 該当する形容詞
3 他言語との比較
4 語用論の観点からみた形容詞の「行為要求機能」
5 聞き手依存性の高い発話
6 おわりに

第5章 「はい」の談話展開上の機能と特徴
1 はじめに
2 「はい」研究の観点
3 応答詞としての「はい」
4 「はい」は応答詞か
5 あいづちとしての「はい」の機能
6 談話管理の観点からみた「はい」
7 放送談話の「はい」

第6章 スポーツ実況放送の談話スタイルー視聴者が期待する型ー
1 はじめに
2 分析の背景
2.1 フレーム
2.2 放送の談話管理
3 インタラクションの分析
4 逸脱の談話
5 おわりに

 第III部 メディア社会の配慮言語行動
第1章 メディア時代のコミュニケーションのゆらぎ
1 はじめに
2 コミュニケーションのゆらぎ
3 変化の背景
4 メディア上の対人把握
5 おわりに

第2章 若者の私的コミュニケーションーポケベルからケータイへー
1 はじめに
2 ポケベルの変遷とコミュニケーションの特徴
3 ポケベルとケータイの交替劇
4 文字メディアとしてのケータイ
5 ケータイメールの使われ方
6 ポケベルとケータイメール、音声通話のメディア特性
7 ケータイメールにみる若者のコミュニケーション

第3章 ケータイメールの対人関係
1 はじめに
2 若者のケータイ依存
3 ケータイメールのメディア特性と若者の対人心理
4 若者の対人関係
5 メールの中の対人配慮
6 相手によって使い分けるメッセージ
7 メッセージの特徴
8 文末の絵記号にみる配慮
9 おわりに

第4章 ケータイメールの逸脱志向をめぐって
1 はじめに
2 ケータイメール表記の特徴
3 ギャル文字ー「くずす」ことへの情熱ー
4 「規範からの逸脱」の流れ
5 なぜ規範から外れるのか

第5章 メール会話のヴィジュアル・コミュニケーション
1 はじめに
2 ケータイメールのデータ
3 話しことばらしさとは
4 電子メディアとしてのケータイメール
5 メール会話の談話的特徴
6 視覚に訴えるメディア
7 おわりに

第6章 ことばのハイブリッドーケータイ方言ー
1 はじめに
2 方言話者とは誰のことか
3 地域性をなくした「方言」のブーム
4 「方言」のステレオタイプ
5 方言話者のケータイ方言
6 ケータイ方言の特徴
7 ケータイ方言の現代的意味

第7章 メディアを介した配慮ーケータイメールの謝罪ー
1 はじめに
2 謝られる側からみた謝罪
3 メディアを介した謝罪
4 ケータイメールの謝罪はどのような反応を呼ぶか
5 謝罪に対する心理的反応
6 どのように返信したか
7 おわりに


【執筆者紹介】

三宅和子(みやけ かずこ) 東洋大学文学部教授。
専門は日本語学、語用論、社会言語学。


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