ひつじ書房 荷田春満と日本語音調史の研究 中村明裕著 ひつじ書房 荷田春満と日本語音調史の研究 中村明裕著
2026年2月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第219巻

荷田春満と日本語音調史の研究

中村明裕著

定価9,800円+税 A5判上製函入 464頁

ISBN978-4-8234-1343-8

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A Study of Kada no Azumamaro and the History of Japanese Pitch Accent
Nakamura Akihiro

ひつじ書房

【内容】

本書は、国学の始祖とされる荷田春満とその門人が書き残した語彙集を分析し、それに反映された当時の日本語の音調を明らかにする。あわせて日本語学史上の春満の位置づけを考察し、その時代に先んじた言語研究に光を当てる。生没年も生育地も明らかな春満自身による記録は、京都アクセント史上の貴重なマイルストーンとなりうる。さらに、春満による記述は東部方言のアクセントにまで及び、日本語アクセント史全体への示唆に富む。


【目次】

序章 本書の研究課題と梗概
1. 本書の目的
2. 本書の構成と梗概
2.1 第1部
2.2 第2部
2.3 付録

I 荷田春満と近世語の音調

第1章 日本語音調史一瞥
1. はじめに
2. 音調についての諸概念
2.1 共時的概念と用語
2.2 表記法
2.3 諸方言のアクセント体系と表記法
2.4 方向観と段階観
2.5 通時的概念と用語
3. 京都方言の音調史
3.1 通史
3.2 前院政期
3.3 院政期
3.4 鎌倉期
3.5 室町期
3.6 近世期
3.7 近現代期
4. 京都方言以外の音調史
4.1 京都方言以外の文献資料
4.2 現代諸方言
5. 文献による京都方言の音調の研究史

第2章 荷田春満について
1. はじめに
2. 春満に対する研究史
3. 江戸に出るまでの時代
4. 江戸在留の時代
5. 江戸・京都往復の時代
6. 京都での晩年
7. 没後

第3章 第一種表記法
1. はじめに
1.1 本章の目的
1.2 本章の表記法
1.3 調査対象
2. 京都方言のアクセント史と先行研究
2.1 京都方言のアクセント史
2.2 荷田春満のアクセント資料
3. 第一種表記法の推定音価の修正
3.1 第一種・第二種表記法の比較
3.2 〈上上…平〉型
4. 類別語彙との比較
4.1 類との対応
4.2拍数ごとの詳細
4.3 対応の例外
5. 類別語彙外の体言
6. おわりに

第4章 第一種表記法補説
1. はじめに
2. 副用言等
3. 付属語
4. 第一種表記法の諸形式
5. 第三種表記法
5.1 本節のはじめに
5.2 型と語の一覧
5.3 型の推定
5.4 『日本書紀語釈稿』以外の資料の類似の表記
6. 断片的な言及
6.1 『歌林類葉』
6.2 『童子問残欠』
6.3 『伊勢物語童子問』
6.4 『祝詞式和解』
7. 契沖のアクセント観について
7.1 本節のはじめに
7.2 金田一(1943=2001)の解釈
7.3 契沖の〈平声〉と〈上声〉
8. おわりに

第5章 第二種表記法
1. はじめに
1.1 本章の目的
1.2 表記法と調査対象
2. 先行研究
3. 第二種表記法の諸形式
4. 類別語彙との比較
4.1 1拍体言
4.2 2拍体言
4.3 3拍体言
4.4 4拍以上の体言
5. 注記の音価
5.1 〈平声〉始まりの注記
5.2 〈上声〉始まりの注記
5.3 〈去声〉始まりの注記
5.4 注記とその音価の一覧
6. 低起式音調について
6.1 本節のはじめに
6.2 先行研究
6.3 春満の資料の低起式音調の解釈
6.4 阿南型との関係
6.4.1 竜神型の例外
6.4.2 助詞つきの形
7. おわりに

第6章 複合名詞のアクセント
1. はじめに
1.1 本章の目的
1.2 用語と資料
2. 先行研究
2.1 前部要素(式保存)
2.2 後部要素(和田法則と和田仮説)
2.3 文献資料における後部要素の関与と和田法則
2.4 現代語における和田法則
2.5 和田法則の起源
3. 春満の資料における複合名詞アクセント
3.1 式保存
3.2 アクセント核
4. 考察
4.1 後部要素が2拍体言の場合
4.2 後部要素が動詞からの2拍の転成名詞の場合
4.3 後部要素が3拍の場合
4.4 その他
4.5 歴史的意義
5. 補説
5.1 「-日カ」
5.2 接尾辞「-カ」を持つもの
5.3 その他
6. おわりに

第7章 用言のアクセント
1. はじめに
1.1 本章の目的
1.2 資料と方法
2. 先行研究から見る近世京都方言の用言のアクセント史
2.1 前史
2.2 近世
2.3 後史
3. 動詞のアクセント
3.1 終止形が1拍の動詞β
3.2 終止形が2拍の動詞
3.3 終止形が3拍の動詞
3.4 終止形が4拍の動詞
3.5 終止形が5拍の動詞α
4. 形容詞のアクセント
4.1 終止形が2拍の形容詞
4.2 終止形が3拍の形容詞
4.3 終止形が4拍の形容詞
4.4 終止形が5拍の形容詞
5. 考察
5.1 春満の資料に反映された用言のアクセント型の性質
5.2 口語形について
6. おわりに

第8章 第二種表記法補説
1. はじめに
2. 副用言等
2.1 副用言等の例一覧
2.2 「ア」「アア」
2.3 「イデ」「イデヤ」
3. 付属語
3.1 付属語単独への注記
3.2 多単位形中の助詞
4. 多単位形
4.1 〈平声〉始まり
4.2 〈上声〉始まり
4.3 〈去声〉始まり
5. その他
5.1 明白な誤りとして省いたもの
5.2 破損により判読できなかったもの
6. おわりに

第9章 方言声点資料について
1. はじめに
2. 書誌
3. 内容
4. 考察
4.1 推定される音調型
4.2 現代諸方言との比較
4.3 近世東部方言の音調体系
4.4 東丸神社所蔵の他の資料との関係
5. おわりに

第10章 荷田派とそれ以降の音調研究
1. はじめに
2. 筆写者不明『日本書紀或問』
3. 荷田信名
3.1 『万葉童蒙抄』
3.2 『箚記』
4. 荷田在満
4.1 『国歌八論』
4.2 『名目鈔』との関わり
5. 『名目鈔』(A 本・親盛本)
5.1 書誌
5.2 A本・親盛本の資料価値
6. 賀茂真淵『語意考』
7. 本居宣長以降
7.1 『漢字三音考』における記述
7.2 国学における音調研究の凋落
8. おわりに

II 日本語学史上の荷田春満

第11章 『日本音義』について
1. はじめに
2. 『日本音義』の資料群
2.1 『全集』所収の資料
2.2 『全集』未収の資料
3. 構成
3.1 現存する部
3.2 現存しない部
4. 内容の特徴と価値
4.1 見出し語
4.2 アクセントの表記法
4.3 語釈の方法
5. 日本語学史上の春満と『日本音義』の文法組織
5.1 本節のはじめに
5.2 日本語学史上の春満の位置づけに関する従来の評価
5.3 『日本音義』の文法組織
5.4 春満から『語意考』、そして『詞八衢』へ

第12章 『日本音義』の仮名遣い
 荷田春満が契沖の学説を受容したのはいつごろか
1. はじめに
2. 『日本音義』の仮名遣い
2.1 『日本音義』について
2.2 全体の傾向
2.3 /オ/の仮名
2.4 /オ/以外の仮名
2.5 仮名遣いが変更された語
3. 春満が契沖の学説を受容した時期
3.1 先行説と問題の所在
3.2 春満が契沖の学説を受容したのは宝永5 年である
4. おわりに

第13章 『伊勢物語童子問』における仮名遣い論
1. はじめに
1.1 本章の目的
1.2 『伊勢物語童子問』について
1.3 先行研究
1.4 方法
2. 『童子問』に現れる仮名遣い論
3. 考察
3.1 契沖の仮名遣い説の影響
3.2 春満独自の仮名遣い説
3.3 定家への批判
3.4 真名本伊勢物語の重視
4. おわりに

終章 結論

付録1 荷田春満の音調資料索引
付録2 『日本音義』補遺
 『日本音義』天部~衣服部(補遺)
 『日本音義』言語部(補遺)
参考文献
初出一覧
おわりに 索引



【著者紹介】
中村明裕(なかむら あきひろ)
 略歴
1988年生まれ。長野県下諏訪町出身。国学院大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、国学院大学兼任講師、大東文化大学非常勤講師。
 主な論文
「荷田春満のアクセント資料における第一種表記法」『日本語の研究』(2022年)、「荷田春満のアクセント資料における第二種表記法」『国語研究』(2025年)、「荷田春満のアクセント資料における複合名詞のアクセント」『音声研究』(2025年)、「東丸神社所蔵の方言声点資料について」『方言の研究』(2025年)など。


ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。 書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。

 

 



お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
新刊案内へ
ひつじ書房ホームページトップへ