ひつじ書房 〈私〉の拡大と物語の現在 戦後日本の近現代文学、サブカルチャー 山田夏樹著 ひつじ書房 〈私〉の拡大と物語の現在 戦後日本の近現代文学、サブカルチャー 山田夏樹著
2025年5月刊行

未発選書 32

〈私〉の拡大と物語の現在

戦後日本の近現代文学、サブカルチャー

山田夏樹著

四六判上製カバー装 定価6200円+税

ISBN978-4-8234-1299-8

装丁:中垣信夫+中垣呉(中垣デザイン事務所)

The Expansion of the 'Self' and the Present of Narrative: Modern and Contemporary Literature and Subculture in Postwar Japan
Yamada Natsuki

ひつじ書房




【内容】
三島由紀夫、大江健三郎、北杜夫、村上春樹などの戦後文学や、手塚治虫、富野由悠季などのサブカルチャーを再読し、〈私〉の変容を探る。かつて内面的な自己表現の場であった物語は、現代のキャラクター化や断片的消費の中で新たな意味を持つ。戦後文学における〈私〉の語りとネット時代の自己演出を結びつけ、物語の受容とアイデンティティの変遷を読み解く。過去と現在を横断しながら〈私〉とナラティブのあり方を問い直す一冊。


【目次】

序章 物語受容の変化―コンテンツ・キャラクター・自己表現


I 問い直される〈私〉―戦後の足場と現在

第1章 大江健三郎「人間の羊」―「透明な壁」と「涙」

第2章 安部公房「プルートーのわな」―「沈黙の歌」をどのように聴くのか

第3章 三島由紀夫「橋づくし」―差別と模倣

第4章 三島由紀夫「鏡子の家」―「時代の壁」の解体

第5章 三島由紀夫「白蟻の巣」、北杜夫「輝ける碧き空の下で」、手塚治虫「グリンゴ」―ブラジル日系移民と勝ち組表象

第6章 北杜夫「楡家の人びと」―「基一郎の遺志」と語り手の位置

第7章 手塚治虫、梶原一騎作品の闇市表象―超越する時空

第8章 北杜夫「幽霊」―語り得ぬ「幼年期」に対峙する「ぼく」


II 模索される〈私〉―虚構との対峙

第9章 村上春樹「沈黙」―饒舌、「沈黙」の暴力

第10章 村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」―「唐突すぎる」切断/接続と連鎖する「選択」

第11章 阿部和重「アメリカの夜」、「インディヴィジュアル・プロジェクション」―「映画」の廃棄と〈私小説〉

第12章 伊坂幸太郎「終末のフール」―「父」とカタストロフ

第13章 川上弘美「神様2011」、竜田一人「いちえふ」、カトーコーキ『しんさいニート』―戦後の「壁」

第14章 震災マンガの表象―「機動性」・「主観」性・「実用性」

第15章 さくらももこ「ちびまる子ちゃん」、「神のちからっ子新聞」―創造される「私」(「作者」)

第16章 キャラクターとしての「萩原朔太郎」―群集に対峙する個

第17章 富野由悠季「機動戦士Zガンダム」―大量破壊と可能世界

第18章 富野由悠季「機動戦士ガンダムF91」―語り手のキャラクター性



著者紹介
山田夏樹(やまだ なつき)
〈略歴〉1978年、東京都出身。東京学芸大学教育学部卒業、立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、昭和女子大学人間文化学部准教授。
〈著書〉『「ドヤ街」から読む「あしたのジョー」』(昭和女子大学近代文化研究所、2020)、『石ノ森章太郎論』(青弓社、2016)、『ロボットと〈日本〉』(立教大学出版会、2013)、共編著『文学理論と文学の授業を架橋する』(東京学芸大学出版会、2024)、『卒業論文マニュアル』(ひつじ書房、2022)、共著『夏目漱石 修善寺の大患前後』(昭和女子大学近代文化研究所、2022)など。



ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。
書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。

 

 



お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
新刊案内へ
ひつじ書房ホームページトップへ