事態概念の記号化に関する認知言語学的研究 事態概念の記号化に関する認知言語学的研究 谷口一美著 ひつじ書房
2005年2月

事態概念の記号化に関する
認知言語学的研究

谷口一美著

6200円+消費税

ISBN4-89476-236-6

ひつじ書房


認知言語学的アプローチにより日英語の文法構文の分析を行う。前半において基本的な文法概念について認知言語学的定義づけを行い、後半において共時的・通事的側面および日英語の対照から分析を行う。

目次

第1章 序―理論的背景―
1.1 認知文法
 1.1.1 言語の記号性と有契性
 1.1.2 主観的意味論:認知的際立ち、読者の解釈
 1.1.3 ゲシュタルトと構成性
1.2 カテゴリーの構成
 1.2.1 プロトタイプ理論とスキーマ
 1.2.2 動的使用基盤モデル
 1.2.3. 意味拡張の原動力:メタファー・メトニミーと認知意味論
1.3 構文文法

第2章 事態概念と文法関係の認知的基盤
2.1 事態認知モデルと他動的関係のプロトタイプ
2.2 「主語」「目的語」のカテゴリー
2.3 受け身文と文法関係
2.4 参与者とセッティング:2種類の名詞句の性質
 2.4.1 「参与者」から「セッティング」へ:文法関係における拡張
 2.4.2 「参与者」と「セッティング」の曖昧性
 2.4.3 「経路」:日本語の経路対格標示をめぐって
 2.4.4 「起点」の対格標示
2.5 認知的際立ちの相対性と交替現象
2.6 結語

第3章 動詞の意味と構文の意味
3.1 他動詞の意味表示
3.2 プロトタイプから拡張した他動詞
 3.2.1.心理述語動詞
 3.2.2 表面接触動詞
 3.2.3 知覚動詞
 3.2.4 作成動詞
 3.2.5 3つの参与者から成立する事態の場合
 3.2.6 まとめ
3.3 動詞の意味と構文の意味
 3.3.1 多義性に基づくアプローチ
 3.3.2 構文の意味
 3.3.3 構文文法
  3.3.3.1 参与者役割と項役割
  3.3.3.2 構文と動詞の意味の融合
  3.3.3.3 二重目的語構文と動詞の融合
  3.3.3.4 移動使役構文と動詞の融合
  3.3.3.5 問題点
 3.3.4 本書でのアプローチ
 3.3.5 動詞の意味から構文の意味へ:言語習得の使用基盤モデル
3.4 結語

第4章 非対格性:自動詞の分類とその概念的基盤
4.1 意味論的アプローチ
4.2 自動詞によって表される事態概念:thematic relation
4.3 Thematic relationの下位分類
4.4 放射状カテゴリーとしての非能格動詞・非対格動詞
 4.4.1 非能格動詞
 4.4.2 非対格動詞
 4.4.3 拡張事例の位置づけと分類:directed motion verbs
 4.4.4 完結性 (telicity) と非対格性
4.5 文法構文と非対格性 ―there構文を例に―
4.6 自他の対応と事態の自律性
4.7 境界線上にある自動詞
4.8 結語

第5章 中間構文
5.1 中間構文の特性
5.2 中間構文の事態認知モデル
 5.2.1 Agentの不特定性
 5.2.2 Mover/Patientの発する促進力・抵抗力
 5.2.3 中間構文の副詞
  5.2.3.1 中間構文に生じる副詞の意味的特性
  5.2.3.2 副詞の認知モデル:セッティングとしての副詞
  5.2.3.3 中間構文での副詞の必要性
 5.2.4中間構文の属性読み
 5.2.5 Instrumentを主語とする中間構文
 5.2.6 Agentの明示に関する問題
5.3 中間構文と他動詞
 5.3.1中間構文に前提とされる事態解釈
  5.3.1.1 知覚動詞
  5.3.1.2 表面接触動詞
  5.3.1.3 作成動詞
  5.3.1.4 摂取行為の動詞
  5.3.1.5 受容者主語動詞:Sellとbuyの対比を中心に
 5.3.2容認性に対するコンテクストの影響
 5.3.3まとめ
5.4 先行研究の概観:認知的アプローチと比較して
5.4.1 統語論的・語彙論的アプローチ
 5.4.2アスペクト分類と中間動詞
 5.4.3影響性 (affectedness)
 5.4.4責任 (responsibility)
5.5 結論

第6章 補語を伴う知覚動詞の意味と構文の成立
6.1 補語を伴う知覚動詞
6.2 認知文法から見たCPVsの特異性
6.3 CPVsの歴史的観察
6.4 CPVsの成立過程:二方向性知覚から一方向性知覚へ
 6.4.1 補語の起源
 6.4.2副詞から形容詞補語へ
 6.4.3二方向性知覚における関係のプロファイル・シフト
 6.4.4二方向性知覚から一方向性知覚への拡張
 6.4.5叙述的機能の確立
 6.4.6 拡張の段階性
 6.4.7 現代英語に見られる成立過程の名残
 6.4.8まとめ:「構文」としての CPVs の確立
6.5 経験者の含意と主体化
 6.5.1主体化:Langacker (1990b)
 6.5.2 CPVにおける主体化
6.6 他構文との関わり:知覚から推論へ
 6.6.1 一般的な連結動詞:be,seem
 6.6.2 seemと CPVs :知覚と推論の関わりによる類推
 6.6.3主体化による意味変化:lookの場合
 6.6.4 CPV構文の拡張:行為を通じた推論へ
 6.6.5 中間構文との比較
6.7 結論

第7章 動詞と構文に関する日英語対照研究
7.1 日英語対照に関する先行研究
7.2 日英語の事態解釈に関する想定
7.3 語彙における日英語相違
7.3.1 動詞の記号化パターン:心理述語動詞を中心に
 7.3.2 形容詞派生動詞にみられる相違
 7.3.3 他動詞における<結果>の含意
 7.3.4 迂言的使役
 7.3.5 まとめ
7.4 構文における日英語相違
 7.4.1 結果構文
 7.4.2 中間構文
 7.4.3 結果構文と中間構文の対照性  7.4.4 名詞修飾表現
7.5. 結論

第8章 事態概念の拡張と構文の拡張
8.1 事態解釈の拡張:P-transitive relation からE-transitive relation へ
8.2 日本語の被害受け身文
 8.2.1 日本語の受け身文
 8.2.2 先行研究 (1): 久野 (1983)
 8.2.3 先行研究 (2): 高見 (1995)
 8.2.4 先行研究 (3):高見・久野 (2002)
8.3 認知文法による被害受け身文の分析
 8.3.1 一般的な受け身文の機能
 8.3.2 日本語での被害受け身文
  8.3.2.1 被害受け身文の表す事態
  8.3.2.2 構文の意味としての<被害・迷惑>
  8.3.2.3 CAUSE-event の自律性
  8.3.2.4 被害受け身文とインヴォルヴメント
8.4 英語の疑似目的語構文
 8.4.1移動使役構文・結果構文の特性
 8.4.2 疑似目的語構文の表す事態と特性
8.5 E-transitive relation の概念化と記号化:日英語を比較して
 8.5.1 E-transitive relation の記号化の制約
 8.5.2 E-transitive relation の概念化に関する共通性と相対性
  8.5.2.1 事態間の結束性
  8.5.2.2 E-transitive relation と被害性
8.6 Way 構文
 8.6.1 Way構文の意味的特性
 8.6.2 Way構文の認知的分析:プロトタイプ的なway構文
 8.6.3 プロトタイプから拡張したway構文
 8.6.4 疑似目的語構文と手段の解釈のway構文の類似性
8.7 結論:日英語を比較して

第9章 結論

参考文献
索 引
あとがき


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