HOMEへ過去の日誌10月の日誌スタッフ紹介

2020.11.27(金)

流行語大賞



気づけば今年もあと一ヶ月。あっという間の一年です。「もう年の瀬なんだ」ということに気づかされるきっかけは様々ですが、そのうちの一つに『現代用語の基礎知識選 2020ユーキャン新語・流行語大賞』(「流行語大賞」)の発表があります。毎年これにノミネートされた言葉を見て一年を思い返す人も多いのではないでしょうか。 今年ノミネートされた言葉は以下の通りです。

1.愛の不時着/第4次韓流ブーム
2.新しい生活様式/ニューノーマル
3.あつ森
4.アベノマスク
5.アマビエ
6.ウーバーイーツ
7.AI超え
8.エッセンシャルワーカー
9.おうち時間/ステイホーム
10.オンライン○○
11.顔芸/恩返し
12.カゴパク
13.鬼滅の刃
14.クラスター
15.香水
16.GoToキャンペーン
17.3密(三つの密)
18.自粛警察
19.Zoom映え
20.総合的、俯瞰的
21.ソーシャルディスタンス
22.ソロキャンプ
23.テレワーク/ワーケーション
24.時を戻そう(ぺこぱ)
25.Niziu(ニジュー)
26.濃厚接触者
27.BLM(BlackLivesMatter)運動
28.PCR検査
29.フワちゃん
30.まぁねぇ〜(ぼる塾)

コロナ関係の言葉が多いのは予想通りでしたね。これらの言葉が一過性の流行ではなく、来年以降も定着していくのでしょうか、気になるところです。

ところで、世事に疎い自分は、毎年聞いたこともない言葉がいくつもあるのですが、今年はほとんど知っていました。コロナの影響で外出が減り、ネットテレビを見る時間が増えたからでしょうか。
その中で唯一聞いたことがなかったのが、「30.まぁねぇ〜(ぼる塾)」です。調べてみると、4人組芸人コンビ「ぼる塾」の田辺さんがネタのときに使うフレーズだそうです。相方のあんりさんが田辺さんを適当におだてた後に、田辺さんが「まぁねぇ〜」と言ってまんざらでもないという態度を示し、その後に田辺さんがぼける、という漫才の流れの中ででてくるのが「まぁねぇ〜」だそうです。
同じ芸人のぺこぱの「時を戻そう」ほどは流行っていないような……。と思いつつ、調べていると、田辺さんがツイートでこんなこと(https://twitter.com/chi0314ka/status/1304438773959196675?s=20)を言っていました。

「私なんてーって言葉を撲滅したい。褒められたら世の女性全てがまぁねーって返せるようになったらいいなー。」

なるほど、単に笑いをとるためだけでなく、女性が社会の規範やジェンダーロールなどを気にせず、自己を肯定できるようにしたいという思いがこもった言葉だったのですね。2年ほど前に話題になった女性4人組バンド「CHAI」がつくった造語「ネオかわいい(自分のコンプレックスも「かわいい個性」として肯定する言葉)」にも通じる、とても現代らしい言葉だなと思いました。こういう言葉が流行語としてノミネートされる意義はとても大きいと思います。





2020.11.26(木)

『未発 2020年秋冬号』



先週の火曜日、水曜日に新刊目録である『未発 2020年秋冬号』を発送しました。もうお手元に届いている方も多いかと思います。早速ご注文をくださった方もいらっしゃいましてうれしい限りです。
毎回『未発』の発送はスタッフ総出で行うのですが、自分はこれが2回目の発送作業でした。前回の夏の時に比べて、大分テキパキと発送作業を進められたのですが、それでも何度も発送作業を行っている先輩方のスピードにはかないませんでした。

今回お送りする『未発 2020年秋冬号』には、テキストの難易度が種類別に一目でわかるテキストマップが掲載されています。「日本語学」「英語学」「言語学一般・言語教育」「スタディスキル」「日本語学習教材」の五分野のテキストの難易度がわかりやすく示されているので、大学の授業でテキストの採用を検討されている方は是非ご活用ください。
また、「近刊紹介」のページには、自分が担当している書籍も掲載されています。前回の『夏号』の段階ではまだ自分が担当している書籍はなかったので、自分が担当している書籍が掲載されるのは今回が初めてで、とても身が引き締まる思いがします。新刊として皆様にお手にとってもらえるように、がんばって編集を進めていきます。





2020.11.25(水)

句読点について



「公用文作成の要領」というものがあります。昭和27年に作成され、Wikipediaによると「昭和20年代に行われたさまざまな国語改革政策の一環として、また政治・行政の民主化の一環として、さまざまな公文書を「官庁自身や一部の専門家のためのもの」から「広く国民全般のためのもの」に改めることを目的としていた」とあります。

しかし、昭和27年に作成されたものであるので、「内容のうちに公用文における実態や社会状況との食い違いがあることも指摘されてきた」ということで、現在、文化審議会国語分科会国語課題小委員会において、「「公用文作成の要領」を見直し、新たにどのような論点を取り上げるべきかについて」の議論が重ねられています。

文化審議会国語分科会国語課題小委員会(第38回)

その具体的な資料に、最新のもので令和2年10月31日付け(文化審議会国語分科会国語課題小委員会(第38回))の「新しい公用文の作成の要領に向けて(中間報告)(案)」があります。その中には「表記の原則について」の項目があり、文章中の表記を何らかの基準を持って統一しようと考える際には大変参考になります。

もちろん出版社は官公庁ではないので、「公用文作成の要領」に従う必要はありませんし、独自のルールがあれば良いのですが(『記者ハンドブック』(共同通信社)、『日本語の正しい表記と用語の辞典』(講談社)など様々な手引が出されています)、「新しい公用文の作成の要領に向けて(中間報告)(案)」は読みやすい文章を書くために良く練られた内容だなぁと思って見ています。

ところで、以前の「公用文作成の要領」からの変更点で、私が特に興味深く思った点は、句読点の使い方についてです。
-----------
○新 句点には「。」読点には「、」を用いる。横書きでは、読点に「,」を用いてもよい
○旧 句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる。
-----------

つまり、コンマ「,」から点「、」への変更が提案されていることです。
この前回の9月4日の第37回資料では、以下のように記載されていました。

-----------
○句点には「。」読点には「、」を用いる。横書きでは、読点に「,」を用いてもよい
読点は、横書きにおいても「、」(テン)を用いるが、事情に応じて「,」(コンマ)を用いることもできる。ただし、両者が混在しないように留意する。学術的・専門的に必要な場合等を除いて、句点に「.」(ピリオド)は用いない。欧文では「,」と「.」を用いる
-----------

前回にあった、「学術的・専門的に必要な場合等を除いて…」という記述が無くなり、よりシンプルになっています。「.」(ピリオド)についての言及が無くなったことになります。

読点に点「、」を使用することにした理由としては、「句読点については、各府省庁及び社会一般における表記の実態を踏まえた検討の結果、国語分科会の判断として、読点に「、」(テン)を用いることとした。」と説明があります。まだ「案」の段階のものなので、今後どのように変わるか分かりませんが、一般的に使われているという意味で、私は「、」になるのが良いのではないかなと感じています。ひつじ書房でも、「、」「。」を採用しています。

しかし、言語研究の場合、「,」(コンマ)と「。」を使われている方も多いのでは無いでしょうか。小学校では使わないと思いますので、学術的な文章を書く鍛錬のどこかの段階で、そのように書くようになるのだと思います。「,」(コンマ)を使う利点として、英語と混じった場合に、統一感があり、また使い分けに悩まずに書けるということがあると思います。

ひつじ書房では、変換の際に半角と全角のコンマが混じってしまった場合に、校正で目視でチェックするのが困難であるため、「、」を推奨しています。
しかしその場合、文章中で英語の単語を羅列する時にどうするか、curry、steak、pastaなのか、curry, steak, pastaなのか。 引用文献で(ひつじ書房 1990、1992)となるのか(ひつじ書房 1990, 1992)となるのか。さらには(ひつじ書房 1990、1992、Langacker 1998, 1999)なのか、など色々統一については決めないといけないことが出てきます。

句読点は「、」「。」を使用する、と決めることは単純なようで、和欧混色組版をしていると、それなりに考えのいる決断です。





2020.11.11(水)

どじょうのはなし



ひょんなことからどじょうを飼うことになりました。
5センチほどの小さいどじょうが1匹、ケースには砂と水草とカワニナのような巻き貝たちが一緒に入っています。隠れる場所がないとかわいそうだろうと小さな土管を入れたら、時々入ってくれているようです。ニョロニョロと動き回っていて、地味ですが見ていて飽きません。

どじょうと言えば、「どぜう」と書いてあるのれんのお店を思い出します。どぜう鍋は美味しいですが、あのビジュアルは初めて見たときはちょっと衝撃ですよね。
調べてみると「どぜう」はどうやら歴史的仮名遣いではなく、「どぢやう」や「どじやう」が正しい表記のようです。駒形どぜうさんのホームページに、「どぜう」としたのは初代越後屋助七の発案であるとありました。

「文化3年(1806年)の江戸の大火によって店が類焼した際に、「どぢやう」の四文字では縁起が悪いと当時の有名な看板書き「撞木屋仙吉」に頼み込み、奇数文字の「どぜう」と書いてもらったのです。これが評判を呼んで店は繁盛。江戸末期には他の店も真似て、看板を「どぜう」に書き換えたといいます。 」(歴史|駒形どぜう https://www.dozeu.com/history/)

偶数が縁起が悪いということなのでしょうか。「四」もあまり良くないのですかね。もう少し調べてみたいところですが、こうして生まれた「どぜう」が現在まで200年以上も続いているのはすごいですね。

また、どじょうと言えば、「どじょうがさ金魚のまねすることねんだよなあ」という相田みつおさんの詞があります。
この言葉は野田元首相のいわゆる「ドジョウ演説」で有名になりました。ひつじ書房もどちらかというと金魚よりどじょうの方だと思います。学術出版というものは、華々しくというよりかは地味で根気の要るものと日々感じています。まさに「どじょうのように泥臭く」です。

どぜうのように、どじょうのように、長く泥臭く頑張っていきたいと思います。





2020.11.6(金)

ヒップホップで英会話を学ぶ



アメリカ大統領選の真っ最中で、連日ニュースから目が離せませんね。1日、2日で結果が出ているものだと思いましたが、いまだにどちらが勝つかわからない激戦となっており、とても驚いています。
さて、大統領選に大きな影響を与えた出来事の一つとしてBLM(Black Lives Matter)運動がありましたが、その中でブラックミュージック、特にヒップホップにも注目が集まりましたね。DaBabyの「ROCKSTAR」、Lil Babyの「The Biggest Picture」、Pop Smokeの「Dior」などがデモの最中に歌われるなど、BLMの中で大きな役割を担っていました。BLMを通してヒップホップに興味を持った人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は英語とヒップホップを同時に学ぶことが出来る本を見つけたので紹介します。その名も『ヒップホップ英会話入門』(TARO著 DU BOOKS 2020年8月刊行)。
今までも「ヒップホップと英語」をテーマにした書籍はありましたが、その多くが「ヒップホップのスラング」を解説するだけのものでした。しかし『ヒップホップ英会話入門』は文法や語法などの解説がしっかり書かれているれっきとした英会話の参考書なのです。その代わり、英会話の例文がヒップホップ好き同士の会話だったり、ヒップホップの有名曲の歌詞から語法を学ぶコラムなどが載っていたりするなど、ヒップホップと英語を同時に学べるような工夫が満載です。

自分も中学生のころ、洋楽は好きなのに英語が苦手で悔しい思いをした経験があります。洋楽の歌詞を訳すことで英語の勉強の代わりにしようとしたこともありましたが、独学では難しく全く訳せませんでした。あのころに『ヒップホップ英会話入門』のような本があれば、もう少し楽しく勉強することが出来たのかなと思います。





HOMEへ

過去の日誌

10月の日誌

スタッフ紹介