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2026.7.22(水)

新刊準備中


5月から春の学会シーズンが始まり、学会への出展や、学会に合わせた書籍の刊行で慌ただしい毎日が続いていましたが、ようやく春の学会シーズンもひと段落しました。現在は今年度の科研の研究成果公開促進費の助成を受けた書籍や、この秋の学会シーズンに向けた書籍の校正を進めているところです。

ひつじ書房では様々なシリーズの書籍を刊行していますが、その中でも重要な柱として、函装の「ひつじ研究叢書(言語編)」があります。
若手の挑戦的な博士論文の書籍化からベテランの方の研究書まで、代表作となる書物を刊行していくシリーズと位置付けています。

造本やデザインに関してもこだわって作っています。
100巻からデザインを一新しましたが、100巻以前は向井裕一さんというデザイナーさんに本文から装丁まで一式を設計していただきました。
向井さんは活字時代からの伝統的な日本語組版ルールとInDesignなどの現在の組版システムへの造詣が深く、伝統的な組版を踏まえつつ現在のシステムでいかに論理的で体系立った組版を実現するかを考えられている方です。編集者やデザイナーが教科書とするような書籍も書かれています。
向井さんに設計してもらったInDesign設定はひつじ書房の基本の設定として使用しています。

100巻以降は、白井敬尚さんにお願いをしています。白井さんは武蔵野美術大学教授で、スイス・タイポグラフィというグリッドシステムを追求したスタイルを研究されている方です。グリッドシステムを日本語の組版で実践し導入した第一人者と言っていい方です。
白井さんは『組版造形』という本を出されていて、グリッドシステムの解説がされています。ビジュアルを見ている分には本当に素敵ですが、なかなか真似のできない高度な領域だなと感じます。

この言語編は函装ですが、これまでお願いしていた函屋さんが4月で廃業することになり、新しい依頼先を探すのが大変でした。その函屋さんは手作業で函を組み立てていましたが、現在は機械化が進んでおり、手作業で函を作っているところはもう無いということです。機械を動かすとなると小部数では原価が高くなってしまい、一時は函本を存続できるかという事態になりました。
しかし、廃業される函屋さんからお付き合いのあった会社をご紹介いただき、小部数でも現実的な条件で作っていただけることになり一安心したところです。この秋から刊行する函本(220巻以降)は、新しくお願いする函屋さんの函となります。興味がある方は、ぜひこれまでの函と見比べてみていただければ幸いです。

学会のブースで本を並べていると、綺麗な装丁の本が多いですねと言っていただくことがあって、嬉しく思います。
外見だけでなく、本の版面も様々なこだわりや伝統に則った上で制作しています。

研究者になる方は、物としての本が好きという方も多いと思います。
電子も非常に便利ですので力を入れていきたいですが、引き続き本好きの方にもしっかりと響く本づくりをしていきたいと思っています。





2026.7.6(月)

まもなく刊行『事実と意見を区別する言語技術』


オックスフォード英語辞書が、2016年に「今年の言葉」を「post-truth(ポスト真実)」と発表してから、気づけばもう10年経とうとしています。ドナルド・トランプのアメリカ大統領選勝利などを受けて決定されたこの言葉を初めてニュースで聞いた時、「とんでもない時代になったものだ」と思ったのと同時に、こうした時代状況を的確に表す言葉の登場に衝撃を受けたことを今でも覚えています。
残念ながら10年後の現在もフェイク・ニュースや陰謀論などは社会問題として残り続けています。こうした時代には、言説の内容の真偽を吟味する力(メディア・リテラシー)ももちろん重要ですが、その言説の形式がどのようなものか、事実として述べられているのか、意見として述べられているのかといったことを意識して読み解くことも大事なことかと思います。また、SNSなどで気軽に発信できる現代では、自分が書いた文が事実なのか、意見なのか意識して書くこともますます重要なことになっていると思います。
そんな〈事実と意見の区別〉をつける言語技術についての本を来月刊行します。『事実と意見を区別する言語技術:その学び方、教え方を考える』(渡辺哲司編)です。

本書は編者の渡辺先生が、「現代では〈事実と意見の区別〉をつける言語技術が重要である」、「にもかかわらず日本ではこの言語技術が根付いていない」という問題意識のもと、どうすればこの言語技術が根付くのかを考えていく1冊です。
本書の最大の特色はその構成にあります。各章ではさまざまな分野の専門家を「ゲスト」としてお招きして渡辺先生と対談/鼎談を行い、「〈事実と意見の区別〉はどうして大事なのか」「どうすれば根付くのか」を多角的な視点から考察しています。言語技術を教えるエキスパートである国語教育の研究者だけでなく、理科や歴史教育の研究者、さらには元裁判官や新聞記者まで、その顔ぶれは多彩で、各分野で〈事実と意見の区別〉をどう捉えているかが語られ、この言語技術が持つ想像もしなかったポテンシャルが明らかになります。また、各対談/鼎談に続く形でゲストによる論考も配置し、〈事実と意見の区別〉と各分野の関わりについて、さらに理解を深めることができるようになっています。
単に「〈事実と意見の区別〉」は大事だ」、「こう教えれば言語技術は身につく」と主張するだけの本ではありません。対話を通して、時に〈事実と意見〉を区別することの難しさなどにもぶつかりながら、それでもこの言語技術が日本で根付くためにどうすればいいかを思考し続けたからこそ、この言語技術の真価を見出すことができたと言えるかもしれません。

ただいま編集作業は佳境を迎えています。8月上旬刊行予定ですので、お盆休みのお供にぜひお手に取っていただけると幸いです。
また、〈事実と意見の区別〉については、同じく渡辺先生が編者の『教科を越えた「書くこと」の指導:事実を伝え、意見を述べる力を育む』(島田康行先生との共編、2024年刊行)でも議論していますので、よかったら併せてお読みください。

『教科を越えた「書くこと」の指導:事実を伝え、意見を述べる力を育む』詳細ページ
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1238-7.htm




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