2002年12月9日(月)

シンポジウム「出版とアカデミズム」

国文学資料館で開催されたシンポジウム「出版とアカデミズム」にパネラーとして参加した。インターネットが普及した時代に、研究者は、ネットで論文を公開し、出版社との連携が失われつつあるのではないか、というのが、聞かされていた開催のテーマであり、趣意書に書かれていたテーマであった。とはいうものの、実際に議論されたテーマはあまり出版社とは、関係がなく、論文がネットで公開される時代にどのように評価の仕組みを組み込むのかということが、主催者側の国文学資料館の研究者がわの関心であったようだ。その点で、発案されたテーマと実際に関心のあるテーマがずれており、そのことが議論を次の展開に続けるようにならなかったことの原因だろう。やはり、せっかく外部の人間を呼ぶのであれば、館内で趣旨の統一は前提のような気がする。

出版社を呼ぶのであれば、読者というものが、学術書の評価にどうかかわるのかという視点が必要であったのではないだろうか。読者は必要なく、インターネット時代に適応した学会の運営の仕方が問題なのであれば、出版社ではなく、学会の会長を集めて、パネルを組めばよかったのだ。その点で、論文の評価のことばかり、しかも経済的な側面に関心がないのは、理解に苦しむ。

90年代の前半にniftyのシェアテキストフォーラムで議論をし、98年の段階で「投げ銭システム」を提唱しているものからすると、シンポジウムで行われた議論は、議論以前のものであり、10年以上遅れているし、シェアテキストフォーラムのことなどを誰も知らない(ように見えた)ことは残念なことだと思う。

オンラインテキストの議論の前提のリスト集のようなものを作るべきだろう。それは本来はテキスト研究者である彼らの仕事ではないのだろうか?

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