2001年6月30日(土)

とんでもない出版社が、とんでもない索引プログラムを作らせてしまった

『日本近代語研究3』の索引を作っているが、とんでもない勘違いを印刷所ではしてしまったようだ。というか、本を作ることをわかっていないどこかの出版社のバカな編集者が、とんでもないことを要望してしまったらしい。

索引のしるしを付けた語をすべて引っ張ってくるプログラムを開発してしまったのだ。索引というのは、著者が、この用語は必要であるという目で選んで、五十音順に並べなおしたものでないと意味がない。その語がどう使われているのか、確かめていない語がただただ、載っていればいいものではないのだ。

たとえば、「公共性」という言葉にしるしを付けたとしよう。単に出てくるだけの箇所と、意味を持って出てくる場所とは、さまざまである。それを全部載せてしまうと結局どこが重要なのかわからなくなってしまう。索引の本来持っているはずの労力削減の機能が失われてしまう。

索引は、どういう風に使うのか。一度読んで、後で振り返りたいとき。ざっと斜め読みして、キーワードで振り返りたいとき。どういうトピックが取り上げられているか知りたいとき、そしてその時に重要な箇所に目を通すためである。熟読して、覚えている時にはあまり必要がないし、全然読まないで、ただみるためにも索引は必要ではない。

これは、外部へのアクセス経路なのである。そういうことからすると、すべてを拾ってしまっては、その中から、載せるべきではないものを探して、捨ててしかなければならない。要するに使える索引にするためには、毎ページ見て探し出すか、拾われた語とそのページを対照して捨てるかのどちらかしかない。使えない索引を作るのであれば、多少、楽かもしれないが。

要するに意味がなく、さらには、索引を自動的に作ることのできるソフトがある、といったような嘘の情報が流れてしまうだけ、害悪が大きい。これをなぜか信じる著者もいて、それがさらにバカな編集者によそではこんなものがあるiとったりするのだろう。

印刷所は、その方式で、作ってきてしまったので、やり直しをお願いした。それにしても、索引というものの性質をわかっていない出版社の人間は、罪なことをするものである。

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