ひつじ書房 ファンタジーのイデオロギー 現代日本アニメ研究 西田谷洋 著 ひつじ書房 ファンタジーのイデオロギー 現代日本アニメ研究 西田谷洋 著
2014年5月刊行

ファンタジーのイデオロギー

現代日本アニメ研究

西田谷洋 著

四六判上製 288頁 定価3000円+税

ISBN 978-4-89476-701-0

ひつじ書房

The ideology of the fantasy: Contemporary Japan anime studies
Hiroshi Nishitaya



かつては小説や詩の読書経験が文学能力を形作ったが、現在の読み手・書き手にとってはアニメや漫画やゲームなどのポピュラーカルチャーがその基盤の重要な位置を占めている。この日常性を基盤とした文学能力の形成をふまえ、本書は21世紀初頭に発表されたリミテッド・アニメーションすなわちTVアニメの物語表現/物語内容について、現代思想・批評理論に関わる操作概念を援用して分析した、新たな時代の文学研究である。


■目次


はじめに
 一 文学能力とポピュラー・カルチャー
 二 アニメ批評から文学研究へ
 三 アニメ研究
 四 本書の問題設定と構成

第 I 部 テロリズムと家族のゆくえ

1 本心と不和―『閃光のハサウェイ』『CANAAN』『BLACK LAGOON』
 一 バブル以後のサブカルチャー批評
 二 呼びかけの呪縛
 三 女の抹消と不合意の政治
 四 記憶と忘却の公共性
 五 おわりに

2 パフォーマンスとしての誘惑/血統―『伯爵と妖精』
 一 はじめに
 二 誘惑としての身体
 三 問い直される伯爵の血統

3 家族愛とテロリズムの美的イデオロギー―『輪るピングドラム』
 一 はじめに
 二 認識の遅延性
 三 幽霊/呪いの両義性
 四 論争的対立と、内面・本心の秩序
 五 作られる運命
 六 消尽という勝利
 七 家族愛の女あるいはテロリズムという虚構

第 II 部 現れるメロドラマ

1 恋愛機械―『雲のむこう、約束の場所』
 一 はじめに
 二 同一性と差異
 三 塔の機能と潜在性
 四 夢・幻という無根拠性
 五 機械の場所と外の思考
 六 新海テクスト様式と潜在性

2 残存するオイコノミア―『狼と香辛料』
 一 はじめに
 二 残存するホロ
 三 遅延される回答と直接性
 四 おわりに

3 メタドラマの言及構造―『花咲くいろは』
 一 はじめに
 二 地域表象の構造
 三 先行テクストの言及
 四 ドラマへの志向
 五 光のモチーフ
 六 エクリチュールの空白
 七 まとめ

第 III 部 コンストラクションと融合

1 亡霊の政治とコミュニケーション―劇場版『機動戦士Zガンダム』
 一 マルクスの亡霊
 二 ニュータイプという亡霊
 三 亡霊のコンストラクション

2 認知環境とアフォーダンス―『MACROSS ZERO』
 一 はじめに
 二 協応構造と認知環境
 三 直接というフレーム
 四 身体性と上下のモチーフ
 五 エコロジーのパラドックス
 六 権利・能力と再帰性
 七 おわりに

3 融合する翻案―『絶園のテンペスト』
 一 後期クイーン的問題と一般意志
 二 翻案と融合
 三 物語劇場
 四 おわりに

4 免疫と対話―劇場版『マクロスF』
 一 はじめに
 二 免疫と境界
 三 歌の話法の間接性/直接性
 四 共感と同化・演技
 五 本心というロマン
 六 コロニアルなまなざし

初出一覧
あとがき
索引

■著者紹介
〈略歴〉1966年金沢生まれ。金沢大学大学院社会環境科学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。石川県立金沢泉丘高等学校教諭、金沢大学非常勤講師等を経て、2004年愛知教育大学教育学部助教授、2012年より同教授。専門は日本近代文学。
〈主な著書〉『語り 寓意 イデオロギー』(2000翰林書房)、『宮崎夢柳論』(2004マナハウス)、『認知物語論とは何か?』(2006ひつじ書房)、『政治小説の形成』(2010世織書房)、『新美南吉童話の読み方』(2013双文社出版)、『学びのエクササイズ文学理論』(2014ひつじ書房)。



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