ヨーロッパの地域言語〈スコッツ語〉の辞書編纂 米山優子 著 ひつじ書房 ヨーロッパの地域言語〈スコッツ語〉の辞書編纂 米山優子 著
2013年2月

ヨーロッパの地域言語〈スコッツ語〉の辞書編纂

『古スコッツ語辞典』の歴史と思想


米山優子 著

A5判上製 定価8,800円+税

ISBN978-4-89476-634-1

ひつじ書房




スコッツ語は古英語と共通の素地をもち、中世のスコットランド王国では国家語として幅広く用いられた。現在は「地域・少数言語のための欧州憲章」で保護の対象となっている。12世紀から1700年までの文献に現れたスコッツ語を収録する『古スコッツ語辞典』(1931-2002)は、スコッツ語辞書史における一つの到達点と言える。本書は、辞書編纂者の思想と完成までの経緯をつぶさに検証し、その意義を明らかにした。


【目次】

序章
第1節 スコットランドとスコッツ語─スコッツ語辞書誕生の背景 
第2節 本書の構成と議論の方法 

第1章 スコッツ語ということばについて   
第1節 スコッツ語の歴史 
 1.1 スコットランド王国のナショナル・ランゲージとして
  ―初期スコッツ語 
 1.2 文芸復興の萌芽―前中期スコッツ語 
 1.3 衰退の兆しとその原因―後中期スコッツ語 
 1.4 “King’s Scots”から“King’s English”へ
 ―近代スコッツ語への過渡期 
 1.5 知識人たちのジレンマ―スコットランド啓蒙期の言語状況 
 1.6 「常緑」の古スコッツ語文学への回帰 
 1.7 スコットランド啓蒙期の二面性と近代スコッツ語 
 1.8 19 世紀以降の近代スコッツ語 
第2節 スコッツ語の特徴 
 2.1 発音 
 2.2 綴り 
 2.3 語彙 
 2.4 文法 
 2.5 地域変種 
第3節 スコッツ語についての様々な見解 

第2章 スコッツ語を扱った先駆的な辞書と、関連する英語辞書 
第1節 ジェイミソンの『語源辞典』 
 1.1 『語源辞典』作成のきっかけ 
 1.2 『語源辞典』の内容 
 1.3 「スコットランド語の起源に関する論文」 
 1.4 ジェイミソンの語源研究とスコットランド啓蒙思潮 
第2節 OED と『英語方言辞典』 
第3節 『語源辞典』以後のスコッツ語研究 

第3章 DOST 編纂の計画及びDOSTと関連する研究事業 
第1節 DOST の計画 
 1.1 計画の端緒 
 1.2 目的 
 1.3 記述範囲―年代の範囲と資料の範囲 
第2節 記載項目の記録 
第3節 語彙情報の記述 
 3.1 収録語項目例―DOSTのミクロ構造 
 3.2 編集の工程 
 3.3 語義の分析と定義づけ 
 3.4 引用の選択 
 3.5 古スコッツ語を扱う際の問題点 
第4節 DOST と関連する研究事業  
 4.1 『スコティッシュ・ナショナル・ディクショナリー』(SND) 
 4.2 『スコットランド言語地図』 
 4.3 『スコッツ語訳新約聖書』 
 4.4 『中英語辞典』 
 4.5 『古英語辞典』 

第4章 DOST 編纂史―完成に至るまでの執筆作業と問題点   
第1節 シカゴ大学出版局との関係 
第2節 「OED 依存型の編集法」(“OED Depended Method”) 
第3節 1981年の査定 
第4節 新規巻き直し―エイトキン引退後のDOST 
第5節 1994年の査定 
第6節 1996年の査定 

第5章 DOST の編纂者―クレイギーとエイトキン   
第1節 クレイギーとスコッツ語辞書 
 1.1 世界を巡る「博言学者」 
 1.2 クレイギーのスコッツ語観―古スコッツ語は「言語」 
 1.3 スコッツ語とヨーロッパ諸語との関連 
 1.4 初代編集主幹として 
第2節 エイトキンとスコッツ語辞書 
 2.1 スコッツ語研究の父 
 2.2 エイトキンの言語観―スコッツ語は「半言語」 
 2.3 スコッツ語と言語計画理論 
   2.4 クレイギーの後継者として 
第3節 後継者から見た二人 

第6章 DOST 作成を取り巻く社会的側面   
第1節 DOST を支えてきた運営組織と支援団体 
第2節 スコットランドの言語政策との関連
─スコッツ語辞書とスコッツ語教育 
 2.1 ナショナル・ガイドラインの見直しと教材の開発 
 2.2 DOSTとSNDから生まれたスコッツ語中型辞典 
第3節 スコッツ語辞書作成事業への助成 
第4節 行政におけるスコッツ語 
第5節 北アイルランドのスコッツ語の状況 

終章  スコッツ語辞書の今後の展望 
第1節 DOSTの編纂史を通して見えてくるもの 
第2節 スコッツ語とスコティッシュ・アイデンティティー 
第3節 DOST 完成後の新たな取り組み
─スコッツ語辞書の今後の展望 


参考文献 
地図 
結びに 
索引 






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