あまり馴染みのない世界かも知れませんが、合唱曲の中にも名曲は多い!んです

<J.S.Bach:バッハ>

「Singet dem Herrn ein neues Lied」

日本語に訳すと「主に向かいて新しき歌をうたえ」という意味。ちなみに、原語はドイツ語です。1コロと2コロという、二つの合唱体からなるアカペラ曲。バッハのモテットの1番です。
「メリスマ」という、ころころと転がるように動く音(とその旋律)が随所にあり、演奏の上でそれが難所でもあるのですが、各パートの旋律が複雑に絡み合ってとても素敵。聴いていても歌っていても「ああ、いい曲だなあ」と感動してしまいます。

<Mendelssohn:メンデルスゾーン>

「Der42.Psalm Wie der Hirsch schreit」

メンデルスゾーンは、敬謙なクリスチャンでした。彼の合唱曲には、彼の信仰の深さがよく顕れた作品が多く、特にこの「詩編42番 鹿が谷川の水を慕い乞うるように」は、全曲を通してそれがよく顕れています。私たちの合唱団の指揮者、八尋先生はメンデルスゾーンが大好きで、そのせいでうちの団では毎年のようにメンデルスゾーンの作品を歌っています。この曲は、その中でも私にとって最初のメンデルスゾーン、そして最初の宗教曲でした。そのせいもあってこの曲には大変強い思い入れがあります。
一曲目はアルトから始まり、メンデルスゾーンらしい温かいハーモニーで曲は進行して行きます。そしてソプラノソロによるアリア、コーラス、男声合唱、コーラス、と続いて、終結合唱へと続きます。特に男声合唱のハーモニーは純粋に優しく、私なんかは自分が女であることが悔しかったくらいです。「Harre auf Gott(=神を待ち望め)」と繰り返すその旋律は力強く、この曲に続く形の詩編43番にも同じ旋律が用いられています。

「Chistus」

「未完のオラトリオ」といわれるこの曲は、キリストの誕生から受難までを描いています。本当はそこから先、復活までを書きたかったのでしょうけど、書き上げるより先にメンデルスゾーン自身が死んでしまったため、第二部のキリストの受難までで曲は終わっています。
ソリストたちとコーラスの掛け合いの形で話が進んで行くのですが、個人的には第二部の方が私は好きです。楽譜を見たこともなく、ただCDで聴いただけなので、いまいち曲の構成についてはわからないのですが、コーラス=群集がキリストをののしる部分が特に好きです。和音が重く、重厚なのです。中途で曲が終わってしまっているのが残念で、最後まで作られていたらどんな曲になっていたのだろう、と思います。けれど、「未完のオラトリオ」という呼び名にそそられる部分があることもまた、確かなんですよねぇ。

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