松本和也 著
四六判上製 2800円+税
ISBN 978-4-89476-427-9
ひつじ書房
本書はスキャンダラスな生涯に彩られた太宰治という作家について、そのイメージに抗しつつ歴史的な視座から考え直したものである。本書ではデビュー期にあたる昭和十年前後に注目し、〈青年〉という歴史的な主題をクローズアップしながら多角的な検討を行った。具体的には、芥川賞事件や青年論ブームといったトピック、あるいは「道化の華」や「二十世紀旗手」などの小説を軸に、太宰治に関わるメディア/テクストの精緻な分析を試み、昭和十年前後の太宰治を根底的に描き直すことを目指した。