国会会議録を使った日本語研究 松田謙次郎 編 ひつじ書房 国会会議録を使った日本語研究 松田謙次郎 編 ひつじ書房
2008年6月

国会会議録を使った日本語研究

松田謙次郎 編

三省堂Word-Wise Webが紹介してくださいました。

松田先生の連載(三省堂Word-Wise Web)

A5判上製 5000円+税

ISBN 978-4-89476-299-2

ひつじ書房


2008年9月4日

『国会会議録を使った日本語研究』が『日本語学』9月号の書評欄に掲載されました。
国立国語研究所の田中牧郎先生にご紹介いただきました。

以下書評全文です。

  

  

日本語学9月号 「国会会議録を使った日本語研究」書評

インターネットで提供されている「国会会議録検索システム」を、「終戦直後より過去六〇年にわたり出身・在外歴が明らかな日本各地出身者が、都内某所で年に数か月集結し議論した発話の膨大な文字化資料」ととらえ、この「夢の資料」を、専門分野を異にする九人の言語研究者によって研究した成果を集めた論文集である。

膨大な言語情報がインターネット上に蓄積されて自在に利用できるようになった時代の新しい研究方法が生んだ成果物として、注目すべき本だと思う。

注目すべき点は、三つある。まずは、「国会会議録」を、日本語研究資料として明確に位置付けた点である。はじめに、衆参両院の事務局記録部が、会議場で話されたままの言葉から、会議録にまとめる際に行っている、「整文」と呼ばれる行為のありようを、詳細に分析している。整文によって、話された言語が姿を変えてしまうものもあるが、これを通り越してもとの言語が姿をとどめる場合もある。この分析によって、国会会議録が日本語資料としてどの程度使えるものなのか、また、どのような研究に有利であり、どのような研究には不利であるのか、などが明らかにされた。特に、談話のもつ諸性質と資料の対応関係を、他の資料と対比して相対的に位置付けている点など、きわめて有益で、国会会議録が、話し言葉資料として充分に使えることが示された意義は大きい。

注目すべき第二の点は、語彙論、形態論、談話分析、社会言語学、方言学、自然言語処理など、研究領域を広くカバーした論文を掲載している点である。一般に、価値ある言語資料は、幅広い研究目的や研究方法を受け付け、また、新しい視点の研究を生み出していくものだが、本書が、射程が広く質の高い論文をそろえて見せたことは、国会会議録が、文字通り「夢の資料」であることを実証したものだと見ることができよう。

そして第三に注目すべきなのは、インターネット上のアクセス自由な研究資源を、研究者一人一人が自由な発想で研究するやり方で、まとまった一書に仕立て上げた研究態勢である。従来の資料研究のプロジェクトは、同一の資料を共同で読み込み、解読し、さらには、情報付与やデータベース化の作業などを経ることが多かった。しかし、本書にまとめられた共同研究は、各人が、自分のパソコンから、インターネット上にある「国会会議録検索システム」にアクセスして、研究を進めていったもののようである。情報化時代の新しい研究態勢によって、実りある成果が出せることを示して見せた点も、本書が高く評価されるところであろう。

本書の登場によって、国会会議録や地方議会会議録を使った研究が盛んになることは間違いないだろうし、インターネット上にあるさまざまな公共資料を活用した日本語研究に、多くの研究者が取り組んでいく機運が生まれることを期待したい。

本書を読めば、どんなに膨大な資料であっても、また研究者自身が作成した資料でなくても、研究の目的・方法と、資料との関係を適切に見きわめた上で利用すれば、高いレベルの研究を展開することが可能であることが、よく分かる。資料が電子媒体化したことで、研究の質の劣化が言われることがあるが、こうした批判を乗り越えた、新しい研究史の段階に、日本語研究も入りつつあるようだ。

田中牧郎(国立国語研究所)  

  



2008年8月17日

『国会会議録を使った日本語研究』が読売新聞の書評欄に掲載されました。
メディア社会学者の佐藤卓己氏にご紹介いただきました。

  

  

  

  

  

  

  

  

  


『国会会議録を使った日本語研究』のPromotion Videoを作りました。本書の表紙・カバーの装幀をしました板東が、PVを作りました。編者の松田先生が本書の魅力を語ってくださっています。松田先生、ビデオ出演ありがとうございました。

要約

ここ数年、インターネットで公開された「国会会議録」をデータとして用いた日本語研究が注目されている。インターネット版「国会会議録」は、過去60年にわたる、出身・在外歴までほぼ判明している日本各地出身者による議論を文字化した資料である。本書は、多種多様な分野の日本語研究者が、この空前ともいえる膨大なデータを使って、それぞれの分野で何ができるかを追究、あわせて将来的研究を展望したものである。研究者のみならず、卒論テーマを探す学部生にもお薦めの1冊。

[執筆者]
第1章 国会会議録検索システム総論  (松田謙次郎
第2章 国会会議録はどれほど発言に忠実か?─整文の実態を探る─  (松 田謙次郎・薄井良子・南部智史・岡田裕子)
第3章 連体修飾となる《具体》について―国会会議録からの推測―  (荒尾 禎秀)
第4章 国会会議録における行政分野の外来語  (茂木俊伸
第5章 東京出身議員の発話に見る「ら抜き言葉」の変異と変化  (松田 謙次郎)
第6章 「が/の」交替における個人内変化の研究  (南部智史
第7章 国会会議録によるさ入れ言葉の分析  (佐野真一郎)
第8章 国会「討論」における反対意見表明  (薄井良子)
第9章 国会会議録における気づかない方言―「あっている」についての一 考察―  (香月真由美)
第10章 自然言語処理での国会会議録の利用  (山本和英

【編者紹介】

【編者紹介】松田謙次郎 神戸松蔭女子学院大学文学部教授。社会言語学・変異 理論。自然談話データによる日本語諸方言の言語変化・変異現象研究などを専門 とする。『日本のフィールド言語学--新たな学の創造にむけた富山からの提言』 (共著、桂書房、2006)、『ことばの科学ハンドブック』(共著、研究社、2004 年)、『応用社会言語学を学ぶ人のために』(共著、世界思想社、2001)、『生 きたことばをつかまえる--言語変異の観察と分析』(共訳、松柏社、2000)。

「社会言語学者の雑記帳」を三省堂WEBにて連載中。


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