研究成果公開促進費の申請のサポート
2021年12月28日(火)a

研究成果公開促進費の申請のサポート

(9月22日にメール通信で配信した内容がもとになっています。)

科学研究費助成事業の公募スケジュールが前倒しとなって、今年は科研の申請が早まっていますので、9月後半の現在は研究成果公開促進費の提出も佳境になっていると思います。申請の時期が1月早まるというのは、けっこう大変です。研究成果公開促進費は出版助成ともいわれたりもしますが、今回は、その話しと関連して出版企画の進め方について述べます。

コロナ禍で、対面でお会いすることもなかなかできにくくなっています。これまでだと科研の申請をしようとしている時に春の学会などでお目に掛かった場合に、進み具合などをおききすることもできましたが、わざわざ、今も機会を設定すればできるのでしょうが、事前に機会を作るのもなかなか難しいです。第一目的が明確でなくてもグレーな(何かのついでにとか、副次的な動機による場合のような)チャンスがあるといいわけですが、そういかないのがコロナ禍の中の毎日です。

研究成果公開促進費の申請について、もうちょっといろいろと事前にサポートすることができたら良かったのではないかと思っています。オンラインでの申請になったこともあって、申請書に書く文章の量も増えているように思います。書き方は唯一の正解があるわけではなく、ご本人の研究への思いを伝える文章であってよいと思いますが、分かりにくいところなど、こちらからコメントすることもできますので、余裕をもってコメント申し上げるには、8月のあたまくらいに機会を作っても良かったかもしれません。今年の7、8月は、オリンピックやるのかやらないのか、籠もるべきか、それなりに活動するべきか、気をそらされることが多かったので、気が回らなかったような気もします。

学振の申請書も申請書を読んで評価する方がいるわけで、どういうふうに文章を読むのかということが、出版社としては知りたいところです。その申請書の説明の文章がどう読まれるのか。申請書の読者の思考の方向をあらかじめ知りたい。申請書を読む人の気持ちを聞くわけにはいきません(そんなことはできない)ので、オーディエンスの反応を知りたい。それが申請書を読む人たちの感覚と近いのかは本当のところはわかりませんが、私たちだけの耳よりも、違った感想が想像できる方がいい。オンラインの発表でも質問があるとどう受け止められているのかのヒントになります。

これからの話しですが、研究書を出したいと思われた方は、何らかの方法で、研究の内容を教えて下さり、この学会や研究会で発表しますということを早めに教えていただければと思います。こちらから、お誘いを受けなくても学会の動向を察知して、聞きにいけばいいともいえますけれど、なかなか難しい。先に教えてもらえれば、オンラインの発表なら、簡単に聞きに行くこともできます。あるいは、私の研究発表を聞いて下さいということではなくて、こういう研究会がありますよ、という伝言でもよいです。オーディエンスの反応で、どういう点を強調したらいいのか、どういうところに焦点をあてるのがいいのか、ということが編集者としての助言がしやすくなるかもしれないです。事前にこういう発表をしますということをいうのは、現実的には難しいかもしれないですね。せめて、できれば、発表のタイトルは面白そうなタイトルを付けておいてほしいです。タイトルの付け方はもうひと工夫ほしいと思うこともあります。また、学会の発表の場合、発表者の所属が書かれていないことがありますが、どういう学問的環境の中から出てきている発表なのかも分かった方が意外性や意外でない発表なのかも推測できるのであった方がありがたいと思います。予断なく、発表を聞くということからすると所属がない方がいい、その方が公平であるということなのかもしれないですが。

タイトルはやはり重要です。科研の申請書を書くのをお手伝いする時も、タイトルを相談することは大きな比重をしめています。内容を見て、タイトルについて申し上げることはそれなりにあります。学術書の出版社ですので、売れることを第一と考えて、無理矢理、タイトルを提案するということはしませんので、ご安心下さい。研究書としてのまとまりがあることを訴える方向で助言すると思います。

早めに教えていただければと申しましたが、私がそういうのなら、そのような機会を年末から年明けに設けるべきだと思います。春から夏にかけて開いているのはオープンオフィスと呼んでいますが、年末に開くのなら催しの名前を別に考えないといけないですね。

研究成果公開促進費は、博士論文そのままのものには申請できなくなりましたので、博士論文に何を付け加えるのか、あるいは博士論文の発展形になるような新しい研究プロジェクトを立ち上げて、単著でも共著でも生み出していくという助走が重要になっていますので、われわれはどう伴走していくのかということも課題になっています。研究テーマ自体の立ち上げから、支援していくということも課題でしょう。

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執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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