webマガジン「未草」で、書評紙、はじめます。
2020年7月23日(木)

webマガジン「未草」で、書評紙、はじめます。

(ひつじメール通信7月22日号で配信した内容が、元になっています。)

以前は、『月刊言語』が、ありました。国語学に関連する分野であれば、『国文学 解釈と鑑賞』や『国文学 解釈と教材の研究』がありました。岩波書店からは『文学』という雑誌も刊行されていました。いずれも過去形ですが、過去には存在していたわけです。

『国文学 解釈と鑑賞』や『国文学 解釈と教材の研究』は、言語系と言うよりも文学研究系ですが、学術的世界に商業雑誌があって、一種のジャーナリズムがあったと言っていいでしょう。言語学にはあまりジャーナリスティックな関心がないかもしれません。ここでジャーナリスティックといっているのは、学会に限らない人々の関心が集まって、動向に影響を与えるような場所です。

そういう雑誌には、特集があって、これから人々の注目を集めるかもしれない新しい研究であるとか、そういう研究を取り上げて紹介したり、対談や座談会などで議論をするようなこともあったと思います。さらに、書評のコーナーもあって、新刊を取り上げるということがありました。

書評にはいろいろな意味がありますが、ひとつには、ある著作に対して誰かが言及しているということがあります。出版しただけでは、その出版されたこと自体を世の中に気付かれない、ということがあります。でも誰かが言及すれば、その本が生まれ、存在しているということが分かります。そして、評価があり、議論があり、批判があれば、そのことによって、研究の議論が始まります。その議論がはじまったことが可視化されます。

そういう機能を担う場所が、学術的商業誌がなくなってしまったことによってなくなってしまいました。そこで、ひつじ書房のブログサイト「未草」の中に書評の場所を作ることにしました。BOOK REVIEW STRAY SHEEPと名付けました。こちらから依頼して書評を書いていただく場合と他の媒体、同人誌、紀要などのあまり人の目に触れない場所(すみません!)に掲載されたものを転載の許可をもらって、掲載する場合があると思います。必ずしもひつじ書房の書籍に限らずに、言語学業界、言語研究、言語教育業界に関わるものであれば、ひつじ書房の刊行物に限定しないで、掲載したいと思っています。自社の刊行物を知ってもらうという自社サイド的な要素とそれに閉じない公的な場所にもしたいと考えています。言語学をあつかったエッセイや小説などの書評もあってもいいと思っています。言語学・現代思想を題材にしたローラン・ビネの『言語の第七機能』の日本語訳が、この秋に出ます。ジャーナリスティックまで行かなくても、それに近い場所を作りたいと思うからです。転載サイトという趣旨ではありませんので、すでに書評紙にのって一定の人の目に触れた書評を転載することは考えていません。でも、言語研究ということでコレクションしてもいいかもしれません。

まず最初に、酒井順一郎先生著の『日本語を学ぶ中国八路軍』を田中寛先生に書いていただきまして掲載いたしました。http://www.hituzi.co.jp/hituzigusa/2020/07/22/brss01/

どうぞご覧下さい。

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執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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