【出版】ひつじ発 言語学、言語学出版10大ニュース

2007年12月19日(水)

【出版】ひつじ発 言語学、言語学出版10大ニュース

トップページに書いたように大学生協の忘年会でのお土産用に1時間くらいで作った文章です。書店様向けというのが主旨です。書店の方に、ざっくり言語学出版のトレンドをお伝えしようと火事場のバカ力で作ったものです。研究者の方には物足りないと思いますが、ご覧いただければ幸いです。

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1 ジェンダー言語研究の再出発

社会学やジェンダー研究の影響を受けてジェンダー言語研究の本がたくさん刊行。中村桃子先生の『「女ことば」はつくられる』(ひつじ書房 2800円)『〈性〉と日本語―ことばがつくる女と男』(970円 NHK出版)、小林千草先生の『女ことばはどこへ消えたか?』(光文社新書 850円)がでました。アカデミックな度合いの強いモノであれば、『 発話者の言語ストラテジーとしてのネゴシエーション行為の研究』(ひつじ書房 クレア マリィ 6800円)もでました。クレア マリィさんは、10月に発足したクィア学会の発起人でもあります。

2 レトリック・メタファー研究が、花開きつつある?

『レトリック事典』(佐藤信夫ほか 大修館書店 6500円)が発刊。アカデミックなものでは『メタファー研究の最前線』(ひつじ書房 楠見孝編 8000円)が今年の成果。認知研究の分野で文学的な表現が注目されている。方法論は、文学研究ではなく、心理学の影響もあり実験的なものが多い。人文学の再構築?

3 会話の文法への注目。狭い言語学を越えて。

『月刊言語』の3月号で特集がありました。言語学においての「文」に対する捉え直しがはじまる。ひつじ書房からはシリーズ文と発話が刊行中で『時間の中の文と発話』(串田秀也・定延利之・伝康晴編)を刊行しました。2008年の4月には完結する予定です。

4 役割語への関心、ますます高まる

『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』の著者の金水敏先生が、編者となった『役割語研究の地平』(2500円)がくろしお出版から、刊行。『月刊言語』の2008年1月号では、「日本語のスタイル」が特集。役割語への関心は広まっています。人は自分をどのように人に向けて演出するか、という語用論としても面白いテーマです。

5 外国人定住化との関わりが、言語政策として重要に

『外国人住民への言語サービス』という本が、明石書店からでました。日本語教育の分野では、外国人住民、外国人労働者というテーマが、大きくなっています。ひつじ書房では、『外国人の定住と日本語教育[増補版]』(2000円)を発行。ひつじでは2008年の4月に『移住労働者とその家族のための言語政策』(予)を刊行する予定。

6 言葉の事典がたくさん。

『日本語オノマトペ事典』(小学館)、『新潮日本語漢字辞典』(新潮社)、『句読法、記号・符号活用辞典。』(小学館)。

7 語用論の翻訳書『意味の推定』(研究社)の発行。

8 コーパス研究の本。

投野先生が大活躍(英語教育の方だが)。

9 方言研究に注目。

『方言の機能 (シリーズ方言学 3) 』(岩波書店)など、方言文法に関する書籍が刊行された。ひつじ書房では、『授与動詞の対照方言学的研究』(日高水穂 7400円)と『ガイドブック方言調査』(1800円)と『日本語形容詞の文法』(6000円)を刊行。

10 新しい日本語史研究が動き出す。

ひつじ書房では『日本語の構造変化と文法化』(6800円)。2008年(?)に、岩波書店で日本語史の講座がはじまるらしい。

言語学・言語教育の棚について、もし、お手伝いができることがあれば、何でもいたします。東京近郊であれば、お伺いしますし、もし、遠方の場合は、デジカメで写真を送っていただければ、遠隔で恐縮ですが、アドバイスできると思います。松本功か三井陽子まで。メールアドレスは、toiawase@hituzi.co.jp


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