【学術】研究成果公開促進費のための見積もり

2007年10月2日(火)

【学術】研究成果公開促進費のための見積もり

ホームページ上に日本学術振興会の申請のための見積もりを作りますとの文言を出されている出版社がある。ひつじ書房ではそのようなことを公言していないので、どのように考えているのかと思っている方も、いらっしゃるかもしれないので、見解を申し上げておきたい。

他社が、このようなことをした原因は、学術振興会の研究成果公開促進費の申請のページに、見積もりを3通とることとかかれていることと、一部の大学で申請時にその3通の見積もりを提出するようにと申請者に言っていることに対応してのこととのことである。実際には、公開されている学振の書類にはただ、見積もりを3通とった上で著者がどの出版社にするかを決めると書いてあるのであって、それを大学の学振の担当者に渡すようにとの文言はない。

私は、研究成果公開促進費の見積もりは、著者(申請者)と出版社(受注者)の随意契約であり、もちろん、合理性は必要であるし、説明責任は大事なことだけれども、著者が適切な判断で選択することであって、大学の担当者による業者への一般競争入札のように受け止めてしまうのは、私の個人的な考えでは過剰な反応であると思われる。政府や公共機関による発注にはいろいろな問題があり、ルールが必要であるということも理解しているが、冷静な判断も必要だと思う。

また、出版社が企画立案するということは出版社の根幹にある重要なことであり、通常行っている企画検討の方法を変更してしまうことは他の企画との整合性がとれなくなってしまうのではないだろうか。出版社であれば、融通性も大事だが、原理も大事だと思う。

ひつじ書房の場合で言うと、企画の提案をいただいて、検討して出版するかどうかを決めるまで1月から2ヶ月はかかることが多い。ひつじ書房に企画のプレゼンをしてくださって刊行を進めると申し上げた場合に、見積もりを作ることになる。今年については、どうしてもということがなければ、企画のプレゼンは学振の申請が一段落した後になる。これからの新しい相談はしばらくお休みになる。内容も分からないのに、ページ数だけを見て、見積額を計算するというようなことは本来できないものであると思う。

すでに相談を行って、刊行に向けて進めましょうと申し上げた方の場合にはもちろん、見積もりを作りますのでご心配なきように。

ただし、特例はある。3通の見積もりが必要なのだけれども、もう1通がどうしても揃わないので見積もりだけ作ってほしいということがある場合は、企画を進めると言うこととは別にご相談にのりましょう。たぶん、知らない研究ジャンルのものということになる場合、見積もりもたぶん、高めのものになる。社会科学系であれ、芸術系であれ、文学研究系であれ、どんなジャンルでもかまわない。この時期、実際に見積書を作る余裕があるかどうかは不明なので、万が一、ご期待にそえなかった場合はお許し願いたい。去年の場合は、教育学の方の飛び込みの依頼に見積もりを作成した。


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