【出版】2007年夏合宿 かけ声から実践へ

2007年9月1日(土)

【出版】2007年夏合宿 かけ声から実践へ

今年も、ひつじ書房恒例の夏の合宿を行いました。場所は浅草の魚眠荘というホテルでした。浅草の吾妻橋の直ぐそばで非常に便利な場所にあります。部屋は、今までの合宿で一番小さく、4人で泊まる大きさではなかったと思う。都会の中で人目を避けて2人で泊まるなら、わびしい感じもかえって、いい雰囲気かもしれない。そんな宿であった。研修用とは言い難い。とはいえ、専務によると都心で和室があり、大浴場がる宿は少ないとのこと、よい宿があれば教えていただきたい。

一方、夜の食事は美味で、満足しました。中でも、福島名物の「こづゆ」は、たいへんおいしゅうございました。ワインにもあうのではないでしょうか。オーナーの手打ちと言うそばも確かにおいしかった。そばが有名らしい。毎月、5000円でそばを食べ放題の「そば会」というものもやっているとのこと。そうしてみると、総合評価としてはよかったといっていい。面白い宿である。

私は本郷の鳳明館でいいのだが、専務が本郷の旅館は暗くていやだというので、毎回、あちこち泊まり歩いている。次回は温泉を希望。ちなみに、今回は9回目の合宿となる。

さて、今回の合宿は、ひつじ書房は9月末に決算期なので、2007年新春の目標に達することができるか、今年度の売上げ達成の度合いと経営の現状を踏まえてどのように考えるのか、どのようにこれからを進めるのかということを議論することが目的でした。

新春の目標(1億2000万円)は、残念ながら達成が難しいということがすでに分かってしまっていますが、それでも、ひつじ書房は、18年目にして、はじめて、年間の売上げが1億円を超える見通しです。こんなものかともいえる金額かもしれませんが、一方、ここまでにするのは並大抵のことではなかったということもいえます。また、増益増収の見込みです。ありがたいことです。

これを受けて、来年の売上げ目標を5パーセント増としました。その後、現在、企画を進めることになっている書名の確認と担当の割り振りをし、さらに、実際の業績について具体的に検討しました。たとえば、ひつじ研究叢書(言語編)の販売成績などが検証されました。3年間で一番うれているものはどの本か、残念ながら売れていないものはどれか。外注原価はどのくらいで回収しているのか、していない書籍はどれか、など。言語編、言語教育編については、田中君の分析では、かなり成功しているということです。

数字にしてみると課題が見えてきます。問題は、売上げは順調に伸びているものの、収支を見てみると、助成金無しではなりたたないということも分かりました。ひつじ書房の現状は、売上げに比して一定程度の学術助成金が必要である体質であり、売上げ、つまり本が売れた金額だけでは、組織を維持できないということです。(これは学術書の本来的な特質であるということもあります。)読者の売上げと助成金の比率はどのくらい適切なのかは、検証が必要です。ただ、今回の会議の元データに出荷数と在庫数にずれがあり、それでは予測と戦略を正確に作れないので、数字のずれをなくすように精緻化をすることを行います。半年かけて集計方法の見直しを行うことにしました。新刊から、出荷数と返品数と在庫数の数字がずれがないように集計の方法をチェックします。

数値目標をこれまでに比べて、きちんと掲げたということが、(会社としてはもっと早くにやるべきであったにしろ)大きな成果だと言えると思います。これはあまり自慢できることではありませんが、とにもかくにも、予算案をたてることのできる状態になったということは、今までやろうとしてもできないことだったので、実感として素直に喜ぶべきことだと思います。

オープンオフィスを開催していることなどから、ひつじ書房の出版活動は、研究書を出そうと考える方にとって重要なものであるということは、研究者の方々に、ある程度知られるようになってきていますが、売上げを増加させるためには、読者に本を届けられるような体制、普通の当たり前の営業活動、たとえば、教科書の拡販のための基本的なことをあらためてやろうということを確認したという点も重要なことだと思います。良い企画を見つけ、作り出し、さらによりよく売っていくという原則をきちんとやろうというあたりまえの結論になったということですが、それらを実際に回せるようになってきたということです。机上の議論ではなく、実践へ。かけ声から、じっさいにやるという段階へ。次なるステップがはじまります。今のメンバーは、最強のチームでしょう。


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