2002年10月13日(日)午前

アマゾンが結果的に弱小出版社を不利にしていること

あるNPOの情報誌の人と議論をした。本の紹介をしてくれるそうだが、本を紹介する場合、オンライン書店を紹介するとのことが、アマゾンだけを使っているというので、BK1も使ってほしいといったら、個人的な好みに対応できないということだったので、なぜアマゾンだけでは問題なのかを説明した。それはアマゾンが、取次内部の在庫を情報源として使っているため、結果として、弱小の出版社の在庫ステイタスを「在庫切れ」や「お取り寄せ」(こっちの場合も、「発送可能時期:この本はお取り寄せとなります。ただし、ごくまれに発売中止または在庫切れの場合があります。その場合、注文受付後4週間以内にお知らせいたします。」となっているために、読者が在庫切れと思ってしまうことが起きる。)として表示することが多いというシステムを取っているためである。

小さな出版社や専門書の出版社の本は取次店の倉庫には在庫してくれないことが多い。その評価をそのままつかっていることは、アマゾンとしてはクレームが起きないようにするために、在庫が調査つかないものを在庫ありと表示しないという必要はよくわかるが、そのデータの元が、取次店の倉庫の在庫情報であるという点に問題があり、さらに大阪屋の情報管理は正直言って、あまりレベルがたかいとはいえないので、単純にそれに依存しているのは問題なのである。

取次店と小さな出版社では、力関係の強さ、弱さはあきらかである。それをそのまま反映しているということは、問題があるのではないだろうか?

以下がその文面。わかってくれただろうか?

アマゾンのバックヤードを実際にやっている取次店の大阪屋の在庫システムが、大手出版社と売れ行きのよいものだけを在庫する仕組みになっています。その仕組みを在庫情報に使っているために、取り次ぎに在庫をもてない小さな出版社にとって、在庫なし表示がでることが多いのです。

一方、オンライン書店では、esbooksやBK1は、流通の実際にかかった日にちを反映させているために、動いている書籍に関して、在庫なしの表示はしませんし、紀伊国屋書店やジュンク堂は、店舗の在庫で表示するために、実際に店頭にあれば、在庫ありと出ます。アマゾンは、取り次ぎの在庫を反映しているために、取り次ぎと出版社で、出版社の立場が弱ければ、取り次ぎ在庫に入らず、在庫あり表示にならないのです。

付記

アマゾンの在庫表記のシステムがわかるのに、まるまる1週間くらいかかってしまい、かなり消耗した。アマゾンに問い合わせ、大阪屋に問い合わせ、知り合いの出版関係者に聞き、結局、原因はこちらで推測するしかなかった。このような基本的なことを、いちいち問い合わせないでもわかるようにしておいてほしいものである。非常に情けなく、ちょっとした無力感に襲われてしまった。理由がわかったので、対処の方法も取った。アマゾンが大阪屋を選んだのは間違いだったのではないだろうか?とはいえ、トーハンも日販も、アマゾンと口座を開かなかっただろうから、仕方のないことではあるが。むしろ、アマゾンが大阪屋の在庫の管理をしてしまったらどうなのか?それにしても、そのNPOの担当者のメールに「個人的な好みに対応できない」と書いてあったのには驚いた。『市民の日本語』を紹介してくれると言うことなので、感謝はしているが、お役所気質のようなものを感じてしまった。私もそのような対応をしていないか、自戒もせねばなるまい。

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