2001年9月1日(土)

覚え書き、言語学という出版ジャンルを再考する

ひつじ書房の進む道を、ずっと考えてきた。文法学会が、くろしお出版を選んだこと、今年の春の教科書の売り上げが大幅に落ち込んだこと、日本語学の研究書を思うように刊行できていないこと、そのようなことが原因で、進路をどのように切り替えていていく必要があるのか、ということを考えてきた。文法学会が、くろしお出版を選んだことは、問題なのではなく、ひつじ書房にとっては、結果として、警告をいただいたと思っています。日本語学だけを中心にやっていては、5年後もたないでしょうということです。はやめに次のジャンルを探さなければなりません。

その後、できるだけ、いろいろな人と会い、言語研究者も、それ以外のジャンルの人にも会い、今でも会い続けていますが、予想のようなものが立ってきました。私は、自分のホームページの日誌は、アイディア帳だと思っていますので、備忘録のような要素があります。最終的な版ではありませんが、言語学出版社フォーラムの2001年の豊富に書いたものを転載します。現段階では、うまくまとまった図案です。私自身の記録のため、日誌に転載します。

この図を見ていただくと、仕方なくて、フィールドを広げるのではなく、ここ数年、私自身がやってきたことと連動しています。投げ銭、NPO、市民のインターネット活用、図書館、メディア、出版の捉え直し。21世紀に目指すべき場所に気をつかせてくれたという点で、まことにありがたいことです。

言語学というジャンルを捉えなおしたい。

狭い意味での文法研究は、レベル1であった。

レベル1

文・単語・発音
サバイバル・初級レベル(statement)
ご飯を注文できる。道順を聞くことができる。簡単に話をし、聞くことができる。

レベル2

談話・文章
中級・市民レベル(communicaition)
組織に勤めて、仕事をして生活したり、消費生活を楽しむことができる。できあいのシステムの中で生きることができる。

レベル3

上級・市民生活レベル(social interaction)
仕事を作り出したり、社会に参加することができ、ことなった立場の人と対話し、議論し、合意形成に参加できる。社会の構成員、作り手になる。

レベル1だけではなく、レベル2からレベル3までを言語学あるいはコミュニケーション研究のフィールドと考えたいと思う。そのことによって、ことばの研究が世の中に役に立つ、必要なものになるのではないか、と思う。

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