出版論(I) 出版の企画 松田 望
〈出版社のテーマ〉
中高年層をターゲットに、趣味の世界をもっと広げたいと思っている人に読まれるような本にしたい。個人的好みで「趣味人」という感じの人が好きだから。プラス、趣味を広げてみようという人は金銭的・時間的に余裕があり、本を購入してくれやすそうだから。
1、『茶道雑学』鈴木誠子
〈著者のフィールド・得意分野〉
「地域の人々やITの苦手な中高年にパソコンを身近な物と感じて欲しい」と、下高井戸駅前にインターネットカフェ「あすネット」を開きパソコン講習会等を行っている方。
そのかたわら茶道にも広い知識を持つ方でそのH.Pの中の茶道に関する記述はかなりの量となる。
〈内容概略〉
茶道を知らない人でも楽しめる内容にしたい。茶道の本はちょっと敷居の高そうな本が多いので少し茶道に興味を持った人が気軽に手にとれるようなもの。そのため、茶道のことをかなり詳しく書くのではなく茶道会の様子や有名人と茶道とのかかわり、また茶器の話など、茶道の雰囲気を伝える茶道雑学になればと思う。
〈章立て〉
前書き 茶道概略
一、 様々な茶器の話
二、 茶道と有名人
三、 茶会記
四、 茶をもっと身近に親しむには
〈部数、定価〉
定価1800円×3500部=630万円
〈コスト〉
紙代17%
印税10%
広告5%
倉庫代はなし。部屋に本を置く
〈ページ数〉
220ページ
→この本でのもうけは630万円の36%、約230万円。これを三年間で売り切るとしたら一年間で76万円のもうけ。
→事務員を少しの時間だけ雇うとして、
家賃=8万円×12ヶ月=96万円
自分の給料=25万円×12ヶ月=300万円
事務員=4万円×12ヶ月
計444万円年間で諸経費が必要。ゆえに、年間で6冊の本を出す必要がある。
→資金としては、195万円(一冊にかかるコスト)×6冊+444万円(事務などの諸経費)となり、1560万円が全体としてかかる
2、『ウの目、タカの目、女の目』神谷ちづ子
〈著者のフィールド・得意分野〉
著者はイタリアに長く在住し、イタリアについてのエッセイ集を二冊出版し、市民大学のイタリア語講座や、イタリアに関しての講演なども行っている。
また、人生観についてのエッセイ集も一冊出版している。
〈内容概略〉
このエッセイは雑誌『クロワッサン』に掲載されており、中高年の女性の視点から見た社会や自分の身近な生活を、軽妙なタッチでつづっている。これだけではただのオバサンのおしゃべりになってしまうが、彼女の場合、イタリアでしばらく生活するなど知的で自立した女性のおしゃれな雰囲気がある。その彼女が、読者にとっては身近な感覚(例:オバサンっぽさ)を持ち、かつ、普通マイナスととられることを肯定的に受け止めていっている。このような内容に読者は親近感と憧れの両方の感情を持つとおもう。その親近感で読者をひきつけつつ、イタリアの社会と日本の社会とを比較するような内容になれば深みが増すと思う。
〈ページ数〉
220ページ
〈コスト〉
111万円→紙の質を抑えて何とか100万円
〈部数、定価〉
定価2000円×3000部
3、『裏庭に咲いた話』大野八生
〈著者のフィールド・得意分野〉
園芸雑誌にエッセイを連載している。日常の中でふと目にとまった花を通して、社会の事や自分の事をつづるもの。
〈内容概略〉
花をテーマにしたエッセイ集。ページ数を少なくし、代わりに、エッセイに出てくる花の写真を多く加えたいと思う。どちらかといえばフォトエッセイ集のようなイメージで。
〈ページ数、コスト、部数、定価〉
80ページ、120万円、3000部、2000円
4、『おしゃれにイタリア語講座(タイトルは考慮の余地有り)』神谷ちづ子
〈著者のフィールド・得意分野〉
2の本と同じ。
〈内容概略〉
旅行で用いるイタリア語会話を学ぶための本。似たような本は大変多いと思うが、実際にイタリアに住み、イタリアをこよなく愛する神谷さんの視点を取り入れた文化、観光紹介を会話文の背景とし、会話を学ぶうちに文化や観光名所などに詳しくなっていると言う仕掛けにしたい。また、文化・観光紹介だけでなく、旅の安全情報などの場面があっても良いと思う。
〈ページ数、コスト、部数、定価〉
100ページ、60万円、2500部、1000円