認知言語学と談話機能言語学の有機的接点 用法基盤モデルに基づく新展開 中山俊秀・大谷直輝編 ひつじ書房 認知言語学と談話機能言語学の有機的接点 用法基盤モデルに基づく新展開 中山俊秀・大谷直輝編
2020年12月刊行

認知言語学と談話機能言語学の有機的接点

用法基盤モデルに基づく新展開

中山俊秀・大谷直輝編

A5判上製カバー装 定価4,500円+税 408頁

装丁 中垣信夫+中垣呉(中垣デザイン事務所)

ISBN 978-4-89476-995-3

ひつじ書房
Toward Dynamic Interaction between Cognitive Linguistics and Discourse-functional Linguistics: New Frontiers in the Usage-based Approach to Grammar
Edited by NAKAYAMA Toshihide and OTANI Naoki


【内容】
本書は、言語を実際の言語経験に基づいて形成される動的な知識体系として捉える用法基盤モデルを接点として認知言語学と談話機能言語学の有機的融合を図り、言語知識、言語獲得、言語運用に関する研究の新展開の可能性を示す。第1部と第2部で用法基盤モデルで想定される言語観を概観し、第3部では学際的な視点から行われた9つの研究を実例としてあげる。
執筆者:岩崎勝一、大谷直輝、大野剛、木本幸憲、佐治伸郎、サドラー美澄、柴﨑礼士郎、鈴木亮子、第十早織、巽智子、田村敏広、長屋尚典、中山俊秀、堀内ふみ野、松本善子、吉川正人

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【目次】
前書き

第Ⅰ部 経験基盤の言語学のフレームワーク
第1章 用法基盤モデルの言語観
大谷直輝・中山俊秀
1.辞書・文法モデル
2.データ・方法論の発展と言語観の変容
3.用法基盤モデル
4.用法基盤モデルから予測される文法の姿
5.言語経験を基盤とした言語学の構築に向けて

第2章 認知言語学と談話機能言語学
大谷直輝・中山俊秀
1.認知言語学と談話機能言語学の成り立ち
2.認知言語学と談話機能言語学が分析において強調する点
3.認知言語学と談話機能言語学の学際的な研究に向けて
4.まとめ

第Ⅱ部 ケーススタディ〈理論研究編〉
第3章 言語知識はどのような形をしているか 個人文法の多重性と統合性
岩崎勝一
1.はじめに—「個人文法」と「言語集団文法」
2.「多重文法」モデル
3.「多重文法」モデルによる「の」の分析
4.多重文法への同時アクセス
5.まとめと提案

第4章 言語知識はどのように習得されるか
佐治伸郎
1.はじめに
2.用法基盤モデルと認知科学
3.用法基盤モデルに基づく言語習得理論の道具立て
4.用法基盤モデルに基づく言語習得研究の今後の展開
5.結語

第5章 言語知識はどのように運用されるか 「得る」ための知識から「使う」ための知識へ
吉川正人
1.はじめに
2.用法基盤モデルの問題と事例理論
3.事例理論の言語研究への応用
4.結語

第Ⅲ部 ケーススタディ〈個別研究編〉
第6章 構文と談話のパートナーシップ 日本語の名詞修飾節構文からの考察
松本善子
1.はじめに
2.事例研究
3.おわりに

第7章 日本語の日常会話における「基本的」他動詞節 現実的な文法理論の構築を目指して
大野剛・サドラー美澄・第十早織
1.はじめに
2.「基本的」他動詞節
3.使用データ
4.会話における他動詞節のふるまい
5.終わりに

第8章 新表現の創発 新しくない中にめっちゃ新しさ見えてるアピール
鈴木亮子
1.はじめに—本稿で取り組みたい疑問
2.単位の問題—語を超えて
3.分析対象—「新表現」の認定、使用したデータ、対象とする事例数
4.新表現の構造と新奇性の由来
5.新表現の生まれるプロセス—先行文脈とトリガー
6.創発のプロセス—創発の動機と、直後の展開
7.プロセスとしての新表現の創発—新しくない中にある新しさ

第9章 子供の言語の文法的生産性を探る 第一言語習得における日本語の動詞屈折について
巽智子
1.言語習得における生産性
2.研究事例A:子供の動詞屈折の使用は語彙特殊的なパターンを見せるか
3.研究事例B:子供とその保護者の動詞屈折の使用パターンは語彙レベルで相関するか
4.研究事例C:子供の動詞屈折の誤用のパターンは語彙レベルのインプット頻度分布で説明されるか
5.議論

第10章 Wh分裂文と進行形の歴史的発達と融合について 情報連鎖の再構築と対人関係機能
柴﨑礼士郎
1.はじめに
2.進行形の歴史的発達
3.Wh分裂文の歴史的発達
4.使用コーパス
5.調査結果
6.分析と考察
7.まとめと今後の課題

第11章 会話のなかのタガログ語文末助詞e
長屋尚典
1.タガログ語の基本情報と先行研究
2.タガログ語会話コーパス
3.文末助詞eの基礎的記述
4.正当化行為の標識としての文末助詞e
5.用法基盤モデルと文末助詞の研究
6.おわりに

第12章 隣接した発話間に見られる文法的構造の萌芽 子どもによる前置詞inの使用を例にして
堀内ふみ野
1.はじめに
2.背景と枠組み
3.子どもによる前置詞inの産出パターン
4.パターンごとの事例数の分布と月齢に応じた変化
5.対話から創発する文法的構造
6.おわりに

第13章 言語使用のダイナミクスと用法基盤モデル アルタ語の文法、相互行為、文化からみる位置保持詞の役割
木本幸憲
1.はじめに
2.分析の枠組みと分析対象
3.位置保持詞用法
4.waの位置保持詞以外の用法
5.言語知識を構成するもの

第14章 幼児の「語り」における丁寧体の使用と絵本の文体が与える影響について
田村敏広
1.はじめに
2.幼児の「語り」
3.フィクショナルナラティブと絵本
4.語りにおける丁寧体と言語知識
5.おわりに

後書き
索引
編者・執筆者紹介


【編者紹介】
中山俊秀(なかやま としひで)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
[専門]用法基盤言語学、言語類型論、記述言語学、言語ドキュメンテーションと再活性化
[主な著書・論文]Nuu-chah-nulth (Nootka) Morphosyntax(University of California Press, 2001)、「文法システム再考—話しことばに基づく文法研究に向けて」(『話しことばへのアプローチ—創発的・学際的談話研究への新たなる挑戦』、ひつじ書房、2017)、Polysynthesis in Nuuchahnulth, A Wakashan language(The Oxford Handbook of Polysynthesis, Oxford University Press, 2017)ほか。

大谷直輝(おおたに なおき)
東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授
[専門]認知言語学、構文文法
[主な著書・論文]A Cognitive Analysis of the Grammaticalized Functions of English Prepositions: From spatial senses to grammatical and discourse functions(Kaitakusha, 2013)、『ベーシック英語構文文法』(ひつじ書房、2019)ほか。


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