ひつじ書房 認知物語論の臨界領域 西田谷洋・浜田秀編  ひつじ書房 認知物語論の臨界領域 西田谷洋・浜田秀 編
2012年9月刊行

認知物語論の臨界領域

西田谷洋・浜田秀 編

A5判並製 定価1400円+税

ISBN 978-4-89476-610-5

ひつじ書房



理論的文学研究の最先端!


要約

2011年に開催されたワークショップ「認知物語論の臨界領域」での議論をふまえ、認知物語論の最新の成果を示す論文集。認知物語論は、認知科学や認知言語学の成果を取り込み、物語論の再構築をめざしてきたが、未だ理論的には完成されていない。本書は、言語行為と語りの接続、スキーマとデフォルト解釈、可能世界解読時の推論、コンストラクションと解釈、非物語的認知と寓話的解釈を、理論的な問題領域の先端と捉え、理論的・解釈的検討の実践を行った。

【目次】

第1章 小説の言語行為論のために 浜田 秀
1. はじめに
2. 虚構・小説・物語
3. 時制
4. 人称と時間副詞
5. 引用の形式
6. まとめ

第2章 小説とスキーマをめぐるスケッチ─デフォルト値、推論、ヘッダー 日比 嘉高
1. はじめに
2. スキーマ理論とは
3. スキーマ理論と文学
4. デフォルト値と小説の読解
5. 文学とスキーマについてのより拡張的な考察
6. おわりに

第3章 可能世界を読み渡ること─森鷗外「カズイスチカ」をめぐって 井上 優
1. はじめに
2. 奇妙なテクスト・指示・可能世界
3. 「一枚板」・世界の到達関係
4. あり得た現在をめぐって
5. 「条件文」を渡る
6. あり得たかもしれないことと、読者の頭の中の物語世界

第4章 残存のコンストラクション─村上春樹「螢」 西田谷 洋
1. はじめに
2. 残存のサブスキーマと透明性
3. アイデンティティの危機?
4. 対話のレトリック
5. 方便としての三角関係
6. 伝わるもの/伝わらないもの
7. 「螢」の修辞的構成

第5章 認知をめぐる寓話─村上春樹「螢」を読む 川本 玲子
1. はじめに
2. 死を退ける物語と、物語を退ける死
3. 地図と物語―「同居人」の世界観
4. 物語の喪失と蛍のゆくえ
5. 結論

【著者紹介】

浜田秀(はまだ しゅう)
天理大学文学部教授
「カテゴリーとしての詩―余白の生み出す民俗詩学」(『認知言語学論考7』ひつじ書房)、「認知文体論的メタファー分析の試み―梶井基次郎「筧の話」を対象に」(『山邊道』第52号、天理大学国語国文学会)、『認知物語論キーワード』(共著、和泉書院)

日比嘉高(ひび よしたか)
名古屋大学大学院文学研究科准教授
『〈自己表象〉の文学史―自分を書く小説の登場』(翰林書房)、『スポーツする文学―1920–30年代の文化詩学』(共編著、青弓社)、『認知物語論キーワード』(共著、和泉書院)

井上優(いのうえ ゆう)
早稲田大学非常勤講師
「精神病学と小説—森鷗外『半日』から」(『日本近代文学』第56集、日本近代文学会)、「性と知、あるいは領土化をめぐる言説の抗争―森鷗外『ヰタ・セクスアリス』論」(『思想』第875号、岩波書店)、「「透明な脳」と「柔らかい心臓」―寺田寅彦『亮の追憶』・ゾンビ・外在主義」(『文学』第9巻第5号、岩波書店)

西田谷洋(にしたや ひろし)
愛知教育大学教育学部教授
『語り寓意イデオロギー』(翰林書房)、『宮崎夢柳論』(ダイテック)、『認知物語論とは何か?』(ひつじ書房)、『政治小説の形成』(世織書房)、『梶井基次郎「檸檬」の諸相』(共著、愛知教育大学出版会)、『認知物語論キーワード』(共著、和泉書院)、『徳田秋声短編小説の位相』(共著、コームラ)

川本玲子(かわもと れいこ)
一橋大学商学研究科准教授
「妄想と創造のあいだ―C・P・ギルマン『黄色い壁紙』再考」(『ジェンダーから世界を読む―表象されるアイデンティティー』共著、明石出版)、「物語論と『意識の科学』―自閉症の視点から」(FLC言語文化論集『ポリフォニア』第一巻、東京工業大学FLC言語文化研究会)


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