インターアクション能力を育てる日本語の会話教育 中井陽子 著
2012年8月
 |
シリーズ言語学と言語教育 25
インターアクション能力を育てる 日本語の会話教育
中井陽子 著
装丁者 吉岡透(ae)/明田結希(okaka design)
A5判上製 定価8,400円+税
ISBN 978-4-89476-585-6
ひつじ書房
|
人と人が会話をして友好な関係を作っていくには、「インターアクション能力」が必要である。「インターアクション能力」には、語彙・文法等の言語能力だけでなく、会話に参加していく社会言語能力や、実質的な行動を行っていく社会文化行動といった能力が含まれる。こうした能力育成を目的とした日本語の会話教育を開発するための「研究と実践の連携」のあり方を提案するとともに、教育法案を具体的に提示した。特に、教師と学習者が会話データ分析をした成果を指導学習項目化し、それを教育実践に生かすプロセスを詳述した。
目次
はしがき
本書の元になった初出論文・発表
第1章 会話教育で必要なこと
第1節 本書で目指す会話教育
1. コミュニケーションと会話とは何か
2. 会話で必要な能力とは何か
3. メタメッセージ伝達・解読の重要性
4. 学習者の社会参加場面の連携
5. 会話教育が必要な理由と目指すもの
第2節 会話教育における「研究と実践の連携」の必要性
1. 教師による「研究と実践の連携」の必要性
2. 学習者による「研究と実践の連携」の必要性
3. 教師と学習者による「研究と実践の連携」のモデル
第3節 母語話者と非母語話者の歩み寄りの必要性
第4節 会話教育研究を行うにあたって
1. 会話教育研究をなぜ行うのか
2. 会話教育研究について議論する内容の全体構成
3. 会話教育研究としての本書の特徴
第2章 会話教育のためのコース・デザイン
第1節 日本語教育におけるコース・デザイン
第2節 会話分析と談話分析
第3節 接触場面研究
1. 接触場面の場面・領域
2. 接触場面のネットワーク
3. 接触場面の会話研究
4. インターアクション能力(言語能力・社会言語能力・社会文化能力)
5. 規範の動態性
6. 言語的アクティビティと実質的アクティビティ
第4節 授業活動デザイン
1. FACT とACT
2. 学習指導法の4 類型
3. 協働と社会としての教室
第5節 コース・デザインの理論からみる本書の位置づけ
第3章 言語的・実質的アクティビティにおける会話データの分析
第1節 会話データ収集・分析方法
1. 会話データ分析の枠組み
2. データ収集方法・会話参加者の背景
3. フォローアップ・インタビューの方法
4. 文字化方法
第2節 会話データの分析
1. 実質的な発話・あいづち的発話と現場性の有無の比較分析
2. 言語的アクティビティの会話の分析(初対面の会話)
3. 実質的アクティビティの会話の分析(キャンパス探検中の会話)
4. 初対面の自由会話とキャンパス探検中の会話の分析における考察
5. 母語話者の配慮・調整行動の分析
第3節 本章の会話データ分析のまとめ
第4章 言語的・実質的アクティビティを活かした会話教育
第1節 会話教育実践のバリエーション
1. 実際使用のアクティビティを取り入れたイマーション・プログラム
2. 談話技能の習得を目指した会話教育実践
3. 会話教育実践のまとめと課題
第2節 会話教育の指導学習項目
1. 会話教育の指導学習項目
2. 会話教育のためのインターアクションの新たな指導学習項目の提案
3. 会話指導学習項目の意義と活用方法
4. 会話指導学習項目を扱う際の留意点
第3節 言語的アクティビティの会話を扱った教育実践例の分析
1. 授業の概要・学習者の背景
2. 授業の活動内容
3. 授業活動中の会話データの分析
4. 学習者による授業の感想
5. 授業ボランティアによる授業の感想
6. 言語的アクティビティの会話を扱った教育実践の利点と特徴
7. 会話練習活動のフィードバック方法の提案
8. 会話教育実践例のまとめと今後の課題
第4節 実質的アクティビティの会話を扱った教育実践例の分析
1. 授業の概要・学習者の背景
2. 授業の活動内容
3. 教室外の「キャンパス探検」における実際使用のアクティビティの分析
4. 学習者と授業ボランティアによる授業の感想
5. 実質的アクティビティの実際使用としてのフィールド・トリップの意義
6. 授業目標の達成度と改善点
7. フィールド・トリップにおける授業ボランティアと教師の役割
8. 会話教育実践例のまとめと今後の課題
第5節 言語的アクティビティと実質的アクティビティを活かした会話教育実践の提案
1. 室内外の環境の活用
2. 実質的アクティビティの特徴を活かした会話教育実践
3. 会話教育実践の提案のまとめと今後の課題
第6節 本章の会話教育のまとめと教師による「研究と実践の連携」の提案
第5章 学習者の会話を分析する視点の育成と実際使用の実践研究
第1節 学習ストラテジーとメタ認知
第2節 会話データ分析活動の教育実践例の分析
1. 授業の概要・学習者の背景
2. 学習者による会話データ分析活動の分析
3. 学習者と授業ボランティアによる授業の感想
4. 教師の役割
5. 教師にとっての利点
6. 会話教育実践例のまとめと今後の課題
第3節 会話データ分析活動と会話練習とビデオ作品作成プロジェクトの教育実践例の分析
1. 授業の概要・学習者の背景
2. 会話データ分析活動の分析
3. 会話練習の分析:現場性の有るコメント発話の例
4. ビデオ作品作成プロジェクトの分析
5. 学習者による授業の感想
6. 教師と学習者による「研究と実践の連携」
7. 授業改善のための教師による実践研究の循環
8. 会話教育実践例のまとめと今後の課題
第4節 本章の会話教育のまとめと自律性育成のための学習者による「研究と実践の連携」の提案
第6章 教師の会話を分析する視点の育成の実践研究
第1節 日本語教員養成
1. 教師による「研究と実践の連携」の意義
2. 教員養成の教育実践
第2節 会話教育のための日本語教員養成コースの教育実践例の分析
1. 講義の概要・受講者の背景
2. 講義の活動内容と受講者の会話データ分析例
3. 受講者による講義の感想の分析
4. 会話教育のための教員養成の提案
第3節 本章の日本語教員養成の教育実践例のまとめと今後の課題
第7章 今後の会話教育への提案
第1節 各章で述べてきたこと
第2節 認知心理学的な授業活動デザインからみた本書の会話教育実践
第3節 自律的に育成する会話能力と会話教育のための「研究と実践の連携」の意義
1. 学習者の場合
2. 教師の場合
第4節 会話教育における教師と学習者による「双方の学び」
第5節 母語話者の歩み寄りのインターアクション能力育成の提言
第6節 会話教育のための教員養成への提言
第7節 本章のまとめと会話教育モデルの提案・今後の課題
1. 本章のまとめ
2. 会話教育実践モデルの提案・今後の課題
3. インターアクション能力育成を目指した会話教育のための「研究と実践の連携」のモデルの提案
参考文献
巻末資料
あとがき
索引
<著者紹介>
中井陽子(なかい・ようこ) 東京外国語大学留学生日本語教育センター講師。主要著作・論文に『会話教材を作る』(スリーエーネットワーク、2010年、共著)、「映画視聴と演劇上演を融合させた授業の分析―インターアクション能力育成を目指して―」『国際表現言語学会オンラインジャーナル』創刊号(2012年)など。
ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。
書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。

お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
送料420円でお送りします。