日本語教育からの音声研究 土岐哲 著
2010年

日本語教育からの音声研究


土岐哲著
A5判上製 定価5,800円+税

ISBN978-4-89476-488-0

ひつじ書房

本書は、幾多の日本語学習者との接触により触発され、自発性の高い自然な
日本語音声とはどんなものかに焦点を当てることで生まれた研究である。
音声教育の史的概観、一般音声学的視点の重要性、縮約現象の諸相、リズムの
規則性、アクセントの下げとイントネーションの下げ、海外(南洋群島、台湾)
に残存する日本語の音声等の他、現代社会に於ける音声教育観等、音声教育を
考える上での主要な項目を内容として展開する。

目次


はじめに
第I部
第1章 日本語音声の教育・研究の変遷
 1.資料の分類
 2.史的概観
 3.教材の記述
 4.今後の音声教育・音声教材

第2章 教科書に見られる日本語音声教育上の記述
 1.序
 2.初級教科書調査
 3.資料
 4.資料に見られる傾向
 5.項目別の検討
  5.1.母音
  5.2.母音の無声化
  5.3.連母音
  5.4.特殊音節(特殊拍)
  5.5.ガ行鼻濁音
  5.6.調音法など
  5.7.音節構造
  5.8.アクセント
  5.9.息継ぎ・プロミネンス
  5.10.イントネーション
  5.11.まとめ

第3章 一般音声学的視点から考える音声教育の重要性
 1.一般音声学
 2.パラメータのレパートリー
 3.日本語の音声表記についての基本姿勢

第4章 日本語音声に見られる諸現象の実態
 1.教養番組に現れた縮約の諸現象
 2.どんな縮約が現れたか
 3.場面別にみた縮約の現れ方
 4.まとめ

第5章 日本語リズムの研究
 1.序ーリズムの定義ー
 2.考察のとりかかり―定型詩リズムの二面性ー
 3.話しことばのリズムの基礎理論
  3.1.2連音節の内訳
  3.2.語構成を超えた区切り意識
 4.応用につながる記述への追求
 5.まとめ

第6章 日本語音声の縮約とリズム形式
 1.序
 2.縮約の範囲・タイプ
 3.縮約の諸相
 4.まとめ

第7章 アクセントの下げとイントネーションの下げの区分
 1.序
 2.問題の所在
 3.『話しことばの文型(2)』(1963)によるイントネーションの再分類と(1)との比較
 4.実験の概要
 5.結果の分析・考察
 6.結語

第II部
第8章 音声上の虫食い文補塡の手掛かりとなる韻律的要素
 1.問題の所在
 2.聞き取り・判定の材料
 3.実験結果
  3.1.〈テープA〉の聞き取り結果
  3.2.〈テープB、テープC〉の聞き取り結果
 4.正答率の高かった資料と低かった資料の差異
  4.1.「東京方言」
  4.2.「英語」「タイ語」
  4.3.「大阪方言」
 5.持続の長さによる測定
 6.まとめ

第9章 東京方言話者と大阪方言話者による同一音声資料の聞き取り結果
 1.問題の所在
 2.音声資料
 3.音声資料の内容分析
 4.聞き取り調査の結果
 5.まとめ

第10章 日本語会話文の音読に見られる各地方言の韻律的特徴―弘前市生育者の場合―
 1.研究目的とその背景
 2.音声資料
 3.分析
  3.1.定式表現
   3.1.1.「おはようございます」の例
   3.1.2.「ありがとう」/「ありがとうございました」の例
   3.1.3.「どうも ありがとうございました」の例
  3.2.疑問文
   3.2.1.「何が みえますか?」の例
   3.2.2.「何か みえますか?」の例
 4.まとめ

第11章 青森県深浦方言の音声・音韻―4世代の横断的内部観察資料から―
 1.序
 2.資料
 3.音節一覧
  3.1.母音
  3.2.子音
   3.2.1.母音のきしみと子音のきしみ
   3.2.2.gとŋの対立
   3.2.3.母音間のガ行音ダ行音
   3.2.4.語中有声破裂音直前の鼻音
   3.2.5.合拗音k‿w
  3.3.その他の例に見られる世代間の変化
 4.アクセント
 5.まとめ

第12章 ミクロネシア・チュークに見られる残存日本語の音声
 1.序
  1.1.調査の概要
  1.2.インフォーマントの条件差
 2.チューク語の音声、日本語との異同
  2.1.音素体系の比較
  2.2.音環境と異音の関係
 3.音声資料
 4.調査結果
  4.1.単音レベル
  4.2.音節レベル
  4.3.単語レベル
  4.4.文レベル
 5.まとめ

第13章 ミクロネシア、ポナペ島に残存する日本語の音声
 1.序
  1.1.音声資料の収録
  1.2.被調査者
 2.ポナペ語と日本語の異同
  2.1.予想される特徴と実際
 3.結び

第14章 台湾先住民ヤミ族に見られる日本語音声 ―アミ語話者との比較も交えて―
 1.序
  1.1.音声資料について
  1.2.ヤミ語と日本語の音韻組織上の異同
 2.予想される懸念事項と期待事項
 3.被調査者
 4.分析と考察
 5.ヤミ語話者の特徴のまとめ
 6.アミ語話者の日本語との異同
 7.まとめ

第III部
第15章 音声研究と日本語教育 ―日本語音声教育の視座を見据えて―
 1.序
 2.音声教育は必要か
 3.音声研究と音声教育の流れ
 4.音声研究の成果を応用する際の留意点
 5.今後の音声研究・教育音声研究

第16章 聞き手の国際化―音声教育の展望―
 1.序
 2.問題の所在
 3.恣意的で一方的な解釈・評価
 4.日本語学習者側の防御策
 5.公平な耳・意識の養成
 6.まとめ―聞き手の国際化に向けて―

おわりに
掲載論文の初出一覧
参考文献
あとがき


【執筆者紹介】

土岐哲(とき さとし) 京都外国語大学 教授、大阪大学 大学院 文学研究科 名誉教授。



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