文化と会話スタイル 多文化社会・オーストラリアに見る異文化間コミュニケーション ヘレン・フィッツジェラルド著 村田泰美(監訳)重光由加・大谷麻美・大塚容子訳 文化と会話スタイル 多文化社会・オーストラリアに見る異文化間コミュニケーション ヘレン・フィッツジェラルド著 村田泰美(監訳)重光由加・大谷麻美・大塚容子訳
2010年9月

言語学翻訳叢書 第11巻

文化と会話スタイル

多文化社会・オーストラリアに見る異文化間コミュニケーション

ヘレン・フィッツジェラルド著
村田泰美(監訳)
重光由加・大谷麻美・大塚容子訳

A5判並製 定価2,800円+税

ISBN 978-4-89476-480-4

ひつじ書房


内容紹介
オーストラリアは多文化主義を政策として採用しながらも英語を国の土台ととらえ、移民の英語教育を保証している。本書は移民たちが英語母語話者を交えて問題解決をはかるとき、母語の文化的価値観や談話構造、ターン・ティキング、主張の仕方といった会話のスタイルがどのように英語母語話者や他の文化出身者との意思疎通を阻んだり、誤解を与えたのかを実際の会話データから分析した。英語教育、日本語教育、多文化教育でのコミュニケ—ションの在り方を考えるための必読書。訳書原題『How Different Are We? Spoken Discourse in Intercultural Communication』



目次

訳者まえがき
はじめに
第1章 序論
 1.1 研究の目的とその範囲
 1.2 本書の構成
 1.3 本研究が目指すものと関連する理論
 1.4 オーストラリアの移民プログラムと英語教育支援
 1.5 異文化間コミュニケーション理論
第2章 本研究で扱うデータ
 2.1 会話参加者
 2.2 データの収集方法
 2.3 データの分析方法
 2.4 本研究の会話データに見られる一般的特徴
  2.4.1 場面状況(s tuat onal context)
  2.4.2 適応(accommodat on)と同調(convergence)
  2.4.3 ラポールとユーモア
第3章  文化に見られる価値観の体系化─先行研究
 3.1 文化と文化的価値観の定義
 3.2 文化的価値観の体系
 3.3 集団主義と個人主義
 3.4 権力格差
 3.5 男性性と女性性
 3.6 先天的属性と後天的達成
 3.7 問題解決法と意思決定法
 3.8 対人関係
 3.9 近代化と文化の収れん
 3.10 考察
第4章  データ分析─会話に影響を与える文化的価値観
 4.1 はじめに
 4.2 繰り返し出てきたパターン:会話の中に反映される価値観
  4.2.1  グループA:個人より集団を優先する価値観─階層の重要性
  4.2.2  グループB:個人より集団を優先する価値観─教育の高さや性のモラルの重要性
  4.2.3  グループC:個人より集団を優先する価値観─階層と性のモラルの重要性
  4.2.4  グループ D:個人より集団を優先する価値観─階層の重要性
  4.2.5 グループE:教育の資格の重要性
 4.3 問題の生じた会話─異なった価値観と相容れない世界観
  4.3.1 ペア会話(a):知識と価値観の共有の欠如
  4.3.2 グループF:文化衝突
  4.3.3 グループG:異なる価値観─説明の失敗例
 4.4 文化の違いから生まれるもの
  4.4.1 グループ H:多文化社会で必要な妥協点
  4.4.2 グループI:文化的にふさわしい解決方法の発見
  4.4.3 グループ J:別の見方を考える
  4.4.4 考察
 4.5 まとめ
第5章  コミュニケーション・スタイル─先行研究
 5.1 はじめに
 5.2 コミュニケーション・スタイルの枠組
第6章  データ分析─会話の展開方法とレトリック・ストラテジー
 6.1 はじめに
 6.2 会話の展開方法
  6.2.1 帰納的な会話の展開(南アジア出身者):ペア会話(b)
  6.2.2  帰納的な会話の展開(南アジア出身者)と演繹的な展開
(東ヨーロッパ出身者)との対照:グループK
  6.2.3  反対意見を述べるための帰納的な会話の展開
(東南アジア出身者):グループB
  6.2.4 会話の展開の三つのタイプ:グループL
 6.3 レトリック・ストラテジー
  6.3.1  母語のスタイルを反映したレトリック・ストラテジー (中東出身者):グループF
  6.3.2  母語のスタイルを反映したレトリック・ストラテジー (中東出身者と南アジア出身者):グループM
 6.4 考察
第7章  データ分析─ターン・テイキングの種類と発話量の差
 7.1 はじめに
 7.2 インタラクションの一般的な特徴
 7.3  高度にかかわり合うスタイルと高度に配慮したスタイル
  7.3.1 発言権の交代とターン・テイキング:グループB
  7.3.2 オーバーラップ:グループN
 7.4 ターン・テイキング・スタイル
  7.4.1  順番に話すタイプと同時に入り乱れて話すタイプの対照的 な二つのグループ:グループL とグループO
  7.4.2  同時に入り乱れて話すタイプ:グループO
 7.5 会話を仕切る人たち
  7.5.1 会話を仕切る人-失敗例:グループ P
  7.5.2 比較的成功した会話: グループQ
 7.6 考察
第8章  データ分析─自己主張、不同意、意見の対立
 8.1 はじめに
  8.1.1  強い不同意の表明 (東アジア出身の男性の例):グループA
 8.2 自己主張と不同意
  8.2.1  はっきりとした不同意の表明 (東南アジア出身の女性の例):グループN
  8.2.2  自己主張と直接的な不同意の表明 (東アジアと東南アジア出身女性の例): グループR
 8.3 不同意
  8.3.1  融和的な不同意の表明 (東南アジアの男性の例): グループB
  8.3.2  融和的だが直接的な不同意の表明 (東南アジア出身男性の例): グループS
 8.4 考察
 8.5 まとめ
第9章  コミュニケーション能力の養成 ─異文化間コミュニケーションと言語文化コミュニケーション
 9.1 どのような能力が教えられるべきか
 9.2 会話におけるコミュニケーション能力の発達の軌跡
  9.2.1 トレーニング以前:グループH
  9.2.2 トレーニングの中段階:グループM
  9.2.3 トレーニング後:グループT
  9.2.4  英語母語話者と非英語母語話者を交えた会話の成功例 :グループU
 9.3 考察
第10章 結論
 10.1 コンテクストの重要性
 10.2 見えてきたもの
 10.3 教育への応用とトレーニング

【著者紹介】

ヘレン・フィッツジェラルド(Helen FitzGerald) キャンベラ工科大学教授(退官)
村田泰美(むらた やすみ) 名城大学人間学部教授
重光由加(しげみつ ゆか) 東京工芸大学工学部准教授・青山学院大学非常勤講師
大谷麻美(おおたに まみ) 京都女子大学文学部准教授
大塚容子(おおつか ようこ) 岐阜聖徳学園大学外国語学部教授


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