ひつじ書房 三島由紀夫の作家像形成のストラテジー 中村佑衣著 ひつじ書房 三島由紀夫の作家像形成のストラテジー 中村佑衣著
2026年2月刊行

ひつじ研究叢書(文学編) 22

三島由紀夫の作家像形成のストラテジー

中村佑衣著

A5判上製カバー装 定価7000円+税 232頁

ISBN978-4-8234-1337-7

ブックデザイン 坂野公一(welle design)

ひつじ書房

Yukio Mishima’s Strategy to Shape His Author Image: Unfixed Subject
Nakamura Yui

【内容】

三島由紀夫の作家としての立場を確固たるものにしたのは『金閣寺』であるが、その三島のイメージを固定化してよいのか。本書では、従来は看過されてきたそれ以前の短編小説にも光を当て、ニーチェなどの哲学思想から三島の文学理論を解釈し、三島の作家像の生成と脱構築の過程を辿り、従来の確固とした三島像を問い直す。三島が求めた固定化されない作家像は、メタバースが普及しつつある現代の主体の在り方にも通じるものがある。

【目次】

序章
1 作家が前景化する文学
2 作家像の形成の複合的要因と偶発性
3 作品の選択基準と本書の構成


第1部 作品享受の〈場〉の形成と「三島由紀夫」像の承認

第1章 三島文学における戦後の再出発とニーチェ哲学
1 はじめに
2 一九四九年頃の三島文学とニーチェ哲学
3 三島の新たな文学論
4 「夜の車」以降に見られる〈生〉の課題

第2章 『仮面の告白』論(1)
—人間存在の相対性を示唆するエピグラフと、ペシミズムの克服
1 はじめに
2 「私」の葛藤と「不在」の瞬間
3 ペシミスティックな〈生〉の克服
4 浪曼主義的ペシミズムからの脱却

第3章 『仮面の告白』論(2)—〈仮面〉を利用した仮象としての主体の形成
1 はじめに
2 「私」によって分析される〈告白〉
3 仮面の告白
4 〈読者—作品—作者〉間に形成される作家の主体

第4章 〈頼安もの〉「怪物」論—時代性の描出としての怪物的人間の悲劇
1 はじめに
2 時代性の描出という企て
3 怪物斉茂の反時代性と悲劇
4 現在との対峙


第2部 文学論の確立と固定化されない作家像

第5章 〈菊田次郎もの〉論(1)—〈書く人〉次郎による芸術論の展開
1 はじめに
2 ニーチェの『悲劇の誕生』に基づく物語内容
3 時間と空間の超越
4 芸術論の作品化

第6章 〈菊田次郎もの〉論(2)—「旅の墓碑銘」のメタフィクションの意義
1 はじめに
2 『仮面の告白』との差異
3 メタフィクションが読者に投げかける問い
4 メタフィクションの意義

補章 戯曲「癩王のテラス」論—実在性を否定する言葉の遂行力
1 はじめに
2 〈病者〉を描くことの意義
3 三島戯曲における対話の遂行力
4 〈肉体—精神〉の二項対立の解体


終章
1 『太陽と鉄』における作家像の形成にまつわる考察
2 作家像を形成する三島の文学的営為の機序
3 おわりに


謝辞
参考文献一覧
索引




【著者紹介】

中村佑衣
略歴
一九八八年千葉県生まれ。聖心女子大学文学部日本語日本文学科日本語日本文学専攻卒業後、同大学院文学研究科日本語日本文学専攻修士課程と同大学院文学研究人文学専攻(日本語日本文学分野)博士後期課程を修了。博士(文学)。二〇二一年度から二五年度にかけて、愛知淑徳大学初年次教育部門(二〇二五年度より学修・教育支援センター)助教をつとめる。研究領域は、三島由紀夫文学を中心とする日本近現代文学の他、初年次教育、アカデミック・ライティング。

主な著作
「三島由紀夫〈菊田次郎もの〉論―「旅の墓碑銘」のメタフィクションの意義」(『日本文学』二〇一八・六)など。


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