「注文の多い料理店」はなぜ曖昧か 児童文学から学ぶ意味の世界 西山佑司著
2026年6月刊行

「注文の多い料理店」はなぜ曖昧か

児童文学から学ぶ意味の世界

西山佑司著

A5判並製カバー装 定価2,800円+税 348頁

ISBN978-4-8234-1335-3

ブックデザイン 村上真里奈

ひつじ書房

The Ambiguity of 'The Restaurant of Many Orders': A Study of Meaning through Fairy Tales
Yuji Nishiyama

【内容】

第I部では、児童文学から有名なフレーズをいくつかとりだし、表面的には単純な表現の背後に、目に見えない糸が織りなす豊かな意味の世界が隠れていることを見ていく。第II部では、宮沢賢治の作品のタイトル「注文の多い料理店」に焦点を当て、このフレーズがなんと7通りに曖昧であることを論じる。この議論を通して、子どもの心に内在する言葉の意味についての、通常は意識されることがない深い知識を浮き彫りにする。

【目次】

プロローグ

第Ⅰ部 児童文学に登場する気になるフレーズ―その意味論的分析

第1章 「むかしむかし、年とったお妃がありました」のふしぎ
1.1 初出導入文のデータ
1.2 アル存在文とイル存在文
1.3 「ひとがアル」という言い方について
1.4 曖昧な存在文
1.5 初出導入文と絶対存在文
1.6 登場人物を導入するもうひとつのタイプ
1.7 児童文学に登場する絶対存在文
1.8 第1章のまとめ

第2章 「王様には、お姫さまがひとりありました」
2.1 所有文「A(に)はBがある」
2.2 所有文と絶対存在文
2.3 「AはBがある/いる」と「AのBがある/いる」
2.4 所有者Aと所有対象Bの関係
2.5 所有文の本質的特徴
2.6 第2章のまとめ

第3章 「鏡よ、鏡、国じゅうで一番美しいのはだれ?」
3.1 分裂文と倒置指定文
3.2 倒置指定文と絶対存在文
column 1 「サメと格闘した人はどの人かしら」
3.3 措定文
3.4 所有文と措定文
3.5 曖昧なコピュラ文
3.5.1 措定文と倒置指定文の曖昧性
3.5.2 倒置同定文
column 2 初歩の英語教材とコピュラ文
3.6 名詞句自体の意味と名詞句の意味機能
3.6.1 叙述名詞句になりやすい名詞
3.6.2 叙述名詞句になりにくい名詞句
3.6.3 叙述名詞句と取り立て助詞(「も」/「だけ」)
3.6.4 変項名詞句になりにくい名詞
3.6.5 変項名詞句になりやすい名詞
3.7 第3章のまとめ

第4章 「鏡は国じゅうで一番美しいひとを教えた」
4.1 「探し文」は曲者!
4.1.1 個体探し文
4.1.2 潜伏疑問文
4.2 「知る」と潜伏疑問文
4.3 曖昧な「わかる」
4.3.1 疑問詞疑問文に対する答えを提供する「わかる」
4.3.2 潜伏疑問文
4.3.3 同定疑問文に対する答えを提供する「わかる」
4.4 「教える」と潜伏疑問文
4.5 4章のまとめ

第5章 「王子の花嫁がガチョウ番の娘になった」
5.1 変化文の曖昧性
5.2 変化文における変貌読み
5.3 変化文における入れ替わり読み
5.4 変化文における変身読み
5.5 5章のまとめ

第Ⅱ部 「注文の多い料理店」はなぜ曖昧か?

第6章 「注文の多い料理店」という表現に潜む6本の糸
はじめに
6.1 文と名詞句の関係―述定と装定[最初の糸]
6.2 「多い」の2つの意味機能[2本目の糸]―数量形容詞的用法と存在形容詞的用法
6.2.1 数量形容詞的用法
6.2.1.1 値コメント文
6.2.1.2 「Aは多い」と値コメント文
6.2.1.3 「AはBが多い」と値コピュラ文
6.2.2 存在形容詞的用法
6.2.3 「Aが多い」と場所存在文
6.3 「この料理店は注文が多い」と所有文[3本目の糸]
6.4 「注文」という語の曖昧性[4本目の糸]
6.5 「料理店」と「注文」の関係[5本目の糸]
6.5.1 肉屋にとってお得意さんの料理店
6.5.2 人気があり、大繁盛の料理店
6.5.3 建設希望人気No.1の料理店
6.5.4 雑誌注文取りに最高の料理店
6.5.5 無理な要求をする料理店
6.5.6 保健所からの改善要求が厳しい料理店
6.5.7 雑誌への要求が厳しい料理店
6.6 注文行為と注文内容[6本目の糸]
6.7 6章のまとめ―変項名詞句と多様な構文

エピローグ
参考文献
用例出典
あとがき
索引




【著者紹介】

西山佑司(にしやま ゆうじ)
1943年東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻および哲学専攻を卒業。同大学院文学研究科博士課程哲学専攻単位取得退学。マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院哲学科博士課程修了(Ph.D.)。現在、慶應義塾大学名誉教授・明海大学名誉教授。専門は意味理論、語用理論、言語哲学。主要著書として、『意味論』(英語学大系5、共著、大修館書店1983年)、『日本語名詞句の意味論と語用論』(ひつじ書房2003年)、『談話と文脈』(共著、岩波書店2004年)、『ことばの意味とはなんだろう』(共著、岩波書店2012年)、『名詞句の世界』(編著、ひつじ書房2013年)など。


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