ひつじ書房 戦後日本語教育はどう実践されてきたか 川上尚恵著 ひつじ書房 戦後日本語教育はどう実践されてきたか
2026年2月刊行

シリーズ言語学と言語教育 52

戦後日本語教育はどう実践されてきたか

政策および体制の構築と関連して

川上尚恵著

A5判上製カバー装 定価6800円+税 264頁

ISBN978-4-8234-1324-7

ブックデザイン 三好誠(ジャンボスペシャル)

ひつじ書房

How Japanese Language Education Has Been Practiced and Organized in Postwar Japan: In Relation to Policy and Institutional Frameworks
KAWAKAMI Naoe

【内容】

戦中、日本語教育が軍事・政治的目的から推進されてきたことはよく知られている。では、終戦以降、日本語教育はどうあったのだろうか。本書では、戦中から1970年代頃までの社会の変化を背景に、留学生・技術研修生への日本語教育、日本語教師の育成・海外派遣などのテーマを検討し、日本語教育の実践や課題が社会的課題や政策とどのような関わりにあったか迫る。日本語教育政策が推進されている「今」を考えることにもつながる一冊。〈日本学術振興会助成刊行物〉

【目次】

はじめに
凡例

第1章 日本語教育史研究と本書の視座
1. 日本語教育史研究概観
1.1 日本語教育史研究の意義・目的と研究動向
1.2 戦後を対象とした日本語教育史研究の特徴
2. 本書の課題に関わる先行研究
2.1 戦後を対象とした研究への関心
2.2 日本語教育史研究の「戦中」と「戦後」
3. 本書の関心・目的・構成

第2章 戦中から戦後の日本語教育
1. 戦中から戦後にかけて日本語教育に関与した機関・人物・行政
1.1 戦中から戦後へ
1.2 戦後初期に影響を持った日本語教科書と教授法
1.3 日本語教育を担った文部省の変遷
2. 釘本久春を通して見た戦中から戦後の日本語教育
2.1 背景と問題の所在
2.2 先行研究と目的
2.3 戦中の釘本とその思想
2.4 戦後の国語改革と国語愛
2.5 戦後の日本語教育に関わる釘本の動きと思想
2.6 考察
3. 『日本語教育のあり方』から見る1960年代の日本語教育
3.1 『日本語教育のあり方』を通して何を見るか
3.2 『日本語教育のあり方』の概要と日本語教育懇談会での議論
3.3 日本語教育研究会での議論
3.4 日本語教育の実践者と政策との関わり

第3章 留学生を中心とした日本語教育の展開
1. 残留留学生と新たな留学生受け入れ政策
1.1 戦後日本に残った留学生に関する動き
1.2 戦後の留学生受け入れ開始の背景
2. 留学生受け入れ初期の留学生教育問題
2.1 留学生教育問題とは何か
2.2 1950~60年代において留学生教育問題はどう論じられたか
2.3 留学生に対する教育の問題
2.3.1 基礎教育及び専門教育
2.3.2 選考
2.4 受け入れ体制
2.4.1 受け入れの待遇と宿舎
2.4.2 アドバイジング
2.4.3 受け入れ体制の整備
2.5 日本語教育の問題とその対応
2.6 日本社会と国際社会に関する問題
2.6.1 日本社会の閉鎖性
2.6.2 アジアの変動と留学生への対応
2.7 留学生教育問題の解決に向けて
3. 留学生に対する日本語教育の展開
3.1 留学生受け入れに関わる日本語教育への評価
3.2 戦後留学生教育の開始と日本語教育
3.3 1960年代まで:留学生受け入れ開始によって発生した日本語教育に関する課題
3.3.1 留学生教育問題を受けた日本語教育の体制整備
3.3.2 日本語教育の基盤形成に向けて
3.4 1970~80年代:留学生を対象とした日本語教育の展開
3.4.1 日本語教育の「充実」へ向けた体制
3.4.2 留学生に必要な日本語能力
3.4.2.1 留学生向け基礎日本語の発展
3.4.2.2 専門日本語教育の芽生え
3.5 基礎日本語から専門日本語教育、アカデミックジャパニーズへ

第4章 技術研修生に対する日本語教育
1. 技術研修生に対する日本語教育の目的と実践
1.1 背景と問題提起
1.2 戦後の研修生の受け入れと日本語教育
1.3 AOTSの設立と日本語研修の位置づけ
1.4 AOTSの日本語教育の概要―カリキュラム・教科書・教授法
1.5 研修生を対象とした日本語教育の実際
1.5.1 研修生に必要な日本語教育とは
1.5.1.1 日本語研修で扱う日本語
1.5.1.2 日本語研修後のフォローアップ
1.5.2 多様な研修生に向けた取り組み
1.5.2.1 研修生の特徴
1.5.2.2 多言語への対応
1.5.2.3 視聴覚の活用
1.5.2.4 クラス編成の工夫
1.5.2.5 まとめ
1.6 日本語研修を支えたもの
2. 技術研修生に対する日本語教科書から「みんな」の日本語へ
2.1 背景と目的
2.2 分析対象教科書及び分析方法
2.3 改訂における「文型」の変化
2.4 改訂における「会話」の変化
2.5 一連の改訂を通して

第5章 日本語教師の養成と研修
1. 戦後の日本語教師養成・研修の概観
2. 日 本語教育実施機関における日本語教師の育成
2.1 日本語教師育成の課題と「有為な」人材
2.2 日本語教師養成・研修に関する研究
2.3 目的と研究手法
2.4 AOTSにおける日本語教育の体制
2.5 日本語講師の養成と研修
2.5.1 日本語講師の採用状況と講師の業務内容
2.5.2 新人講師に対する養成・研修
2.5.3 日本語講師の研修
2.6 考察
2.6.1 AOTSにおける養成・研修と教師の育成・成長
2.6.1.1 知識
2.6.1.2 省察
2.6.1.3 協働
2.6.2 AOTSの養成・研修と組織体制
2.7 AOTSでの日本語講師の養成・研修からの課題

第6章 日本国内の日本語教育から海外の日本語教育への波及と還流
1. 日本語教師の海外派遣の枠組み
1.1 技術協力における日本語教師の派遣
1.2 海外の大学への日本研究講座の寄贈
2. 海外での日本語教育の担い手
2.1 派遣された日本語教師の背景
2.2 日本語を専門としない派遣者の視点から見る国内の日本語教育
2.3 専門家としての日本語教師養成の要望
3. 海外での日本語教育の実践と課題
3.1 使用教科書
3.2 直接法
4. おわりに―海外での日本語教育から国内の日本語教育へ

終章 日本語教育の実践と政策
1. 中央教育審議会答申「教育・学術・文化における国際交流について」の形成過程
1.1 1974年答申における課題と議論の体制
1.2 1974年答申の特徴
1.3 第29特別委員会の構成員と主な議題
2. 1974年答申の内容
2.1 日本語教育の内容・方法
2.2 留学生に対する日本語教育
2.3 日本語教師養成・研修
2.4 日本語教育センター
3. 1974年以降の日本語教育の施策
4. 戦後の日本語教育の実践と政策
4.1 政策に日本語教育実践がどう関わったか
4.2 日本語教育実践の変遷に政策がどう関わったか

おわりに
参考文献
発表及び論文初出一覧
索引




【著者紹介】

川上尚恵
略歴
2007年名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士後期課程修了、博士(文学)取得。信州大学経済学部にて助教、講師として留学生教育に従事した後、2012年に神戸大学留学生センターに着任。現在、神戸大学グローバル教育センター准教授。

主な論文
「北京近代科学図書館編纂日本語教科書分析からみた占領初期の中国華北地方における日本語教育の一側面-『初級日文模範教科書』から『日本語入門篇』へ-」(『日本語教育』146号、日本語教育学会、2010年)、「日中戦争期における中国の少年達の日本留学」(『新世紀人文学論究』第2号、新世紀人文学研究会、2018年)、「教授環境の違いをふまえた非母語話者日本語教師の利点―国内の日本語教師養成プログラムへの提案に向けて―」(『神戸大学留学生教育研究』第8号、神戸大学大学教育推進機構グローバル教育センター留学生教育部門、2024年、共著)など。


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