ひつじ書房 社会文化理論から見る日本語教室談話の研究 加藤伸彦著 ひつじ書房 社会文化理論から見る日本語教室談話の研究
2026年5月刊行

シリーズ言語学と言語教育 51

社会文化理論から見る日本語教室談話の研究

「自発的発話」とプライベートスピーチ

加藤伸彦著

A5判上製カバー装 定価7600円+税 248頁

ISBN978-4-8234-1320-9

ブックデザイン 三好誠(ジャンボスペシャル)

ひつじ書房

Japanese Language Classroom Discourse from a Sociocultural Perspective: Spontaneous Speech and Private Speech
KATO Nobuhiko

【内容】

本書はヴィゴツキーから始まる社会文化理論に依拠し、日本語教室における主体性に基づく自発的発話とプライベートスピーチを分析した研究である。本書では日本語学習が個人の認知過程に還元されるものではなく、相互行為を通じて社会的に構成される過程であることを、上記の分析に基づき実証的に明らかにした。これは第二言語習得研究と日本語教室研究に新たな視座を提示し、教育実践と学術的議論の架橋を試みる学術的成果である。

【目次】

序章 本書の目的と構成

第1章 社会文化理論と第二言語研究、第二言語教育
1. 社会文化理論の誕生
2. 近年の第二言語習得研究の動向
3. 第二言語習得研究、および第二言語教育から見た社会文化理論の概要
4. 第二言語習得研究、および第二言語教育から見た社会文化理論の各概念
4.1 媒介
4.2 内在化
4.3 制御
4.4 発達の最近接領域
4.5 心理的道具としての母語
4.6 内言
4.7 ペレジヴァーニエ
5. 第二言語習得研究と第二言語教育の統合としてのpraxis
5.1 概念準拠の言語指導(concept-based language instruction)
5.2 ダイナミックアセスメント(dynamic assessment)
5.3 言語教師教育
6. 本章のまとめ

第2章 教室研究の概略
1. 教室、教室談話、教室研究の定義
1.1 本書における日本語教室の定義
1.2 教室談話の定義と特徴
1.3 教室研究の定義
2. 第二言語教育における教室研究の概略
3. 教室研究法の種類
3.1 教育学における教室研究法の種類
3.2 第二言語教室研究における理論・手法
4. 日本語教育における教室研究の概略
5. 日本語教育における教室研究の課題
6. 本章のまとめ

第3章 研究の理論的枠組み
1. 教室研究における社会文化理論の発展
2. 社会文化理論に基づく第二言語教室研究
3. 社会文化理論における「自発的発話」とプライベートスピーチ
3.1 主体性に基づく自発的発話
3.1.1 本書における主体性の定義
3.1.2 自発的発話の先行研究
3.1.3 主体性に基づく自発的発話
3.2 プライベートスピーチ
3.2.1 先行研究と本書における定義
3.2.2 プライベートスピーチの先行研究
3.2.3 教室談話におけるプライベートスピーチの種類
4. 本章のまとめ

第4章 研究方法と研究課題、調査の概要
1. 本書における研究方法と研究課題
2. 協力者、協力機関、調査期間
3. コースと授業概要
4. 談話データの収集方法、文字化の方法
4.1 談話データの収集方法
4.2 文字化の方法
5. 定性的な研究
6. 技能実習制度
7. 本章のまとめ

第5章 日本語による主体性に基づく自発的発話
1. 本章の目的と分析対象の発話
2. 日本語による「自発的発話」の分析
2.1 受動的な言動
2.2 従順的な発話
2.3 参加的な「自発的発話」の分析
2.4 詮索的な「自発的発話」の分析
2.5 自律的な「自発的発話」の分析
2.6 専心的な「自発的発話」の分析
3. 考察
4. 本章のまとめ

第6章 母語による主体性に基づく自発的発話
1. 本章の目的と分析対象の発話
2. 母語による「自発的発話」の分析
2.1 母語による参加的な「自発的発話」
2.2 母語による詮索的な「自発的発話」
2.2.1 言語についての質問
2.2.2 活動についての質問
2.3 母語による自律的な「自発的発話」
2.3.1 言語的な支援を行う自律的な「自発的発話」
2.3.2 精神的な支援を行う自律的な「自発的発話」
2.4 母語による専心的な「自発的発話」
2.4.1 冗談
2.4.2 コメント
2.4.3 学習に関するメタ的発話
3. 考察
4. 本章のまとめ

第7章 日本語によるプライベートスピーチ
1. 本章の目的とプライベートスピーチの認定条件
2. 本調査で見られた日本語によるプライベートスピーチの検討
2.1 先行研究のプライベートスピーチと同様または近いプライベートスピーチ
2.1.1 読み上げ
2.1.2 コメント
2.1.3 モニタリング
2.1.4 選択的注意
2.1.5 リハーサル
2.1.6 操作
2.2 先行研究で提案された代理応答と復唱の再考
2.2.1 代理応答
2.2.2 復唱
2.3 先行研究で論じられていないプライベートスピーチ
2.3.1 想起のための手掛かり
2.3.2 代理アップテイク
3. 考察
4. 本章のまとめ

第8章 母語によるプライベートスピーチ
1. 本章の目的と学習者の母語によるプライベートスピーチの認定
2. 本調査で見られた母語によるプライベートスピーチの検討
2.1 意味形成プロセスの促進のための母語によるプライベートスピーチ
2.1.1 他者発話の直訳
2.1.2 母語による読み上げ
2.1.3 理解の確認のための翻訳
2.1.4 理解のための翻訳
2.1.5 翻訳を含む理解の表出
2.1.6 目標言語の代替
2.2 自己制御メカニズムの提供のための母語によるプライベートスピーチ
2.2.1 問題解決のための思考の表出
2.2.2 自身の誤りに対する認識の表出
2.2.3 自身の理解を促すための思考の表出
2.2.4 自身の発話を導くための思考の表出
2.2.5 事物や事象に関する思考の表出
2.2.6 事物や事象に関する感情の表出
3. 考察
4. 本章のまとめ

第9章 本研究の総括、総合的な考察、今後の課題
1. 本研究の総括
2. 社会文化理論の各概念から見た総合的な考察
2.1 媒介
2.2 内在化
2.3 制御
2.4 発達の最近接領域
3. 制度的・社会文化的要因が教室談話に与える影響
4. 日本語教育への示唆
4.1 日本語による「自発的発話」から見る日本語教育への示唆
4.2 母語による「自発的発話」から見る日本語教育への示唆
4.3 日本語によるプライベートスピーチから見る日本語教育への示唆
4.4 母語によるプライベートスピーチから見る日本語教育への示唆
4.5 総合的な示唆
5. 今後の課題
6. 本章のまとめ

参考文献
謝辞
索引




【著者紹介】

加藤伸彦(かとう・のぶひこ)
[略歴]
2023年東海大学文学研究科日本文学専攻日本語教育学コース博士課程後期修了。博士(文学)。現在、京都外国語大学・大阪学院大学非常勤講師。過去にはラチャモンコン・ラタナコーシン工科大学、東京ベイサイド日本語学校、立命館大学、京進ランゲージアカデミー日本語教師養成講座などで日本語教育・日本語教師教育に従事。
[主な著書・論文]
「日本語中級レベルの学習者の読解授業時の思考を探る」『言語文化教育研究』23(2025)、「初級日本語学習者の母語によるプライベートスピーチ」『言語文化教育研究』21(2023)、「教室内における学習者の主体性」『言語文化教育研究』19(2021)、「ピア・ラーニングにおける「ファシリテーターとしての教師」」『国際交流基金バンコク日本文化センター日本語教育紀要』7(2010)など。


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