ひつじ書房 コーパスと語用論研究 山内昇・大名力著 ひつじ書房 コーパスと語用論研究 山内昇・大名力著
2025年10月刊行予定

コーパスと語用論研究

山内昇・大名力著

定価3,600円+税 A5判並製カバー装 292頁

ISBN978-4-8234-1313-1

装丁 中垣信夫+中垣呉(中垣デザイン事務所)

Corpora and Pragmatic Studies
Yamauchi Noboru and Ohna Tsutomu

ひつじ書房



【内容】
語用論研究におけるコーパス利用の現状を概観し、利用が先行してきた語法文法研究、特にコロケーション研究を中心に、心の中の言語知識を研究するための資料としてのコーパスデータの位置付け、検索方法・分類・数値化・解釈等の問題について検討した後、語用論研究においてコーパスを適切に活用するのに必要となる関連概念やThe Movie Corpus検索時の注意点を取り上げる。最終章ではコーパス研究における失敗学の試案を提起する。

【目次】
はじめに

第1章 コーパスと語用論  山内昇・大名力
1 語用論研究におけるコーパス利用
2 語用論研究におけるコーパス利用に関する国内外の動向
3 問題提起
3.1 コーパス言語学における誤謬
3.2 コーパス検索における落とし穴
3.3 コーパス構築における落とし穴
3.4 第3節のまとめ
4 本書の構成

第2章 研究対象,方法とコーパスデータ  大名力
1 言語能力と言語運用
2 データの処理・分析の流れ
3 コーパスの種類,構造
4 データの選択と提示方法:仮説を支持するように見えるデータだけを取り上げることの問題
5 チェックリスト
A.対象コーパスの選定:目的に合ったコーパスを使用しているか
B.検索対象の選定
C.検索方法
D.選別方法:検索例から適切に該当例を選別できているか
E.分類方法:適切に分類できているか
F.統計処理
G.言語学的意義
H.コーパスの規模に対する手法の妥当性
I.チェリーピッキングしていないか
6 本章のまとめ

第3章 数値化,信頼性,妥当性と解釈の問題  大名力
1 テストの信頼性と妥当性
2 表現のバリエーションの分類と選択
3 検索式,処理方法
4 付帯情報,タグ,コーディング
5 対象,分類,理論:何の頻度か
6 頻度,共起の要因,比較の対象
7 代表性
8 指標の妥当性
8.1 共起性の指標についての検討項目
8.2 計算式:複数のスコアの算出方法の存在
8.3 基準値とその意味
8.4 スコア採択の条件:最低頻度数
8.5 “コロケーション”の多義性と概念的定義・操作的定義・証拠
8.6 スコアが計るもの
8.7 スコアの利用法
9 本章のまとめ

第4章 コーパス研究の事例の検証  大名力
1 方法論,手法の再検討,情報共有の必要性
2 基礎データの問題
3 代表性の問題:数値のみを見ること,“仮説に合う”データだけを取り上げることの問題
3.1 データを直接検討することの重要性
3.2 石川(2008a):米語におけるtheatreの綴りの使用
3.3 村尾(2013):「ofを含んだ連語表現の使用分析」
4 統計学的有意性,基準値とその根拠,スコア採択の条件
5 本章のまとめ

第5章 語用論研究資料としてのThe Movie Corpusの可能性と注意点(1)
コーパスデータの性質  山内昇

1 English-Corpora.orgについて
2 The Movie Corpusの概要
2.1 一次資料との照合可能性
2.1.1 Corpus of American Soap Operas(SOAP)
2.1.2 The Corpus of Contemporary American English のSPOKENジャンル
2.1.3 The TV Corpus
2.2 収録語数と収録作品数
2.2.1 収録語数
2.2.2 収録作品数
2.3 品詞タグの問題点
2.4 第2節のまとめ
3 コーパスデータの性質
3.1 テレシネマティック・ディスコース
3.2 台本,字幕データの特性
3.2.1 作例
3.2.2 辞書
3.2.3 小説
3.2.4 オーディオドラマ
3.2.5 漫画
3.3 言語知識とコーパスデータの関係
3.4 第3節のまとめ
4 本章のまとめ

第6章 語用論研究資料としてのThe Movie Corpusの可能性と注意点(2)
検索インターフェイスの仕様と検索事例  山内昇

1 検索インターフェイスの仕様と注意点
1.1 SEARCH画面
1.2 FREQUENCY画面
1.3 CONTEXT画面
1.4 CONTEXT+画面
1.5 第1節のまとめ
2 検索事例A:speaking of which
2.1 2種類の検索結果
2.2 余分に検索された事例の除外
2.2.1 重複例
2.2.2 言い直し
2.2.3 実際の発話との不一致
2.2.4 出典情報の間違い
2.2.5 他言語の英語字幕
2.3 検索対象外の事例の追加
2.3.1 実際の発話との不一致
2.3.2 異なる形式
2.3.3 誤字・脱字
2.4 第2節のまとめ
3 検索事例B:speak of the devil
3.1 2種類の検索結果
3.2 余分に検索された事例の除外
3.2.1 重複例
3.2.2 実際の発話との不一致
3.2.3 出典情報の間違い
3.2.4 他言語の英語字幕
3.2.5 言及
3.2.6 サウンドトラック
3.2.7 誤用
3.2.8 言い直し
3.2.9 意図的な使用
3.3 検索対象外の事例の追加
3.3.1 実際の発話との不一致
3.3.2 誤字・脱字
3.3.3 形式上の変種
3.4 第3節のまとめ
4 本章のまとめ

第7章 コーパス研究失敗知識データベースの構築と公開に向けて  山内昇
1 コーパス研究の失敗学
2 失敗の分類
2.1 失敗原因の分類
2.1.1 個人に起因する問題
2.1.2 個人・組織のいずれの責任にもできない原因
2.1.3 組織に起因する原因
2.1.4 誰の責任でもない原因
2.2 失敗行動の分類
2.2.1 物への行動
2.2.2 人の行動(操作)
2.2.3 人の行動(動作)
2.2.4 人の行動(行為)
2.3 失敗結果の分類
2.3.1 物に対する結果
2.3.2 外部への影響を伴う結果
2.3.3 人への結果
2.3.4 社会・組織への結果
2.3.5 これから必ず起こる結果
2.3.6 起こり得るかもしれない結果
2.4 第2節のまとめ
3 失敗知識の伝達
4 失敗経験の記述方法
5 本章のまとめ

参考文献
著者紹介



【著者紹介】
山内昇(やまうち のぼる)
大同大学教養部外国語教室准教授。2016年,名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程(後期課程)国際コミュニケーション専攻満期退学。専門は英語学・英語語法文法研究・語用論。主な論文に「記事談話冒頭における多重左方転位構文の修辞的効果について」『語用論研究』19(2017年),「Speaking of which の構文化分析再考」『英語語法文法研究』27(2020年),「言語研究資料としての The Movie Corpus の可能性と留意点」『名古屋大学人文学フォーラム』5(2022年)などがある。

大名力(おおな つとむ)
名古屋大学大学院人文学研究科教授。1989年,東京学芸大学修士課程修了(教育学修士)。群馬大学教養部,社会情報学部講師,名古屋大学大学院国際開発研究科助教授,教授を経て,現職。専門は言語学・英語学。著書に『言語研究のための正規表現によるコーパス検索』(ひつじ書房,2012年),『英語の文字・綴り・発音のしくみ』(研究社,2014年),『英語の綴りのルール』(研究社,2021年),『英語の記号・書式・数量表現のしくみ』(研究社,2023年),『英語の発音と綴り』(中央公論新社,2023年),『サーチエンジン・テキストエディタ・表計算ソフトで学ぶ 言語研究のためのテキストデータ処理入門』(ひつじ書房,2025年)などがある。




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