【内容】
語用論研究におけるコーパス利用の現状を概観し、利用が先行してきた語法文法研究、特にコロケーション研究を中心に、心の中の言語知識を研究するための資料としてのコーパスデータの位置付け、検索方法・分類・数値化・解釈等の問題について検討した後、語用論研究においてコーパスを適切に活用するのに必要となる関連概念やThe Movie Corpus検索時の注意点を取り上げる。最終章ではコーパス研究における失敗学の試案を提起する。
第5章 語用論研究資料としてのThe Movie Corpusの可能性と注意点(1)
コーパスデータの性質 山内昇
1 English-Corpora.orgについて
2 The Movie Corpusの概要
2.1 一次資料との照合可能性
2.1.1 Corpus of American Soap Operas(SOAP)
2.1.2 The Corpus of Contemporary American English のSPOKENジャンル
2.1.3 The TV Corpus
2.2 収録語数と収録作品数
2.2.1 収録語数
2.2.2 収録作品数
2.3 品詞タグの問題点
2.4 第2節のまとめ
3 コーパスデータの性質
3.1 テレシネマティック・ディスコース
3.2 台本,字幕データの特性
3.2.1 作例
3.2.2 辞書
3.2.3 小説
3.2.4 オーディオドラマ
3.2.5 漫画
3.3 言語知識とコーパスデータの関係
3.4 第3節のまとめ
4 本章のまとめ
【著者紹介】 山内昇(やまうち のぼる)
大同大学教養部外国語教室准教授。2016年,名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程(後期課程)国際コミュニケーション専攻満期退学。専門は英語学・英語語法文法研究・語用論。主な論文に「記事談話冒頭における多重左方転位構文の修辞的効果について」『語用論研究』19(2017年),「Speaking of which の構文化分析再考」『英語語法文法研究』27(2020年),「言語研究資料としての The Movie Corpus の可能性と留意点」『名古屋大学人文学フォーラム』5(2022年)などがある。