夏目漱石 偶然性の文学 国学とプラグマティズムから 佐藤深雪著
2026年5月刊行予定

夏目漱石 偶然性の文学

国学とプラグマティズムから

佐藤深雪著

A5判上製カバー装 定価7500円+税 364頁

ISBN978-4-8234-1312-4

装丁 坂野公一(welle design)

ひつじ書房

On Natsume Soseki, Literature of contingency: From the perspective of Kokugaku and pragmatism
Sato Miyuki

【内容】

自由と独立と己に満ちた漱石文学の主人公は、偶然性にしてやられ、なぜか他動的である。本書は漱石文学を偶然性から再考し、そのために国学とプラグマティズムの視座を導入した。漱石は、藤岡作太郎との交友を通して上田秋成の文業を継承し、同時にジェイムズ兄弟とチャールズ・サンダース・パースの同時代人でもあった。固有性と普遍性、偶然性と必然性、自己本位と則天去私、これらの矛盾を統合したことに漱石の独自性がある。

【目次】

はじめに
凡例
序説 偶然性の夏目漱石

I 国学と夏目漱石

第1章 非西欧型主人公の造形 「坊っちやん」について 
1 はじめに 
2 坊っちゃんは成長しない 
3 坊っちゃんは内面をもたない 
4 坊っちゃんの没主体性 
5 表情をどのように描くか―漱石の性格論(1) 
6 性格をどのように描くか―漱石の性格論(2) 
7 無鉄砲の用例 
8 無鉄砲と緩漫 
9 おわりに

第2章 漱石と藤岡作太郎校訂『春雨物語』 「坊っちやん」から『明暗』まで 
1 はじめに 
2 「坊っちやん」と「樊噲」 
3 『明暗』と「海賊」 
4 おわりに

第3章 漱石と上田秋成 『吾輩は猫である』 
1 はじめに 
2 『明暗』と『藤簍冊子』 
3 『彼岸過迄』と『藤簍冊子』 
4 『吾輩は猫である』と『藤簍冊子』 
5 おわりに 

II プラグマティズムと夏目漱石 

第4章 漱石とプラグマティズム 『文学論』の集合的Fの意味 
1 はじめに 
2 20世紀初頭の『哲学雑誌』 
3 集合的Fとは何か 
4 パースの社会論 
5 パースの文明論 
6 おわりに 

第5章 暗示の法則 C.S.Peirceからの影響 
1 はじめに 
2 精神の法則 
3 偶然と習慣 
4 予期と暗示 
5 暗示とは何か 
6 パースと漱石 
7 おわりに 

第6章 偶然の構造 
1 はじめに 
2 探偵する敬太郎―『彼岸過迄』 
3 広田先生の探究―『三四郎』 
4 ジェイムズとパースの推理論 
5 めぐり逢いの偶然―『こゝろ』その1 
6 精神の法則―『こゝろ』その2 
7 おわりに 

第7章 偶然の記号論的分析 
1 はじめに 
2 門と玄関 
3 「新しさの哲学」 
4 おわりに

III 開かれた作品の試み

第8章 時制のレッスン 漱石の「手紙」 
1 はじめに 
2 間隔論 
3 時制論 
4 「手紙」 
5 おわりに 
付論 絵画小説「一夜」

第9章 短篇連作小説という方法 『彼岸過迄』と『新新アラビアンナイト―ダイナマイター』 
1 はじめに 
2 『彼岸過迄』と『ダイナマイター』 
3 新聞小説という条件 
4 インフルエンザと戦争の世紀 
5 おわりに 
付論 ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』 

IV 自己本位と則天去私 

第10章 則天去私とは何か 
1 はじめに 
2 反動の原理 
3 『明暗』 
4 『高慢と偏見』付自由間接話法 
5 『ウェイクフィールドの牧師』 
6 おわりに

第11章 ヘンリー・ジェイムズの『鳩の翼』と『明暗』 

第12章 偶然・愛・技巧 漱石の語彙の計量的研究 
1 はじめに 
2 技巧と細工 
3 『吾輩は猫である』と「坊っちやん」 
4 『それから』と『門』 
5 三作家の計量的研究 
6 オースティンにおけるdesignとart 
7 ジェイムズのart 
8 おわりに 

結語 非西欧小説を作る 

参考文献 
初出一覧 
あとがき 
索引 




【著者紹介】

佐藤深雪(さとう みゆき)
一九五三年、東京に生まれる。東京都立三田高等学校と東京都立大学人文学部に学ぶ。一九七九年東京都立大学人文科学研究科国文学専攻博士課程中退。大学時代を一九七〇年代の東京で過ごしたのち、西下をはじめ、静岡女子大学国文学科助手、富士フェニックス短期大学国文学科助教授を経て、一九九四年より、新設の広島市立大学国際学部に勤務した。二〇一八年退職。同大学名誉教授。
〈主な著作〉『秋成と綾足と―十八世紀国学への批判』(名古屋大学出版会、一九九三)、「則天去私とは何か―『高慢と偏見』、『ウェイクフィールドの牧師』、『明暗』」(『広島国際研究』21巻 二〇一五)、「『春雨物語』の枠構造」(『日本文学』63巻10号、二〇一四)


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