ひつじ書房 中島梓と「やおい」の時代 金子亜由美著 ひつじ書房 中島梓と「やおい」の時代
2025年10月刊行

未発選書 33

中島梓と「やおい」の時代

「1968年」の「革命」を視座として

金子亜由美著

定価3400円+税 四六判上製カバー装 368頁

ISBN978-4-8234-1310-0

装丁 渡部文

イラスト 藤岡詩織

ひつじ書房

Nakajima Azusa and the Era of Yaoi: From the Perspective of the Revolution of 1968
Kaneko Ayumi

【内容】

「六八年革命」としての学生運動は、「やおい/ボーイズ・ラブ(BL)」の成立にいかなる影響を与えたのか。本書では、少女マンガの「革命」を謳った竹宮惠子の「美少年マンガ」や、「川口君事件」の衝撃から生み出された中島梓の「少年愛」小説などを分析することを通じて、その背後にある「六八年」の記憶を炙り出す。「やおい/BL」が、「六八年」を別の形で継続する「革命」であったことを明らかにする画期的研究書。
(同人誌『G-W-G(minus)』に掲載した照山もみじ名義の中島梓論、「やおい/ボーイズ・ラブ(BL)」に関する論考を大幅に加筆・修正。)


まえがきを公開中(PDF)

【目次】

まえがき

序章 「私たちはこれでいいのだろうか」―「麻薬」から「毒」を作るために
一 「逃避(BL)」は「抵抗(政治)」たり得るか
二 「ヤオイ」の現象化
三 「商品(BL)」の「お約束」
四 中島による「BL」批判

第一章 (反)「革命」としての「美少年マンガ」
一 「1968年という年」
二 反物語(ロマンス)としての「美少年マンガ」とその限界
三 反「革命」としての「BL」

第二章 疎外者(アウトサイダー)の自己幻想―中島梓の「少年」
一 書き落とされた「歴史」
二 「川口君事件」へのこだわり
三 「少年(マイナー)」の「逆転劇」

第三章 「川口大三郎」から「少年」へ
一 「生政治(バイオ・ポリティクス)」としての「川口君事件」
二 「川口大三郎」という「詩(ポエジー)」
三 「永遠の受動態(ネガティブ)」としての「少年」
四 「欲望」の原因としての「少年」

第四章 「闘争」する「少年」
一 「少年」をいかに書くか
二 「絵筆」と「ナイフ」
三 「ディオニュソス」としての「少年」
四 「アポロン」の背信
五 「美」を解体する「闘争」

第五章 商品の「逆転劇」―中島梓=栗本薫「真夜中の天使」論
一 「革命」から「革命ゲーム」へ
二 「民主主義など、くたばってしまうがいいのだ」
三 今西良は商品(モノ)である
四 「解放区」の破壊者(サークル・クラッシャー)としての商品
五 商品の「逆転劇」

第六章 史上「完璧」な「JUNE」―野村史子「テイク・ラブ」論
一 野村史子/中野冬美による「やおい表現」批判
二 「革命」の物語(ナラティブ)を「解体」する
三 「妹」の「欲望」
四 他者と協同する「愛」の物語(ナラティブ)の(不)可能性

第七章 「飼育係」の法―西条公威「ABSOLUTE BODY CONTROL」論
一 「普通の少年たち」の台頭
二 西条公威の暴力的(アナーキー)な「BL」
三 「飼育係」の謎
四 「普通の少年たち」の猥褻な法
五 法の下での「成長」

第八章 「強姦(セックス)」しない方を望むこと―本仁戻「飼育係・理伙」シリーズ論
一 監視/管理(コントロール)の手段としての暴力(リンチ)と強姦(セックス)
二 「究極のQ(女)」としての「飼育係」
三 「セックスしな」いという選択

あとがき
初出一覧
索引




【著者紹介】

金子亜由美(かねこ あゆみ)
〈略歴〉1983年茨城県生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専攻、日本近代文学。
〈主な著書〉『明治期泉鏡花作品研究─「父」と「女」の問題を中心に』(和泉書院、2017)、「第一章 国民と実学─「啓蒙」と「戯作」の交点」(金森修編『明治・大正期の科学思想史』、勁草書房、2017)


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