ひつじ書房 現代日本語の数量を表す形容詞の研究 包雅梅著 ひつじ書房 現代日本語の数量を表す形容詞の研究 包雅梅著
2025年5月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第214巻

現代日本語の数量を表す形容詞の研究

包雅梅著

定価6400円+税 A5判上製 180頁

ISBN978-4-8234-1298-1

白井敬尚形成事務所(ブックデザイン)

ひつじ書房

The Syntax and Semantics of Japanese Adjectives of Quantity
BAO Yamei

【内容】

「多い/少ない」は他の形容詞と異なる統語的振る舞いを示し、装定と述定用法に使用制限が見られる。本書では、「多い/少ない」の使用制限とその関連現象を、形容詞の段階性とその意味及び文中での機能との相関に注目し、統一的な説明を試みる。中国語や英語を扱った先行研究も援用しつつ、英語の形容詞との相違も議論しながら、数量を表すとはどのようなことかという問いを追究し、日本語の形容詞研究に新たな視点を提供する。

【目次】


まえがき

第1章 なぜ数量を表す形容詞を研究するのか
1. はじめに
2. 本書の研究背景と位置付け
3. 本書で取り扱う諸概念
4. 本書の構成

第2章 先行研究の検討と本研究の位置付け
1. 「多い/少ない」が装定しにくい理由
1.1 内在的形容説とその問題点
1.2 存在意味説とその問題点
1.3 「多くの/少しの」との相補分布説
2. 「多い/少ない」が述定用法における使用制限
3. 「多い/少ない」の使用条件
4. 先行研究の問題点のまとめと本研究の主旨

第3章 「多い/少ない」とその類義語類
1. 日中形容詞の装定用法の機能
2. 中国語の性質形容詞と状態形容詞
2.1 「非有界」である性質形容詞と「有界」である状態形容詞
2.2 形容詞の有界性と段階性
3. 「多い/少ない」とその類義語類の違い
3.1 「多い/少ない」とその類語類の述定用法
3.2 「多い/少ない」とその類義語類の装定用法
4. 本章のまとめ

第4章 「多い/少ない」と他の段階形容詞
1. 「多い/少ない」を段階形容詞として分析する基盤
2. 段階形容詞の意味
2.1 日本語の段階形容詞と「次元が成り立つ領域」という概念
2.2 「高い」と「多い/少ない」
3. 「多い/少ない」の段階形容詞としての意味
4. 「多い/少ない」が段階形容詞であることとその使用制限
4.1 「多い/少ない」の次元と次元が成り立つ領域
4.2 「数/量」が「次元が成り立つ領域」になる条件
5. 本章のまとめ

第5章 「多い/少ない」の使用条件
1. はじめに
2. 段階形容詞の修飾のあり方
2.1 「高い」との比較から
2.2 数量詞との比較から
3. 「多い/少ない」と「多くの/少しの」
4. 「多い/少ない」が装定できたりできなかったりする原因
4.1 名詞の解釈と文脈の関係
5. 「多い」と「少ない」の非対称性
5.1 「多い」と「少ない」の非対称に関する先行研究
5.2 「少ない」の否定の性質
5.3 「少ない」による装定の実例の考察
6. 本章のまとめ

第6章 結論
1. 各章のまとめ
2. 本書の意義
3. 今後の課題と展望
3.1 「多い/少ない」の次元と次元が成り立つ領域
3.2 数量と存在


参考文献
あとがき
索引

【著者紹介】


包雅梅著(ほう がばい) 華東理工大学講師。海南師範大学外国語学部卒業。大阪大学大学院言語文化研究科(修士課程)・大阪大学大学院言語文化研究科(博士課程)修了。博士(日本語・日本文化)。専門は日本語学、日中対照言語学、コーパス言語学。
主な論文に「「多い/少ない」とその類義語の「おびただしい/わずかだ」の違い―形容詞の段階性と有界性から」(『日本語・日本文化研究』31、2021)、「「多い/少ない」の段階形容詞としての特徴について―段階的形容詞「高い」との比較から」(『間谷論集』16、2022)、「段階形容詞の修飾のあり方―段階形容詞とその次元が成り立つ領域との関係に基づく分析」(『日本語・日本文化研究』32、2022)など。


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