ひつじ書房 言語進化学の未来を共創する 岡ノ谷一夫・藤田耕司編 言語進化学の未来を共創する 岡ノ谷一夫・藤田耕司編
2022年10月刊行

言語進化学の未来を共創する

岡ノ谷一夫・藤田耕司編

定価4200円+税 A5判上製カバー装 326頁

装丁 坂野公一(welle design)

ISBN978-4-8234-1161-8

ひつじ書房

Co-creating the Future of Evolutionary Linguistics
Edited by Kazuo Okanoya and Koji Fujita


【内容】
階層性と意図共有を言語進化の2つの柱として、言語学および脳科学・生物学など各関連分野から未来の言語進化学への提言を行う。本書は、文科省新学術領域研究『共創言語進化』を進める中で組織された「若手の会」メンバーにより企画され、若手による意欲的な論考12編と、領域計画班代表5名によるコメント論文、そして自由闊達な座談会からなる。2022年9月に金沢で開催の国際学会『言語進化合同会議』(JCoLE)開催記念出版。

【目次】
まえがき
「若手の会」について

第1章 言語進化の2つの柱  岡ノ谷 一夫
1. 学術的背景
2. 統合の方向性
3. 作業定義


第Ⅰ部 階層性

第2章 生成文法にとっての言語進化  松本 大貴
1. 生成文法の展開
2. 極小主義と言語進化
3. 言語の進化=併合の進化か
4. 結びにかえて

第3章 言語から考える人間の本性と在り方  赤池 敬
1. はじめに
2. 二重過程理論
3. 言語と理性の働き
4. 人間と人工物の融合
5. おわりに

第4章 自然数は階層構造に依存するか  中井 智也
1. カウンティング階層構造依存仮説
2. ヒトにおける複数の数量把握能力
3. カウンティング能力と言語能力の対比
4. まとめと展望

第5章 階層構造の外在化における言語外的特徴  岡久 太郎
-統語的曖昧性を解消するジェスチャー  
1. 言語の階層性と線条性から生じる曖昧性
2. 発話の統語構造とジェスチャーに関する先行研究
3. 統語的曖昧性を持つ発話に共起するジェスチャーの内容に関する実験的調査
4. 調査結果の分析と考察
5. 原始的ジェスチャーとマルチモーダル性を持ったジェスチャー

第6章 言語神経科学のこれまでとこれから  松本 大貴・中井 智也
1. 言語進化研究にとってなぜ神経基盤の解明が重要なのか
2. 乱立する言語脳地図と考えられるその要因
3. これからの言語神経科学へ向けて

第7部 第Ⅰ部コメント ヒトらしい心の探究における階層性  橋本 敬
1. 生成文法にとっての言語進化(松本大貴)
2. 言語から考える人間の本性と在り方(赤池敬)
3. 自然数は階層構造に依存するか(中井智也)
4. 階層構造の外在化における言語外的特徴─統語的曖昧性を解消するジェスチャー(岡久太郎)
5. 言語神経科学のこれまでとこれから(松本大貴・中井智也)
6. おわりに


第Ⅱ部 意図共有

第8章 動物の情動発声と意図共有の萌芽   齋藤 優実
1. 意図共有:ミラーシステムによる神経メカニズムの理解と共感との関連
2. ラットの超音波発声
3. ラットUSVと共感の研究
4. 総括

第9章 終助詞の発話意図明示機能  田中 悠介
-「よ」と「ね」を手がかりとして
1. はじめに
2. 終助詞の機能
3. 言語進化と終助詞 
4. おわりに

第10章 ヒトおよび動物の同期・同調から見る意図共有  藤原 正幸・近藤 聡太郎・阪口 幸駿
1. 同期・同調から見る意図共有への接点
2. ヒトおよび動物の同期・同調から意図共有への道筋
3. 動物における同期・同調行動
4. ヒトにおける同期・同調
5. 音楽的同期と社会的協調
6. まとめ

第11章 第Ⅱ部コメント ヒトによる意図共有とは何か?  小林 春美
1. 動物の情動発声と意図共有の萌芽(齋藤優実)
2. 終助詞の発話意図明示機能─「よ」と「ね」を手がかりとして(田中悠介)
3. ヒトおよび動物の同期・同調から見る意図共有(藤原正幸・近藤聡太郎・阪口幸駿)
4. 意図共有とは何か?
5. おわりに


第Ⅲ部 階層性と意図共有の接点

第12章 外在から内在へ  米納 弘渡
-階層性と意図共有の発生順序に関する考察 
1. 階層性と意図共有の定義
2. 進化論的な観点からの外在/内在の区別
3. 階層性と意図共有の発生順序に関する考察
4. まとめ

第13章 発声の階層構造を考える  堀川 遼太
1. ヒトの言語音の階層構造
2. 鳥類の歌の階層構造
3. ヒトと鳥類の階層構造の比較
4. 結語

第14章 階層性と意図共有が出会うところ  阪口 幸駿
-ヒトのヒトらしさの根源
1. 階層性、意図共有、それから統合戦略
2. 階層性と意図共有の統合を叶える認知モデル
3. 汎用併合を実現する認知基盤
4. 今後の言語進化研究に向けて

第15章 仲良くなければ生き残れない村と家畜たち  徳増 雄大・外谷 弦太
1. 脆弱なヒトビトの強靭な環境構築
2. あなたの家畜化はどこから?
3. まとめ:楽しい言語進化学

第16章 第Ⅲ部コメント 階層性と意図共有の進化史   井原 泰雄
1. 外在から内在へ─階層性と意図共有の発生順序に関する考察(米納弘渡)
2. 発声の階層構造を考える(堀川遼太)
3. 階層性と意図共有が出会うところ-ヒトのヒトらしさの根源(阪口幸駿)
4. 仲良くなければ生き残れない村と家畜たち(徳増雄大・外谷弦太)
5. おわりに

第17章 階層性と意図共有を繋ぐ  藤田 耕司
1. 思考とコミュニケーション
2. 階層構造の進化と認知発達
3. 多重注意による統合の試み
4. (自己)家畜化の関与はあるか:結びに代えて

巻末付録 『言語進化学の未来を共創する』座談会

索引
   


【編者】
岡ノ谷一夫(おかのや かずお)帝京大学先端総合研究機構教授。
主な著書に『脳に心が読めるか?—心の進化を知るための90 冊』(青土社、2017)など。

藤田耕司(ふじた こうじ)京都大学大学院人間・環境学研究科教授。
主な編著に『進化言語学の構築—新しい人間科学を目指して』(共編、ひつじ書房、2012)など。



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