ひつじ書房 改訂版 社会言語学 基本からディスコース分析まで 岩田祐子・重光由加・村田泰美著 改訂版 社会言語学 基本からディスコース分析まで 岩田祐子・重光由加・村田泰美著
2022年3月刊行

改訂版 社会言語学

基本からディスコース分析まで

岩田祐子・重光由加・村田泰美著

定価2200円+税 A5判並製カバー装 368頁

装丁 渡部文

ISBN978-4-8234-1143-4

ひつじ書房

A Comprehensive Introduction to Sociolinguistics: From Fundamentals to Discourse Analysis (Revised Edition)
Yuko Iwata, Yuka Shigemitsu, Yasumi Gee Murata


【内容】
社会言語学の成り立ちから、最新の研究知見までカバーした『概説 社会言語学』の改訂版。社会言語学の基本的なテーマを扱う一方で、相互行為的社会言語学、談話分析、会話分析の章を設け、言語人類学、批判的談話分析に関しても充実させた。はじめて社会言語学を学ぶ学生だけでなく、これから談話分析を目指す学生にも役立つ内容である。言語と社会、言語と文化、異文化コミュニケーションに興味のある学生の読本としても使える一冊。

【目次】
まえがき

第1章 社会言語学とは
1.1 はじめに
1.2 19世紀から20世紀前半までの言語研究
1.2.1 構造主義(structuralism)
1.2.2 変形生成文法(transformational generative grammar)
1.2.3 構造主義と変形生成文法に対する批判
1.3 社会言語学の始まり
1.4 おわりに―社会言語学の発展と分野的な重なり

第2章 言語と地域
2.1 はじめに
2.2 「~語」「~方言」と言語変種
2.3 地域方言(dialect)と発音(accent)
2.4 地域変種の生まれる理由
2.5 標準語、共通語(standard language)
2.6 公用語(official language)と言語政策(language policy, language planning)
2.7 地域変種と話者の意識
2.8 世界の共通語(lingua franca)としての英語
2.9 おわりに

第3章 言語と社会階層
3.1 はじめに
3.2 社会階層と社会階層方言
3.3 標準変種(standard variety)と非標準変種(non-standard variety)
3.4 RPと標準英語
3.5 社会階層と地域性
3.6 言語使用に見られる社会階層
3.6.1 アメリカの研究
3.6.2 イギリスの研究
3.7 過剰矯正(hypercorrection)
3.8 おわりに

第4章 言語と民族
4.1 はじめに
4.2 民族(ethnicity)と言語変種
4.3 言語接触とリンガ・フランカ(lingua franca)、ピジン形成(pidgin formation)、クレオール形成(creole formation)
4.4 AAVE(アフリカ系アメリカ人の日常英語)
4.4.1 発音の特徴
4.4.2 文法に関する特徴
4.5 AAVEはどのようにしてできたか
4.6 ジャマイカン・クレオール英語(Jamaican Creole English)
4.7 民族特有の言語変種が引き継がれる理由
4.8 学校教育の現場で
4.9 キング牧師の演説に見られる白人とアフリカ系アメリカ人
4.10 おわりに

第5章 言語とジェンダー
5.1 はじめに
5.2 ジェンダー研究以前
5.3 ジェンダーと言語研究
5.3.1 男女が使うことば
5.3.2 性差と発音・語彙・文法
5.3.3 性差と会話スタイル(conversational style)
8 5.4 性差別的言語(sexist language)
5.5 おわりに

第6章 言語と年齢
6.1 はじめに
6.2 世代と言語
6.3 英語における言語と年齢との関係
6.3.1 年齢階層(age grading)
6.3.2 青少年期の特徴
6.3.3 中年期の特徴
6.3.4 年齢と言語変化の関係
6.4 日本語における言語と年齢との関係
6.4.1 若者ことば
6.4.2 日本語の語彙における若者ことばの特徴・規則性
6.4.3 日本語の音韻に見られる若者ことばの特徴・規則性
6.4.4 日本語の文法に見られる若者ことばの特徴・規則性
6.4.5 日本語の語用に見られる若者ことばの特徴・規則性
6.5 方言のコスプレ化
6.6 若者ことばはなぜ生まれるのか
6.7 高齢者のことば
6.7.1 おかしなカタカナ語発音
6.7.2 古風なことば
6.7.3 高齢者のことばへの若者たちの意識
6.8 おわりに

第7章 言語の選択
7.1 はじめに
7.2 1つ以上の言語が存在する社会、多言語社会
7.2.1 公用語
7.2.2 日本は多言語社会
7.3 二言語が使い分けられる社会における言語選択
7.3.1 ダイグロシア(diglossia、二言語変種使い分け)
7.3.2 ダイグロシアにおける二言語併用
7.3.3 ドメイン(domain、領域)
7.4 言語の移行と死、そして復興への動き
7.5 バイリンガリズム、マルティリンガリズム
7.5.1 モノリンガリズム vs.バイリンガリズム、マルティリンガリズム
7.5.2 バイリンガルの人にとっての二言語使用
7.6 個人における言語の選択(コード・スイッチングの意味と機能)
7.6.1 コード・スイッチングの機能的な側面
7.6.2 コード・スイッチングの伝達的な側面
7.7 言語資源としてのコード・スイッチング
7.8 おわりに

第8章 言語の状況差、適切さ(スタイルとレジスター)
8.1 はじめに
8.2 状況に応じた言語使用
8.3 状況差にもとづく言語変種―レジスター
8.3.1 レジスターとは
8.3.2 状況を構成する要因
8.3.3 状況の違いが言語にもたらす影響
8.4 スタイル
8.4.1 スタイルの種類
8.4.2 スタイルの選択
8.4.3 適切なスタイルを選ぶときに注意する要因
8.5 オーディエンス・デザイン(audience design)
8.6 スピーチ・アコモデーション(speech accommodation)
8.6.1 スピーチ・アコモデーションとは
8.6.2 コンバージェンス(convergence)
8.6.3 ダイバージェンス(divergence)
8.7 おわりに

第9章 ディスコース分析
9.1 ディスコースとは
9.2 社会言語学とディスコース分析―本書の例から
9.3 ディスコース分析―ツールとしての役割
9.4 おわりに

第10章 コミュニケーションの民族誌
10.1 はじめに
10.2 コミュニケーションの民族誌
10.3 話し方の規則を解明するための3つの単位
10.4 スピーチ・イベント(speech event)の構成要素
10.4.1 S:場面状況(setting, scene)
10.4.2 P:スピーチ・イベントの参加者(participants)
10.4.3 E:目的(ends)
10.4.4 A:展開する一連のコミュニケーションの行為(act sequence)
10.4.5 K:基調(key)
10.4.6 I:媒体、道具(instrumentalities)
10.4.7 N:インタラクションと解釈の規範(norms of interaction, norms of interpretation)
10.4.8 G:ジャンル(genre)
10.5 SPEAKINGを使った分析例
10.6 コミュニケーションの民族誌の研究事例
10.6.1 遊びの中で培われる社会性と交渉能力(アメリカの少女たちの事例)
10.6.2 東京郊外の中学生に見られる一人称詞の使用とジェンダーによるメタ語用
10.7 おわりに

第11章 相互行為的社会言語学
11.1 はじめに
11.2 会話という相互行為
11.3 フレームとコンテクスト化の合図
11.3.1 フレーム(frame、解釈の枠組み)
11.3.2 コンテクスト化の合図(contextualization cues)
11.4 アメリカ人の会話スタイルについての研究
11.4.1 「高度にかかわり合うスタイル」と「高度に配慮したスタイル」
11.4.2 熱中していることを示すための重複発話
11.4.3 マシンガン・クエスチョン(矢継ぎ早の質問)
11.4.4 会話スタイルの違いから起こる誤解
11.5 小集団討論の日米比較
11.5.1 グループ討論の始め方の日米比較
11.5.2 グループ討論の終わり方の日米比較
11.6 おわりに

第12章 社会言語学と異文化コミュニケーション
12.1 はじめに
12.2 会話における共通の解釈の枠組みと異文化コミュニケーション
12.2.1 共通の解釈の枠組み(frame、フレーム)
12.2.2 共通の解釈の枠組みを共有していないことが原因のミスコミュニケーション
12.3 異民族間のコミュニケーション・スタイルの違いから起こるミスコミュニケーション
12.4 文化的前提の違いと異文化コミュニケーション
12.4.1 文化的前提を共有しないことが原因のミスコミュニケーション(日本人学生の場合)
12.5 価値観と異文化コミュニケーション
12.5.1 文化価値の相違から来る異文化コミュニケーションの難しさ
12.6 会話スタイルと異文化コミュニケーション
12.7 おわりに

第13章 会話分析
13.1 会話分析とは
13.2 会話分析のはじまり
13.2.1 会話分析の創始者:社会学者サックス
13.2.2 ゴフマンとガーフィンケルの影響
13.3 サックスの気づき:電話会話の規則性
13.3.1 直接名前を尋ねずに相手の名前を知る
13.3.2 電話の掛け手が名前を名乗ることを回避する
13.3.3 相互行為のなかの連鎖
13.4 会話分析が目指すもの
13.5 会話分析のデータ
13.6 トランスクリプト
13.7 会話分析が明らかにしようとするルールや秩序
13.8 会話分析が明らかにした会話の流れの規則性
13.8.1 交換の対称性
13.8.2 隣接ペア(adjacency pair)
13.8.3 投射(projection)と共話(co-construction)
13.8.4 会話の修復 236 13.8.5 会話の割り込み(interruption)と重複発話(overlap)
13.8.6 会話の順番取りシステム(turn taking system)
13.8.7 電話での会話
13.8.8 褒め(compliments)と返答(responses)
13.9 おわりに

第14章 語用論Ⅰ 基礎知識
14.1 はじめに
14.2 実際のコミュニケーション
14.3 発話行為(スピーチ・アクト)
14.4 会話の協調の原理
14.4.1 会話の協調の原理(Cooperative Principle)
14.4.2 推意(implicature)
14.5 指示語用論
14.5.1 指示
14.5.2 ダイクシス(直示)
14.6 命題(proposition)、前提(presupposition)、論理的含意(entailment)、交感表現(phatic utterances)
14.7 おわりに

第15章 語用論Ⅱ ポライトネス
15.1 はじめに―ポライトネスと丁寧
15.2 会話について
15.3 ポライトネスを考える
15.4 ブラウンとレビンソンのポライトネス理論
15.4.1 フェイスとは何か
15.4.2 フェイス侵害行為(face-threatening act: FTA)とストラテジー
15.4.3 ネガティブ・ポライトネス・ストラテジー
15.4.4 ポジティブ・ポライトネス・ストラテジー
15.5 おわりに―B&L理論への批判と最近のポライトネス研究

第16章 言語と思考と文化
16.1 はじめに
16.1.1 言語と文化と思考―言語人類学的観点から
16.1.2 サピアとウォーフ
16.1.3 言語と文化/文化と言語
16.1.4 そのほかの例
16.2 言語と文化と思考―認知言語学的観点から
16.2.1 プロトタイプ(prototype)
16.2.2 カテゴリー化(categorization / lexical classification)
16.3 メタファー(metaphor隠喩)
16.4 メトニミー(metonymy換喩)
16.5 おわりに

第17章 言語とイデオロギー
17.1 はじめに
17.2 言語とジェンダーへの本質主義的アプローチ
17.3 言語とジェンダーへの構築主義的アプローチ
17.3.1 批判的ディスコース分析(critical discourse analysis, CDA)
17.3.2 女ことばの CDA
17.3.3 CDAと構築主義
17.4 言語とイデオロギー
17.5 おわりに―言語とイデオロギー研究の可能性

第18章 社会言語学からの貢献
18.1 はじめに
18.2 役所などの公的な文書の改善への貢献
18.3 AI(人工知能)への貢献
18.4 英語教育への貢献
18.5 教師教育への貢献
18.6 異文化理解と異文化コミュニケーション
18.7 裁判の場における貢献
18.8 おわりに

Appendix
◆ データの種類
◆ データ収集の前に
◆ インフォームド・コンセント(informed consent)
◆ 自然発話のデータの収集方法
◆ データの文字化・記号化・書き起こし(トランスクリプト)
◆ BTSJ(Basic Transcription System for Japanese基本的な文字化の原則)による書き起こし
◆ 質問紙調査(questionnaire survey)
◆ 守秘義務
◆ 研究協力者への謝辞

索引
執筆者紹介
   


【著者】
岩田祐子 (いわた ゆうこ)元国際基督教大学教養学部教授
重光由加(しげみつ ゆか)東京工芸大学工学部教授
村田泰美(むらた やすみ)元名城大学外国語学部教授




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