ひつじ書房 国語科における「話し合い」学習の理論と実践 内田剛著 ひつじ書房 国語科における「話し合い」学習の理論と実践 内田剛著
2022年3月刊行

国語科における「話し合い」学習の理論と実践

内田剛著

定価7800円+税 A5判上製函入り 352頁

ISBN978-4-8234-1124-3

Theory and Practice through Interactive Activities in Japanese Education
Tsuyoshi UCHIDA

ひつじ書房


【内容】
新型コロナウイルス感染拡大に伴うオンライン・ツールの普及によって、私たちのコミュニケーションは否応なしに変化を迫られている。このような変化の時期だからこそ、私たちは冷静に「話し合う」ことの重要性を再認識しなければならない。本書は明治期から現在における国語教育の「話し合い」学習が、どのような理論や目標に基づいて行われてきたかを分析した上で、今求められる「話し合い」学習の具体的な実践案を提案している。

【目次】
まえがき
凡例

第Ⅰ部 理論編 国語科における「話し合い」学習の歴史的展開と課題点

序章 問題意識と研究の目的・方法
 第1節 現在の「学習の場」における集団的圧力の問題
 第2節 研究の目的
 第3節 研究の方法
 第4節 本書の構成
第1章 明治期から昭和戦前期までの「話し言葉」学習
 第1節 明治期における「討論」・「討議」の開始と広まり
 第2節 明治期における標準語学習としての「話し方」
 第3節 授業における「演説」学習の課題点
 第4節 明治期の「話し言葉」学習のまとめ
 第5節 大正期における「プラグマティズム」の影響と「真理多元論」
 第6節 大正自由主義教育と成城小学校『教育問題研究』
 第7節 木下竹次の「商議」と奈良女子高等師範学校附属小学校『学習研究』
 第8節 大正期の啓蒙書における「討論」・「討議」
 第9節 千葉命吉の「話しあい」の実践
 第10節 大正自由主義教育の実態
 第11節 昭和初期における大正自由主義教育の反省
 第12節 奥野庄太郎の「精神内容発表のための話方教育」
 第13節 遠藤熊吉の「交話」による「話方教育」
 第14節 山口喜一郎の「社会的活動の道具」としての言語観
 第15節 昭和期の『学習研究』と曾根靖雅の「お話合」の実践
 第16節 国民学校「国民科国語」における国家公用語学習としての「話し言葉」
 第17節 昭和初期・戦前期の「話し言葉」学習のまとめ

第2章 プラグマティズムと「話し合い」学習
 第1節 プラグマティズムとピューリタニズム
 第2節 パースの「論理型」プラグマティズムとジェイムズの「倫理型」プラグマティズム
 第3節 デューイの「心理型」プラグマティズムと日本の教育への影響
 第4節 ミードの「コミュニケーション」理論
 第5節 パースの「アブダクション」の可能性
 第6節 プラグマティズムと「話し合い」学習との関連性のまとめ

第3章 昭和期第二次大戦終戦直後における「討議法」の流行と課題点
 第1節 「話し合い」学習に関わる用語の混乱
 第2節 「ポツダム宣言」と「民主主義」の宣言
 第3節 「占領軍四大教育改革指令」と「討議法」
 第4節 「米国教育使節団報告書」と「ディスカッション」
 第5節 『新教育指針』と「討議法」
 第6節 文相前田多門の役割
 第7節 終戦後の教育雑誌に見る「討議」および「討議法」
  第1項 終戦後の『学習研究』に見る「討議」および討議法
  第2項 東京高等師範学校附属国民学校内初等教育研究会『教育研究』に見る「討議」および「討議法」
  第3項 国民学校綜合雑誌『日本教育』に見る「討議」および「討議法」
  第4項 広島高等師範学校附属国民学校・学校教育研究会『学校教育』に見る「討議」および「討議法」
  第5項 東京文理科大学内児童研究会『兒童心理』における用語解説
 第8節 第二次大戦終戦直後の各都道府県における「討議法」の認識
 第9節 昭和期第二次大戦終戦直後における「討議法」流行と課題点のまとめ

第4章 「討議」から「話し合い」へ
 第1節 「討議法」に関わる公民科・社会科と国語科の位置づけの変化
 第2節 「討議」から「話し合い」への変更とその影響
 第3節 代表的研究者および実践者の「話し合い」学習観
  第1項 西尾実の「通じ合い」
  第2項 時枝誠記の「言語教育」としての「話し合い」
  第3項 大村はまの「討議」の授業実践
  第4項 野地潤家の「話しことば」教育観
  第5項 「話し合い」への変更後の実践例

第5章 「ディベート」学習の流行と課題点
 第1節 「ディベート」学習の現状
 第2節 「ディベート」と「討論」の用語の混乱
 第3節 学習方法としての「ディベート」
 第4節 「ディベート」学習の課題点
 第5節 「ディベート」学習の流行と課題点のまとめ

第6章 国語科における「話し合い」学習の課題と展望
 第1節 用語混用の課題について
 第2節 「話し合い」学習の目標と課題
 第3節 時間配分、評価、到達目標に関わる課題
 第4節 即時的な判断力の課題
 第5節 「アクティブ・ラーニング」および「LTD話し合い学習法」からの提案

第Ⅱ部 実践編 国語科における「話し合い」学習の実践提案

第7章 「通じ合い」学習の実践提案
 第1節 「通じ合い」学習の位置づけ
 第2節 詩の朗読・評価・感想記入による「通じ合い」学習の実践―「From Poets」の実践
  第1項 実践の目標
  第2項 実践の方法と展開
  第3項 配布した詩に対する学習者の感想
  第4項 実践のまとめ
 第3節 俳句創作および優秀作を選句する「通じ合い」学習の実践
  第1項 実践の目標
  第2項 実践の方法と展開
  第3項 選句した優秀作に対する学習者の感想
  第4項 実践のまとめ

第8章 「ディスカッション」学習の実践提案
 第1節 「ディスカッション」学習の位置づけ
 第2節 入門期の「ディスカッション」学習の実践―「人類の未来を救え!」の実践
  第1項 入門期の「ディスカッション」学習の役割
  第2項 実践の目標
  第3項 実践の方法と展開
  第4項 実践のまとめ
 第3節 発展期の「ディスカッション」学習の実践①―漢文教材『謝小娥伝』の実践
  第1項 発展期の「ディスカッション」学習の役割
  第2項 教材観と実践の目標
  第3項 授業展開の構成と内容
  第4項 実践のまとめ
 第4節 発展期の「ディスカッション」学習の実践②―中島敦『山月記』の実践
  第1項 教材観と実践の目標
  第2項 実践の方法と展開
  第3項 実践のまとめ
 第5節 完成期の「ディスカッション」学習の実践案―「アブダクション」に着目した夏目漱石『こころ』の実践
  第1項 完成期の「ディスカッション」学習の役割と「アブダクション」との関係
  第2項 教材観と実践の目標
  第3項 実践の方法と展開およびそれまでの学習事項
  第4項 グループの発表レポートの実際
  第5項 学習者の「授業後」の感想による実践の評価
  第6項 実践のまとめ

第9章 「ディベート」学習の実践提案
 第1節 「ディベート」学習の目標
 第2節 「ディベート」学習の実践―「クール・ワールドの旅」の実践
  第1項 実践の目標
  第2項 実践の方法と展開
  第3項 実践のまとめ

終章 成果と課題
 第1節 本書の成果
  第1項 第Ⅰ部:理論編の成果
  第2項 第Ⅱ部:実践編の成果
 第2節 今後の課題

引用文献・参考文献一覧
あとがき
用語索引
人名索引



   


【著者紹介】
内田剛(うちだ つよし)
〈略歴〉
1969(昭和44)年東京都生まれ。埼玉県、北海道、東京都の公立・私立中学校や高等学校の教員を経た後、立命館小中高校に勤務し、現在立命館高等学校教頭、早稲田大学教育学部非常勤講師。早稲田大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専攻は国語教育で、主に学習者が主体的に参加し思考を深化・変容させる国語科の教材開発と授業開発に関する研究と実践を進めている。
〈主な著書・論文〉
「生徒が主体的に取り組む漢文の授業—『謝小娥伝』の教材化」町田守弘編著『明日の授業をどう創るか—学習者の『いま、ここ』を見つめる』三省堂、2011年
「自己の『枠組み』を用いて文学テクストを分析する—話し合いの『場』としての『こころ』の授業」『月刊国語教育研究』No.505、2014年
「自ら学ぶ力を育てるためのディスカッションの授業—「人類の未来を救え!」の実践提案」『月刊国語教育研究』No. 528、2016年


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