文学理論入門 論理と国語と文学と 疋田雅昭著 文学理論入門 論理と国語と文学と 疋田雅昭著
2021年11月刊行

文学理論入門

論理と国語と文学と

疋田雅昭著

定価2200円+税 A5判並製 272頁

ISBN978-4-8234-1104-5

装丁 大崎善治

ひつじ書房





【内容】

高校生の現代文が、文学的文章と論理的文章に「分離」されることとなった。この政策が単なる「分離」ではなく「隔離」であることは明らかだが、我々はこの「分離」を逆手にとって、新たな国語教育の可能性を模索してゆかねばならない。文学理論と文学教育をどう切り結ぶのか。そして、文学的文章と論理的文章の教育を有機的に組み合わせてゆくには、何が必要なのか。専門的知から様々な領域に「接続」するための紐帯を提供する、新しい文学理論入門。

【目次】

まえがき

第一章 「文学理論」と「国語」の接点をめぐって
 いくつか議論の前提としての(語句)定義
1 国語教育学と文学
2 「論理」的であるという陥穽
3 インプット(リーディング)偏重の「国語」教育
4 文学と国語教育の蜜月を引き裂いたテクスト論
5 「伝わる」という考え方の陥穽
6 型と自由
7 文法とは
8 言葉を学ぶことが役に立つとは
9 分野同士の紐帯
10 近代文学研究の短期的有用性

第二章 表現あるいは構造、それ自体への注目
 文学の文法の見取り図
1 文学の文法を学ぶ前に
2 表層分析―ニュークリティシズム
 結語―「文学理論」から「国語」の実践へ/ブックガイド
3 深層の構造―構造主義解析
 「要素」と「全体」/「構造」を物語分析として考える/物語の構造/物語の型/要素を支えるもの―「関係性」の諸相/何からどのように要素抽出するか―場所・場面/ブックガイド
4 表層分析と深層の間に―ナラトロジー
 「語り手」という概念規定/「顕在的語り手」と「潜在的語り手」/語りの位置/事後的な語りと現在進行的な語り/「物語内容」の時間/視点人物と視点位置/語り手からの距離感/描写と介入度/語り手の時間操作/語り手と読者の共犯/語り手の仕掛けるレトリック―テマティズムを例に/「世界観」=設定という問題系/構造から言えること―可視化のその先/読み替えの面白さと政治的正しさ/結語―「文学理論」から「国語」の実践へ/ブックガイド
5 読者への注目
 記号と空白/同時代言説から小文字の歴史へ/読者の難しさから読者の創造へ/期待の地平と解釈共同体/内包された読者/読書行為論/結語―「読者論」と「国語」の実践/ブックガイド

第三章 理論から実践へ
1 テクスト論の実践のために
2 テクスト論アラカルト
 言語論(記号論)/言語論―比喩・ヴィトゲンシュタイン・コミュニケーション/精神分析批評/テクスト論の射程は広い
3 実践練習のために
 チェックシートによる「予習」の実践/表記の検討①―「文体」/表記の検討②―「タイトル」/表記の検
討③―「解釈出来ないモノ・コト」/構造の検討/ナラシオン(語り手の操作)の検討
4 小文字の歴史を調べる
 笙野頼子「なにもしてない」/笙野頼子「二百回忌」/笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」/多和田葉子「犬婿入り」/小山田浩子「工場」/小山田浩子「穴」/青山七恵「ひとり日和」/中上健次「十九歳の地図」/藤原智美「運転士」/長嶋有「猛スピードで母は」/絲山秋子「沖で待つ」/楊逸「ワンちゃん」/松浦寿輝「花腐し」

 巻末付録チェックシート
 索引



【著訳者紹介】

◉著者紹介
疋田雅昭(ひきた まさあき)
〈略歴〉1970年生まれ。立教大学文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。長野県短期大学助教、准教授を経て、現在東京学芸大学教育学部准教授。
〈主な著書〉『トランス・モダン・リテラチャー――「移動」と「自己」をめぐる芥川賞作家の現代小説分析』(ひつじ書房、2021)、『接続する中也』(笠間書院、2007)、『スポーツする文学――1920-30年代の文化詩学』(共編著、青弓社、2009)、『コレクション・モダン都市文化80 出版メディア』(編著、ゆまに書房、2012)、『コレクション・戦後詩誌16-20 戦後詩の推進者』(編著、ゆまに書房、2019)ほか。


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