ひつじ書房 明治期の幼稚園教育と童話 小学校教育・児童文学との関わりから 北川公美子著 ひつじ書房 明治期の幼稚園教育と童話 小学校教育・児童文学との関わりから 北川公美子著
2021年2月刊行

明治期の幼稚園教育と童話

小学校教育・児童文学との関わりから

北川公美子著

定価7200円+税 A5判上製 356頁

装幀 三木俊一(文京図案室)

ISBN978-4-8234-1084-0

ひつじ書房

Study on “Fairy Tales” in Kindergarten Education during Meiji Era: Research from Relationships with Elementary School Education/Children’s Literature
Kitagawa Kumiko



著者の北川公美子先生に本の紹介をしていただきました




【内容】

日本の幼稚園教育の歴史の中で、童話との関係は深く、その初期から「談話・説話」の保育項目の中で取り上げられ、現在でも教材として重要な役割を担っている。本書では、そのような童話が、幼稚園教育の黎明期である明治期において、どのように保育の中へ導入され、受容されてきたかを、小学校教育や児童文学、及び社会状況との関わりを踏まえ、実証的に検証することにより、保育内容としての童話の成立過程の一端を明らかにした。

【目次】

序章
 一.はじめに
 二.研究の目的
 三.先行研究の検討
 四.構成と方法

第一章 明治期の幼稚園教育の状況
 第一節 幼稚園教育の誕生と普及
  (一) 幼稚園設立に向けた動き
  (二) 日本で最初の幼稚園の誕生――東京女子師範学校附属幼稚園
  (三) 幼稚園教育の普及
 第二節 幼稚園教育における保育思想――フレーベル主義の導入と定着
 第三節 幼稚園教育における保育内容の変遷
 第四節 幼稚園教育の実際
  (一) 開拓地に設立された幼稚園――北海道・函館幼稚園
  (二) 小学校教育普及の影響を受けて設立された幼稚園――静岡県・桜花幼稚園

第二章 小学校教育との関係から見た幼稚園教育
 第一節 幼稚園と小学校の関係
  (一) 法令上のつながり
  (二) 教員養成におけるつながり
  (三) 人物によるつながり
 第二節 幼稚園教育に対する評価
  (一) 幼稚園教育に対する意識
  (二) 小学校からの評価

第三章 明治期の幼稚園教育における童話――ヘルバルト派教育学の影響下で
 第一節 教育界の動向
  (一) 修身重視の方向性
  (二) ヘルバルト派教育学による新たな動き
 第二節 教材としての童話の役割の変化
  (一) 「修身的教訓性」の強化
  (二) 「美感の形成」との対立と共存
  (三) 想像性を介した童話の教育的役割の構図
 第三節 幼稚園教育における童話の実際――西洋童話を中心に
  (一) 『婦人と子ども』
  (二) 『幼児教育 談話材料』
  (三) 栃木県・足利幼稚園の「保育日誌」

第四章 明治期の児童文学における童話――西洋童話を中心に
 第一節 児童文学の誕生と展開
  (一) 教育の視点からの「子どもの(再)発見」
  (二) 児童文学の誕生――巌谷小波の「お伽噺」の確立
  (三) 児童文学の展開に向けた動き
 第二節 児童文学として求められた童話
  (一) 童話に対する認識
  (二) 童話の分類と定義
  (三) 児童文学としての童話の価値
 第三節 西洋童話への認識とその評価――イソップ・グリム・アンデルセン
  (一) 西洋童話に対する認識
  (二) イソップ・グリム・アンデルセンの童話に対する評価
 第四節 西洋童話の普及の実際――アンデルセン童話を例として
  (一) 出版内容と傾向――「皇帝の新しい着物」
  (二) 文章表現と内容理解――「しっかり者の錫の兵隊」
  (三) 絵をとおした表現――「親指姫」

第五章 幼稚園教育と児童文学の接点
 第一節 幼稚園教育におけるアンデルセン童話
  (一) 原作「火打箱」について
  (二) 明治期における「火打箱」の内容比較
  (三) 『婦人と子ども』に掲載された「不思議の火打石」
 第二節 幼稚園教育と児童文学の接点としての口演童話
  (一) 教育界における口演童話
  (二) 口演童話の三大家――巌谷小波・久留島武彦・岸邊福雄
  (三) 幼稚園教育における口演童話

終章
 一.まとめ
 二.今後の課題
 三.おわりに

参考文献
初出一覧
あとがき

巻末資料① イソップ童話作品リスト
巻末資料② グリム童話作品リスト
巻末資料③ アンデルセン童話作品リスト

索引


   


【著者紹介】

北川公美子(きたがわ くみこ)
(略歴)1969年東京都生まれ。東京家政大学大学院家政学研究科博士課程単位修得後退学。家政学修士。1997年東海大学短期大学部助手、講師、准教授を経て、2017年より同教授。専門は保育学・児童文学。
(主な論文)「明治期の幼児教育と「童話」-ヘルバルト派教育学の影響下で」(『保育学研究』51-1、2013)、「明治期の『婦人と子ども』にみる幼小の関係-教育体系に位置付けられるための幼稚園とは」(『乳幼児教育学研究』22、2013)、「明治期のアンデルセン童話と教育-ヘルバルト派教育学との関わりから」(『児童文学研究』47、2015)、「明治期の幼稚園教育における童話の役割-「修身的教訓性」と「美感の形成」の対立と共存」(『乳幼児教育学研究』25、2016)、「大正期の幼稚園教育における口演童話とのかかわり-保育方法としての「話し方」への着目」(『東海大学短期大学紀要』53、2020)


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