ひつじ書房 英語科学論文をどう書くか 新しいスタンダード 保田幸子著 ひつじ書房 英語科学論文をどう書くか 新しいスタンダード 保田幸子著
2021年11月刊行

英語科学論文をどう書くか

新しいスタンダード

保田幸子著

定価2400円+税 B5判並製カバー装 232頁

ISBN978-4-8234-1080-2

ブックデザイン 春田ゆかり、イラスト 萱島雄太

ひつじ書房

A New Standard for Science Research Writing
Sachiko Yasuda



【内容】

国際的な発信力を高めたい大学・大学院生、研究者を対象とした英語科学論文執筆のためのガイドブック。トップジャーナルに掲載された最新の論文の分析に基づき、科学論文に関する様々な伝統的通説を反証し、21世紀型の新しい科学論文執筆法を解説する。読み手を効果的に導くための論文の構成、強調や緩衝などの微妙なニュアンスを伝えるための表現をサンプルの分析を通して段階的に学んでいく。読み手を引き付ける論文のコツを網羅的に学べる一冊。

冒頭の「本書で学習する皆さんへ」と目次を公開しています

うまくご覧になれない方はこちら(PDF)


【目次】

本書で学習する皆さんへ


 第1部 準備編 「主観的な文章はダメ」という通説の縛りから逃れる

第1章 科学論文とは何か
 Key Question 1 「科学論文」とはどのようなジャンル? 誰のために,何のために書くもの?
 Key Question 2 「良い論文」とはどのような論文?
 Key Question 3 「主観的な文章」と「客観的な文章」の違いとは?
 Key Question 4 「科学論文」は客観的? 主観的? どちらの文章が好まれる?
 Key Question 5 科学論文を「どのように書くべきか」という《縛り》は,誰が,どのようにして決めているのか?
第2章 「客観的に書く」という通説はどのようにして生まれたのか 17世紀のRoyal Societyで推奨された文章から現代の科学論文まで
 Key Question 6 「科学論文は客観的に」という通説はいつ,どのようにして生まれたのか?
 Key Question 7 17世紀,印刷技術の普及が,プレーンな文章(明瞭・簡潔・平明な文章)の必要性を益々高めたのはなぜか?
第3章 「客観的な文章」から「主体性のある文章」へのパラダイムシフト
 Key Question 8 書き手の存在が見えない,「対象中心(object-centered)」のプレーンスタイルの文章は現在の科学論文でも好まれる?
 Key Question 9 受動態から能動態へのパラダイムシフトは,英語の論文だけで言えること? 日本語で論文を書く場合は?
 Key Question 10 書き手としての主体性を読み手に伝えるためには,「態」(受動態・能動態)だけに気をつければいいのか? 他に気をつけるべきことは?

*コラム 「どう書くべきか」が法律で規制される?!―アメリカの法律 “Plain Writing Act of 2010”―


 第2部 基本編  読み手を導き読み手を引き付ける論文の流れ(ストーリー)を作る

第1章 科学論文の構成 「ストーリー・テリングとしての科学論文(Science Writing as Story Telling)」という考え方
 Key Question 1 文章やストーリーの構成の方法として,どのようなものがあるか? 国語や英語の授業で学ぶ文章構成の型といえば?
第2章 それぞれのセクションでどのように読み手を導くか 科学論文のIMRaDとMove
 Key Question 2 科学論文は,その構成が決まっていて「形から入る世界」だというのは本当か?
第3章 Introduction でどのように読み手を導くか
 Key Question 3 Introductionの役割とは?
 Key Question 4 伝達動詞の機能の違いとは? どのように使い分けると効果的か?
第4章 Methods でどのように読み手を導くか
 Key Question 5 Methodsを書く上で最も重要なことは?
第5章 Results でどのように読み手を導くか
 Key Question 6 「研究結果は論理的に提示せよ」とは,つまりどういうこと?
第6章 Discussion でどのように読み手を導くか
 Key Question 7 「あなたの論文は実験結果が書かれているだけで考察がない」とは,つまりどういうこと?
第7章 Abstract でどのように読み手を導くか
 Key Question 8 5,000 words の論文の要旨を150 words で書く:この長さで研究の要旨を伝えるには,何をどのように書くべきか?
 
*コラム 大切なのにあまり知られていないコト―カバーレター(cover letter)の重要性―


 第3部 発展編  読み手を導き読み手を引き付ける文章を書く

第1章 「科学論文には事実のみを記載する」という通説の誤解 命題に対する書き手の態度を示す
   Key Question 1 「科学論文では,主観的な言葉遣いは避ける」という通説は本当か? 「主観的な言葉遣い」とは,例えばどのような表現か?
 Key Question 2 命題に対する書き手の態度(見解,評価,判断)を表す表現として,どのようなものがあるか?
第2章 「中立的に書く」という通説の誤解 Boosters(強調表現)の重要性
 Key Question 3 「科学論文にレトリックは不要である」という通説は本当か? 「レトリック」とは,例えばどのような表現か?
第3章 「曖昧さはタブー」という通説の誤解 Hedges(緩衝表現)の重要性
 Key Question 4 「科学論文に曖昧さは不要である」という通説は本当か? 「曖昧さ」とは,例えばどのような表現か?
第4章 「I やWe の使用は禁止」という通説の誤解 書き手の主体性を示す時と示さない時を使い分ける
 Key Question 5 「科学論文でIやWeを使ってはいけない」という通説は本当か? なぜ,一人称を主語とする能動態が科学論文では好ましくないのか?
 Key Question 6 IやWeを主語とする文(能動態)がふさわしいのは,どのような状況か?
 Key Question 7 受動態がふさわしいのは,どのような状況か?

*コラム IやWeなどのself-mentionに対する考え方―「理系と文系で違うのか?」という議論―


あとがき
参考文献
解答と解説
索引



【著者紹介】

保田幸子(やすだ さちこ)
神戸大学国際コミュニケーションセンター教授。
神戸大学大学院教育学研究科英語教育専攻修了(M.Ed.)。モナシュ大学大学院応用言語学研究科修士課程修了(M.A.)。ハワイ大学大学院第二言語研究科博士課程修了(Ph.D.)。
早稲田大学国際教養学部助手、東京農業大学助教、九州大学大学院言語文化研究院准教授を経て、2016 年10 月に神戸大学国際コミュニケーションセンターに准教授として着任。2020 年4 月より現職。
専門は、第二言語習得。その中でも、人間の書き言葉の習得、ライティング能力の発達に関心がある。これまで、一貫して、外国語学習者の書く行為やライティング能力に関する研究を行い、書くことの指導や教材のあり方について提言を行ってきた。
研究成果はJournal of Second Language WritingTESOL QuarterlyJournal of English for SpecificPurposesなど国際ジャーナルを中心に刊行されている。


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