ひつじ書房 日本語学習者による多義語コロケーションの習得 大神智春著 ひつじ書房 日本語学習者による多義語コロケーションの習得 大神智春著
2021年2月刊行

シリーズ言語学と言語教育 43

日本語学習者による多義語コロケーションの習得

大神智春著

定価6800円+税 A5判上製カバー装 280頁

ISBN978-4-8234-1067-3

ひつじ書房

Acquisition of Polysemous Collocations in Japanese by Japanese Language Learners
Ohga Chiharu


↓著者・大神智春先生にご著書の紹介をしていただきました!

【内容】
本書は、学習者が多義動詞「とる」を中心語とするコロケーションの習得過程において、どのような中間言語を形成しているか解明することを目的とした。研究に当たっては、学習者の中間言語を典型化、一般化、差異化の観点から複合的に捉えることを試みた。また、研究結果を日本語教育のコロケーション教材開発に活かすことを目指し、教材作成過程における留意点や練習問題の在り方等を提言した。
〈日本学術振興会助成刊行物〉


【目次】

序論 本書の目的と構成
 1. なぜ語彙習得研究なのか
 2. なぜコロケーション習得研究なのか
 3. 本書の構成

第1章 コロケーション研究概観
 1. はじめに
 2. 本書におけるコロケーションの定義
  2.1 英語の先行研究におけるコロケーションの定義
  2.2 日本語の先行研究におけるコロケーションの定義
  2.3 日本語教育の先行研究におけるコロケーションの定義
  2.4 コロケーションの種類
  2.5 本書におけるコロケーションの種類と定義
 3. コロケーション習得に関する先行研究
  3.1 英語教育における先行研究
  3.2 日本語教育における先行研究
 4. 先行研究のまとめと課題

第2章 第二言語習得研究における理論と本書の研究課題
 1. はじめに
 2. 本書における「中間言語」の定義
 3. 第二言語習得研究における理論
  3.1 プロトタイプ理論
  3.2 概念形成理論
  3.3 用法基盤モデル
  3.4 各理論の検証
 4. 語彙の意味習得に関する先行研究
  4.1 プロトタイプ理論および概念形成理論を用いた先行研究
  4.2 語彙の意味習得に関する先行研究の課題
 5. 本書における研究目的、内容
  5.1 本書における研究目的および課題
  5.2 理論的枠組み
  5.3 調査対象語
  5.4 調査対象者

第3章 多義動詞「とる」
 1. はじめに
 2. 先行研究における多義動詞「とる」の語義分類
  2.1 国広(1997)による「とる」の区分
  2.2 森山編(2012)による「とる」の区分
 3. 本研究で用いる「とる」の語義区分
  3.1 本研究で用いる「とる」の語義分析アプローチ
  3.2 「とる」の認知的要素
  3.3 「とる」の現象素および9つの大区分
 4. 「とる」における各語義の関係
  4.1 先行研究における多義語分類モデル
  4.2 「とる」が持つ各語義の関係

第4章 教科書および辞書における「とる」の扱い
 1. はじめに
 2. 初級・中級教科書での「とる」の扱い
  2.1 初級教科書における「とる」の語義導入
  2.2 中級教科書における「とる」の語義導入
 3. 学習者の辞書における「とる」の扱い
  3.1 日中辞典による「とる」
  3.2 日韓辞典による「とる」
  3.3 両言語の辞書確認におけるまとめ

第5章 日本語母語話者による「とる」の意味体系
 1. はじめに
 2. 調査目的と内容
 3. 調査方法
 4. 被験者
 5. 結果と考察
  5.1 JNS が考える「とる」のプロトタイプ
  5.2 クラスター分析による「とる」の意味体系
 6. まとめ

第6章 典型化
 1. はじめに
 2. 調査目的と内容
 3. 調査方法
 4. 被験者
 5. 結果と考察
  5.1 学習者が考える「とる」の最も基本的な語義(課題6-1)
  5.2 使用頻度の高い共起語(課題6-2)
 6. まとめ

第7章 一般化
 1. はじめに
 2. 研究目的と内容
 3. 調査方法
 4. 被験者
 5. 結果と考察   5.1 各語義と名詞の組み合わせがコロケーションとして成り立つと認識しているか(課題7-1)
  5.2 どの名詞が共起可能であると理解しているか(課題7-2)
 6. まとめ

第8章 差異化
 1. はじめに
 2. 研究目的と内容
 3. 調査対象とする「とる」の語義および類義語
  3.1 調査対象とする「とる」の語義
  3.2 類義語「持つ」
  3.3 類義語「得る」
  3.4 類義語「持つ」と「得る」の相違
  3.5 初級・中級教科書における「持つ」と「得る」の導入
 4. 調査方法
 5. 被験者
 6. 結果と考察
  6.1 提示表現が日本語のコロケーションとして適切・不適切であると認識しているか(課題8-1)
   6.1.1 フレーズ性判断課題の結果
   6.1.2 個々の問題に対する認識
  6.2 提示された不適切なコロケーションに対し適切な表現を産出することができるか(課題8-2)
 7. まとめ

終章 学習者の中間言語と日本語教育への提言
 1. まとめ
 2. 学習者が形成する中間言語の図式化
 3. 日本語教育への提言
 4. 本研究の学問的意義
 5. 今後の課題

あとがき
資料
参考文献
索引
   


【著者紹介】
大神智春(おおが・ちはる)
〈略歴〉
岐阜県出身。筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒業、一般企業勤務の後、九州大学大学院比較社会文化研究科(修士課程)修了。2018 年博士(芸術工学)取得。中国東北師範大学赴日本国留学生予備学校外籍文教専家、九州大学留学生センター非常勤講師などを経て、現在、九州大学留学生センター教授。
〈主な著書、論文〉
『日本語教育業書つくる 漢字教材を作る』( スリーエーネットワーク、2011 年、分担執筆)、『BASIC KANJI WORKBOOK 使って、身につく!漢字×語彙vol.1』(凡人社、2010年、分担執筆)、『BASIC KANJI WORKBOOK 使って、身につく!漢字×語彙vol.2』(凡人社、2016 年、分担執筆)、「多義動詞を中心語とするコロケーションの習得」『日本語教育』166 号(2017 年)など。


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