言語学出版社フォーラムの活動もいよいよ4年目に入りました。この間日本は相変わらずの不景気ですが、それ以上に出版界を取り巻く環境が厳しさを増してきたようです。正直に言って、現在の困難な状況下で「儲かりもしない言語学で大の大人が集まって何をやっている」という批判が幹事会社の内部から起こらないのが不思議なくらいです。そればかりか今年からは新しく和泉書院さんまで幹事として加わってくださることになりました。大変心強くありがたいことです。
学術書籍の出版は、刊行まで10年以上というな本もあり気の長い仕事です。しかし、だからと言って、経済原則を無視した出版は続けられません。本州と四国の間に3本も橋を作った悪名高い公団ならば別でしょうが、赤字が出たので後は税金で穴埋めをよろしくとは言えないのが民間企業です。
一見、儲からない代表のような分野で利益を出すことができれば、コペルニクス的な転回が出版界に起こるかもしれません。大げさかもしれませんが、そんな新しいビジネスモデルが生まれるかもしれない。幹事会社各社が我々の活動に寛容なのもそういう期待のためかもしれません。ビジネスモデルと言っても、我々は非営利の団体ですので、言語学出版社フォーラム的モデルを他の分野でもドンドン取り入れて欲しいのです。同じような活動が盛んになれば、彼らの良いところも学ぶことが出来るし、お互いに切磋琢磨出来ます。時間をかけて良い本を作っても売れないと嘆くのではなく、良い本が売れる仕組みを考えることこそ大切なのだと思います。良い本が売れるからまた良い本を出せる、こういうサイクルを作らない限り、出版界は現在の苦境から抜け出せないのではないでしょうか。
幸い目録の販売部数も年々増え、掲載数も増加し『総目録』という名称に実体が近づいてきたように思います。また、フェアの開催依頼も多くなり、言語学書はこんなに売れるものだったのかという書店さん反応が多く寄せられています。最近、言語学出版社フォーラムモデルとでも言うべきものができつつあるのではという手応えが出てでてまいりました。このような確信を持てるようになったのも、読者はもとより、書店様、大学生協様、出校出版社様のおかげと心より感謝申し上げると同時に、今後のご支援、ご協力よろしくお願い申し上げる次第です。